野村万蔵家のお狂言を観てきました【能楽観賞日記】#14

勝手に決めました、毎月第2日曜日は狂言の日
横浜能楽堂 普及公演「横浜狂言堂」
2022年8月14日(日) 14:00 開演

横浜能楽堂では毎月第2日曜日に、お手ごろ価格の2,200円✨で、狂言2曲を解説付きで楽しめる普及公演を行っております。

んで、今月の担当は野村万蔵家(現在当主の九世野村万蔵さんは、野村萬斎さんの従兄弟にあたります。ウンナンの南原清隆氏とコラボもしてるので、知ってる方も多いのでは?)。あの万蔵さんのお話と狂言をお手ごろ価格で観れるなんて凄いお得!と思ったので行ってきました。万蔵家のYouTubeチャンネルで狂言は何本か観たことあるのですが、生で拝見するのは今回が初めてです。

あ、ちなみに今回も安定の(?)脇正面で鑑賞しました。チケット買う時、正面の前方はほぼ埋まってたのですが、脇正面の3列目が空いてたのでポチッとしました。実際に当日は、正面席・脇正面は、ほぼ埋まっており、中正面後方が少し空席になってたかなって感じです。お手ごろ価格で観れる公演なだけあってコロナ禍でも人気のようです。

<本日の演目>

お話:野村万蔵

狂言「箕被」(和泉流)
シテ(男):小笠原由祠
アド(妻):野村拳之介
後見   :石井康太

狂言「千鳥」(和泉流)
シテ(太郎冠者):野村万之丞
アド(主)   :河野佑紀
小アド(酒屋) :野村万蔵
後見      :石井康太

※お笑いコンビ「やるせなす」石井康太さん。最近、万蔵家のYouTubeで知ったんだけど、万蔵さんの下でガチの狂言師になってて驚いた(笑

まずは、万蔵さんのお話(解説)からスタート。

前日は台風だったので、その話題から始まったのですが、万蔵さんは前日、金沢で公演があり、行きは良かったのですが、帰りの新幹線で2時間足止めを食らったそうです。帰宅したのが23時半頃ということで、今日はちょっと疲れが残ってるかも(苦笑)とのこと。萬斎さんも怒涛のスケジュールこなしてるけど、万蔵さんも大変だなァと思ったり。

万蔵さんは演目の順番通りではなく、逆から解説するのが好き(確かにその方が聴いてるコチラも本編に入りやすい🤔)ということで、先に狂言「千鳥」の解説へ。「千鳥」は、酒屋から酒をただ(ツケ)で手に入れようと画策する太郎冠者と、それをさせまいとする酒屋の主人のやり取りを謡った狂言です。

(一応、にほんごであそぼver.もあるので参考までに。)

大蔵流では20〜25分くらいの演目だけど、和泉流は40分近くもあり、大蔵流は太郎冠者と酒屋の主人が仲良しなのに対し、和泉流は両者の攻防がわりとガチな感じなのかな🤔、太郎冠者が謡う「ちりちりや、ちりちり」という節も長めだけど、その分『千鳥』という題名に相応しい内容になってるんじゃないか、と万蔵さんなりの解釈を聞かせてくれました。

実際の舞台では、主人役の河野佑紀師がイケメンで表情豊かで上手いなァと見惚れつつ(笑)、後半は太郎冠者と酒屋のやりとりがメインのお話なので、ここでの万蔵さんと万之丞さんの親子の息がピッタリで、両者の攻防に何度も笑いました。てか、やはり万蔵さんが上手くてですね、初役の万之丞さんをリードして、万之丞さん自身も途中からより興が乗ってきた感じがしました。

一方、狂言「箕被」は笑いよりも連歌を題材にした風流を重視した曲です。

【あらすじ】連歌に明け暮れる夫に愛想をつかした妻が離縁を申し出る。夫は離縁を了承し、そのしるしとなるものを渡そうとするが家には何も残っていなかった。そこで妻が長年愛用した箕を離縁のしるしとして渡す。妻がその箕を被いて出ていこうとすると、それを見た夫がその姿に風情があるといい、「いまだ見ぬ二十日の宵の三日月(箕被き)は」と発句を詠み、同じく連歌を趣味とする妻の親へ伝えるよう頼む。それを聞いた妻は自ら「今宵ぞ出づる身(箕)こそつらけれ」と脇句でみごとに応じ、妻に連歌の才能があると知った夫は妻の気持ちを理解し、詫びを入れ、めでたく復縁する。

この曲は滅多にやらないし、連歌を題材にしてるので、シテもアドもある程度経験を積んだベテランの狂言師じゃないと難しい曲とのこと。ちなみに本日の演目は、万蔵さん以外は全員、初役。「箕被」も小笠原由祠師の希望で今回やることになったそう。アドは、まだまだ若い次男の拳之介さんで、年齢的にも大目に見てもらえれば…とのことでしたが、実際の舞台では二人とも、とても初めてとは思えないくらい堂々とされていました。特に年齢・経験的にも拳之介さんは上出来だったと思います。高い声をしているので女性役が似合ってるなァとも思いました。

ちなみに「箕被」は、今月下旬に行われる野村狂言座で萬斎さんが挑む演目でもあります。ネットで大蔵流のも観たことありますが、色んなお家を見比べてみるのも狂言の楽しみ方のひとつだと思うので、萬斎版を観るのがより楽しみになりました。

ただ、今日観た感じでは座席位置的に、萬斎さんの後ろ姿を拝むのがメインになりそうな予感w(ボソッ

万蔵さんの解説は5分ほど余ったので、最後は祖先祭の宣伝をして終わりました。

特殊な演出<風流>。本当に限られた時にしかやらないので、やらなさすぎて実際に過去どんな演出で行われていたのか謎なんだとか。今だったら映像とか写真とかあるけど、昔だと書物だけだろうしね。勿体ぶってやらなさすぎるのも考えものだなと思いました(苦笑)。横浜能楽堂主催と違って、万蔵さん主催なのでチケット代が桁違いなんですけど、よろしくお願いしますとのことでした(ホントに高い・苦笑)

お手軽価格で狂言鑑賞が出来る「横浜狂言堂」。いろんなお家を見比べてみたいと思っても、推しに貢いでるとなかなか余裕がないので、こういう公演はありがたいです。大蔵流も気になりますし、今後も機会が合う時は、また行こうかなと思っております。

ちなみに来年の2月は、万作の会の若手が登場するようです。こちらも要チェックです。

▼普及公演「横浜狂言堂」の情報は公式サイトにて
https://yokohama-nohgakudou.org/kyogendo/

▼前回の能楽鑑賞日記はコチラ

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