儀式「古式謡初式」で、1月の能楽鑑賞を締めくくる【能楽観賞日記】#44

日本能楽会 東京公演
国家指定芸能「能楽」特別鑑賞会

観世能楽堂
2023年1月29日(日) 13:30 開演

2週間ぶりのナマ萬斎さんだーーーーッ!\(^o^)/

ということで、昨日は【日本能楽会 東京公演】を観に観世能楽堂へ行ってきました。滅多に観れないという、江戸幕府の正月恒例公式行事だった「古式謡初式」から始まり、更に狂言2曲お能1曲という、終始充実した内容で、1月の締めに相応しい、良き能楽鑑賞でした!✨

古式謡初式(観世・金剛・宝生流)

奏者:織田紘二
使番:上田公威・坂口貴信

小謡「四海波」
観世清和

居囃子「老松」
観世清和

居囃子「東北」
宝生和英

居囃子「高砂」
金剛永謹・森常好

舞囃子「弓矢立会」
観世清和・宝生和英・金剛永謹

*・*・*

今回は推し様が居る!ってだけでチケ取ったので(ヲイ)、あまり深く考えてなかったんですけど【古式謡初式】は、毎年お正月に江戸城で行われていた公式行事ということで、コレを生で見れたのはラッキーだったかも。

宝生流宗家の和英さんを2ヶ月ぶり位に観たけど、やっぱ和英さんの謡を聴いて、お声好きだなァと思いました。他の好きなシテ方さんも似たような声なので、お能に関してはこういう声が好きみたいです(推し様とは全然違う声だけど、推し様は特別枠ということで笑。あくまでもお能での話)。

『翁』の時のような神聖な空気を感じたけど、途中の入退場禁止にはなっていなかったので、そこまで神聖な行事ではないのかな〜?🤔

終演後、拍手するのは違うかな〜?と私を含む観客全員がそう察したのか、拍手はナシでした。余韻も大事。

この後、20分の休憩を挟んで狂言へ。

狂言「末廣かり」(和泉流)

 果報者:野村万作
太郎冠者:野村萬斎
 すっぱ:三宅右近
  後見:高野和憲

【あらすじ】果報者(演:野村万作)が、家来の太郎冠者(演:野村萬斎)を呼びつけ、「良質な地紙で骨に磨きがかかり、戯れ絵が描かれている」という「末広」(扇の一種である中啓のこと)を都に行って買い求めるよう命じる。太郎冠者は末広が何かわからないまま都へ行き、その大通りで「末広買おう」と大声で人々に呼びかける。それを見た男(すっぱ/演:三宅右近)は、あり合わせた傘を取り出し、言葉巧みに「これが末広だ」と売りつける。さらに、すっぱは太郎冠者に「主の機嫌が悪い時に謡うとよい」といって或る唄を教える。太郎冠者は主人のもとへ帰ったが、主人は持ち帰った傘を見るや激怒し、太郎冠者は自分が騙された事に気付く。しかし太郎冠者がすっぱに教わった唄を謡うと主人はたちまち機嫌を直し、太郎冠者と共に舞い謡うのであった。

*・*・*

以前、山本家で観た演目。その時も父子狂言で凜太郎さんの太郎冠者が可愛かったので、それを萬斎さんver.で観るのをとても楽しみにしてました🤭

凜太郎さんの太郎冠者は、山本家の芸風的に真面目すぎるが故の天然っぽさを感じましたが(笑)、萬斎さんの太郎冠者は、いつもの王道の世間知らずのお調子者で、とてもチャーミングでした💕

やはり芸風が違うと印象も変わりますね。こういうところも狂言の面白さだと思います。

自信満々に(偽の)末広がりを説明する萬斎冠者と、それを見て怪訝な表情をする主・万作さんとのやり取りに笑い🤣、次は、愚かな家来に激怒した主の機嫌を取ろうと、傘を持って良い声で謡う萬斎冠者に酔いしれ💕、そしてその囃子に釣られちゃう万作さんの笑顔が可愛くって、ずっとニヤニヤが止まりませんでしたw🤭

さらに今回はお囃子付きだったので、笛の音に合わせて親子揃っての片足ケンケンは凄かったです😌

ホントに最高のコンビ👍✨

てか萬斎さんの太郎冠者がホントに可愛くて、もっと萬斎さんの太郎冠者狂言が観たくなりました😆💕

今回は他家との共演ということで、すっぱ役の右近さんも正に“口が上手い詐欺師”っぷりがお見事で、とても良きでした!ちなみに、右近さんを観るのは、太一郎さんの会の時以来かな。

てか萬斎さん、前日に金沢で市川猿之助さんとの二人三番叟の公演があったのですが「アナタ、昨日ホントに三番叟踏んで来たんですか!?」ってくらい、疲れを感じさせないどころか、声も動きもとても好調のように見えました😳

二人三番叟の公演は拍手万雷だったそうなので、お客さんからエネルギーを貰ったのかな!?😌この日の萬斎さんの狂言は、会が会なだけに、とても活力に満ちてるような気がしました。

私自身は遠征が無理で、二人三番叟が観れなくてションボリしてたけど、その分、この日は元気な推し様を観れて嬉しくなりました(以前、地方で三番叟をやった翌日の公演を観た時は、お声に疲れを感じたので😅)。ボレロや二人三番叟みたいな特別な公演も観てみたいけど、私は私なりのやり方で、地道にマイペースに推していこうと改めて思いました。

今回も大好きな脇正面(3列目)で鑑賞
狂言「月見座頭」(大蔵流)

下京の座頭:善竹十郎
 上京の者:茂山七五三

【あらすじ】仲秋の名月の夜。座頭(演:善竹十郎)は、月を見ることは出来ないが、虫の音を楽しもうと野辺に出かける。そこへ男(演:茂山七五三)が通りかかり声をかける。意気投合した2人は、古歌を吟じ舞をまって酒宴を楽しむ。二人はそのまま良い気分のまま別れるが、気が変わった男は途中で立ち戻り、作り声をして別人を装い、座頭を突き倒して幕に入る。1人残された座頭は、さっきの人と違って情のない人もいるものだと言い、一つ大きくくしゃみして終曲となる。

*・*・*

善竹十郎さんと茂山七五三さんによる月見座頭。演目の内容は知ってますが、両人も演目も生で観るのは初めて。善竹十郎さんの座頭は、人が良さそうなお爺ちゃんって感じが全開だったので、あのラストの結末にはとても切なくなってしまいました😢

ただ、山本東次郎先生の月見座頭はテレビで、万作さんの月見座頭は配信で観たことがあるけど、それと比べると今回の月見座頭は、お二人の芸風がそうさせたのか、普段の狂言に近い柔らかさを感じましたね。茂山七五三さんの芸にクスクスと小さな笑いも起きてたし。元々、いろいろと考えさせられる演目ですが、今回は今回で、なかなか興味深い月見座頭でした。

能「乱」

猩々(シテ):金春安明
高風(ワキ):森常好

【あらすじ】親孝行で評判の高い高風(ワキ/演:森常好)という男が、揚子の市で酒を売ると富貴の身になるという夢を見て、そのお告げのとおりに酒を売ってお金持ちになった。その高風の店に来て酒を飲む者で、いくら飲んでも顔色が変わらない者がいるので、ある日、名を尋ねると海中に住む猩々だと明かして帰っていった。そこで、高風はある月の美しい夜、潯陽の江のほとりに酒壺を置き、猩々の出てくるのを待つことにする。するとそこへ赤い顔の猩々(シテ/演:金春安明)が現われる。猩々は友の高風に逢えた喜びを語り、酒を飲み、舞を舞う。そして高風の素直な心を賞し、汲めども尽きぬ酒壺を与え、消えていく。

*・*・*

初見の演目。『猩々』という演目に小書「乱」が付くと、題名そのものが『乱』になるらしい。

こういう演目なのか、普段は観世流を観ることが多いからなのか、格好も含めシテから何か今まで感じたことのない独特なオーラを感じました。猩々というのは精霊の一種らしいので、その雰囲気はとてもよく出ていたように思います。装束がカッコ良かった(=観ていたい)ので、睡魔には何とか勝ちました(なんだそれw)。

ストーリー自体はシンプルなので、内容よりも猩々の舞がメインの演目。そういう意味では初心者でも見やすい演目なのかもしれません。お能の演目もなかなか良きでした。

▼前回の能楽鑑賞日記はコチラ

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