なぜ経済は成長し、減税はどう影響するのか? 経済学の解答は・・

貧困問題に取り組み、2019年のノーベル経済学賞を受賞した経済学者、アビジット・V・バナジーさんらによる「絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか(2020)を読みました。

理解が及ばず、何が言いたいのか、何が分かっているのかさっぱり分かりませんでしたが(笑)、個人的に気になったところをまとめます。

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 税率と経済成長は無関係 

各国の税率の変化を調査すると、成長率と税率の間には相関関係すら存在しないことが分かった。一国における1960年代~2000年代の減税幅と成長率の変化の間には、何の関係も見られなかったのである。

シカゴ大学ブース経営大学院の調査によると、第二次世界対戦以降に実施された31回に及ぶ税制改革のデータを比較した結果、所得上位10%に有利な減税では雇用と所得いずれの増加も見られなかったが、それ以外の90%に有利な減税では雇用も所得も増えたことが分かった。はっきり言えることは、富裕層への減税は経済成長を生まないということだ。

 

 なぜ国は成長するのか? 

富裕国の成長要因がわからないのと同じく、貧困国についても誰も誰もが納得する決定的な成長の処方箋は見当たらない。成長開発委員会の報告書は、要するに成長を導く一般原則と言ったのが存在しない、という結論に終わっている。過去の成長事例には二つとして似通っているものはないというのである。イースターリーはこの結論について、あまり思いやりがあるとは言えない口調で、しかし極めて正確にこう論評した。「21人の世界一流の専門家で構成される委員会、300人もの研究者が参加した11の作業部会、12のワークショップ、13の外部からの助言、そして400万ドルの予算を投じて2年に及ぶ検討を重ねた末、高度成長をどのように実現するのかという問いに対する専門家の答えは、わからないというものだった。

 

 Tochiの勝手な感想 

社会は様々な要因が複雑に絡み合っており、社会を構成する個人も経済学が前提としているように必ずしも合理的な訳ではなく、市場も必ずしも効率的ではないため、経済学の極端にシンプルなモデルで実際の社会や経済を説明や予想することはほとんど全くと言っていいほどできていないようです。

なぜ経済が成長するのか、(実現性はどうであれ)どうすれば経済が成長するのか、さらには税金が経済成長にどのように影響するのかと言った、素人考えでは経済学の存在意義そのものではないかと思えるような事柄に関してすら、(諸説あるものの)「分からない」というのが現状の様です。

だとすれば、さも全てが分かっているかのようなことを言うエコノミストや経済学者は、分かっていないことすらわかっていない人か、さもなくば単に目立ちたいだけの人であり、余裕のある経済学者は分かっていないことを分かっている人、ということなのかもしれません。

それにしても、本のタイトルは「絶望の経済学」の方がいいように思えますね 😱

コメント

  1. とおりすがり より:

    国ではなく個人に置き換えればわかりやすいのでは?
    成功の方程式があるなら、だれでも実践して成功することになります。
    そんなことはあり得ないので、そんな方程式はないが正解でしょう。

    • Tochi より:

      確かに。
      性格や能力が違うヒト全てで成功する方法に例えて考えてみると、そんな方法はなくて当たり前なのかもしれませんね。そんなの「ヒト」による、と。

      では、これからどんどん高齢化し、働き手もどんどん居なくなるのに変化を嫌う超保守的な日本という名前の「ヒト」だけでも上手いこと行く方法があるのであれば、それは一体どんな方法なんでしょうねぇ・・遠い目。

      下手に延命せずにさっさと寿命を迎え、新しい世代に託すのが一番なのかも!?