36 家政夫のシム
side Y
部屋に入ると、シム・チャンミンは目覚めていて、意識もはっきりしているようだった。
でも俺を見た瞬間あわあわと慌てて、泣きそうな顔をした。
「…もう落ち着いたか。」
「あっ…あの…僕…」
「脅かすなよ…いきなりキッチンで倒れてるから、心臓が止まりそうになった。」
「も…申し訳ありません…」
「具合が悪いなら、無理するなよ…。倒れられる方が迷惑だ…。」
「…ッ、ごめんなさ…」
そこまで言うと、一気にシム・チャンミンの瞳に涙が浮かぶ。
眉を下げて、下を向いて、自己嫌悪に陥っているんだろう…。
ツキン、と胸が痛む。
本当は、こんな言葉をかけたいんじゃないのに。
「…っ、ユンホさん…ぼく、点滴を受けたら自分で帰ります…。なので…」
「何言ってんだ。そんなんで帰れるわけないだろ?いいからおとなしくしとけ。」
「…でもっ、これ以上ご迷惑をかけるわけには…ユンホさん………ッグスッ…今日もお仕事なのに…」
本格的に泣き出してしまったシム・チャンミン、
一人で帰るだなんて無理に決まってるのに。
グスングスンと泣いているけど、顔を見せないようにか、掛け布団をすっぽりかぶって顔を隠している。
布団から、ぴょこんとはみ出ている頭頂部の髪の毛。なんだかそれが可愛く見えてきた。
これ以上こいつに泣かれるのも嫌だったので、そっと手を伸ばして…シム・チャンミンの頭を触ってみた。
ビクリと…体がはねる。
「…シム・チャンミン、…酷い言い方しかできなくてすまない。…さすがにこんな具合悪そうなお前を一人で帰すなんてできるはずないだろ。何も気にしなくていいから、点滴終わったら車で帰ろう。」
思えばこれが、初めて俺がシム・チャンミンにかけた心のこもった言葉だったかもしれない。
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少しだけ…縮まり始めたふたりの距離😂
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