可愛いひと 13
言い訳するわけじゃねぇが
自分でも無意識だった。
気が付いた時にはもう
吸い寄せられるように自然と唇を重ねていた。
『可愛いひと』 第13話
珈琲を吹き出した後、シミが出来ると
Tシャツを剥ぎ取って洗面所へと走った牧野。
服なんて汚れたなら捨てればいいだろ?
それより簡単に男を部屋にあげて
半裸にしてるほうがよっぽどヤベェぞ?
そんな事を思いながらも
追うようにオレも洗面所へと足を進めれば
そこにまるでペアみてぇに
並んだ歯ブラシを見つけて問い詰めた。
結果、それは牧野の弟の物だとわかったが
その間 逃がさねぇように
腕の中に閉じ込めていたからなのか
真っ赤な顔でテンパってる牧野がいた。
普段ガキ扱いばっかりしてくるくせに。
これだって自分で脱がしたくせに。
それでも
初めてなんじゃねえかってほどに
オレを男として意識してんのが嬉しくて…。
軽く触れただけのキスだったが
さっきよりまた赤くなった顔が可愛くて
離れるのはもったいねぇ気がして
額だけくっつけその瞳を覗き込む。
しばらくキョロキョロと落ち着きなく動いていたが
ふと、視線がぶつかったのと同時にハッとしたように
腕を突っ張り距離を取ろうとしたが
首に腕を回して完全には逃がしてやんねぇ。
「な、なんでっ…!」
「んー…なんとなく?」
「なんとなくって何っ!?」
「別にキスくらいいいだろ?
大人のくせにこれくらいで騒ぐなよ」
「子供も大人もないでしょっ。
なんとなくでキスなんてしないで!」
「理由があったらいいのか?」
「ん??」
「可愛いと思ったからキスした。」
「かわっ!?」
「あぁ。可愛い。
だから、もっかいしていいか?」
「え…ダメッ!絶対ダメ」
「なんでだよ。
理由があればいいんじゃねぇの?」
「そんな事言ってませんっ」
「今言っただろうが」
「お、大人をからかうんじゃありませんっ」
「…大人、大人って
そこまで歳も離れてねぇだろ?」
学生と社会人という差はあるが
年齢だけならガキ扱いを受けるほどじゃねぇはずだ。
それでも牧野は
たったそれだけの壁を理由に
またオレを男の枠から外す事で
なんとか冷静さを取り戻そうとしてる。
「牧野」
「な、なに…?」
まずはさっきからろくに合わせようとしねぇ
視線から捕まえる。
「「……」」
そのままジッと見つめる事数秒。
一瞬だけ視線を落とし唇を捉えてまた視線を戻せば
意図を理解したのか少しだけ牧野の瞳が揺れた。
そのまま首に回していた腕の位置を変え
後頭部に手を添え引き寄せると
触れるか触れないか、ギリギリの所で止めてやる。
止まるとは思ってなかったのか
牧野はキュッと瞑っていた瞼をそっと開けた。
数センチの距離で見つめ合う。
まぁ、これで
牧野からキスしてくれるなら言う事はねぇが
強情なのか、照れてんのか。
動く気配のねぇ牧野が我に返る前に唇を優しく重ねた。
最初は触れるだけのキスから
次第に角度を変えながら甘噛みするようなキスへ。
すると牧野の体から少しだけ力が抜け
同時にオレの腕をそっと握る。
それを牧野がオレのキスを受け入れた合図として
舌で歯列をノックするようにすれば
少しの躊躇いはあったものの薄く開いたそこから侵入し
牧野の舌を捕まえ、絡ませる。
その間、後頭部に回した手の中で
耳を優しく愛撫してやればピクッと肩を震わせた。
そうだ。
牧野の意識全てがオレに集中すればいい。
歳がどうだとか、立場がどうだとか。
そんな面倒な思考なんて全部取っ払って
オレしか感じられなくなればいいんだ。
そんな事を考えながら
キスに夢中になってどれくらい経っていたのか。
牧野の体から力が完全に抜けたみてぇに
カクン、と落ちそうになったのを受け止めそっと床に座らせる。
トロンとした瞳に、濡れた唇。
それはまさに
いつも大人でいようとしてる牧野の女の顔。
「これでもまだオレをガキ扱いするか?」
唇を指で撫でながら聞いたその言葉に
返事はなかったが、聞くまでもねぇんだから構わねぇ。
「言っておくが。ガキじゃねぇって
そんな事を言うためにこんな事したんじゃねぇぞ?
もちろん からかったわけでもねぇ。
さっきも言っただろ?
お前が可愛いと思うから。だからしたんだ。本気だぞ」
その言葉にだって返事はなかったが、
顔を上げて視線を合わせたこいつに
「オレはお前が好きだ。
だから学生の1人とかじゃなくて
オレ自身をちゃんと男として見ろよ」
そう続けてから
だめ押しでもう一度チュッと軽くキス落とした。
いつも応援ありがとうございます♡
自分でも無意識だった。
気が付いた時にはもう
吸い寄せられるように自然と唇を重ねていた。
『可愛いひと』 第13話
珈琲を吹き出した後、シミが出来ると
Tシャツを剥ぎ取って洗面所へと走った牧野。
服なんて汚れたなら捨てればいいだろ?
それより簡単に男を部屋にあげて
半裸にしてるほうがよっぽどヤベェぞ?
そんな事を思いながらも
追うようにオレも洗面所へと足を進めれば
そこにまるでペアみてぇに
並んだ歯ブラシを見つけて問い詰めた。
結果、それは牧野の弟の物だとわかったが
その間 逃がさねぇように
腕の中に閉じ込めていたからなのか
真っ赤な顔でテンパってる牧野がいた。
普段ガキ扱いばっかりしてくるくせに。
これだって自分で脱がしたくせに。
それでも
初めてなんじゃねえかってほどに
オレを男として意識してんのが嬉しくて…。
軽く触れただけのキスだったが
さっきよりまた赤くなった顔が可愛くて
離れるのはもったいねぇ気がして
額だけくっつけその瞳を覗き込む。
しばらくキョロキョロと落ち着きなく動いていたが
ふと、視線がぶつかったのと同時にハッとしたように
腕を突っ張り距離を取ろうとしたが
首に腕を回して完全には逃がしてやんねぇ。
「な、なんでっ…!」
「んー…なんとなく?」
「なんとなくって何っ!?」
「別にキスくらいいいだろ?
大人のくせにこれくらいで騒ぐなよ」
「子供も大人もないでしょっ。
なんとなくでキスなんてしないで!」
「理由があったらいいのか?」
「ん??」
「可愛いと思ったからキスした。」
「かわっ!?」
「あぁ。可愛い。
だから、もっかいしていいか?」
「え…ダメッ!絶対ダメ」
「なんでだよ。
理由があればいいんじゃねぇの?」
「そんな事言ってませんっ」
「今言っただろうが」
「お、大人をからかうんじゃありませんっ」
「…大人、大人って
そこまで歳も離れてねぇだろ?」
学生と社会人という差はあるが
年齢だけならガキ扱いを受けるほどじゃねぇはずだ。
それでも牧野は
たったそれだけの壁を理由に
またオレを男の枠から外す事で
なんとか冷静さを取り戻そうとしてる。
「牧野」
「な、なに…?」
まずはさっきからろくに合わせようとしねぇ
視線から捕まえる。
「「……」」
そのままジッと見つめる事数秒。
一瞬だけ視線を落とし唇を捉えてまた視線を戻せば
意図を理解したのか少しだけ牧野の瞳が揺れた。
そのまま首に回していた腕の位置を変え
後頭部に手を添え引き寄せると
触れるか触れないか、ギリギリの所で止めてやる。
止まるとは思ってなかったのか
牧野はキュッと瞑っていた瞼をそっと開けた。
数センチの距離で見つめ合う。
まぁ、これで
牧野からキスしてくれるなら言う事はねぇが
強情なのか、照れてんのか。
動く気配のねぇ牧野が我に返る前に唇を優しく重ねた。
最初は触れるだけのキスから
次第に角度を変えながら甘噛みするようなキスへ。
すると牧野の体から少しだけ力が抜け
同時にオレの腕をそっと握る。
それを牧野がオレのキスを受け入れた合図として
舌で歯列をノックするようにすれば
少しの躊躇いはあったものの薄く開いたそこから侵入し
牧野の舌を捕まえ、絡ませる。
その間、後頭部に回した手の中で
耳を優しく愛撫してやればピクッと肩を震わせた。
そうだ。
牧野の意識全てがオレに集中すればいい。
歳がどうだとか、立場がどうだとか。
そんな面倒な思考なんて全部取っ払って
オレしか感じられなくなればいいんだ。
そんな事を考えながら
キスに夢中になってどれくらい経っていたのか。
牧野の体から力が完全に抜けたみてぇに
カクン、と落ちそうになったのを受け止めそっと床に座らせる。
トロンとした瞳に、濡れた唇。
それはまさに
いつも大人でいようとしてる牧野の女の顔。
「これでもまだオレをガキ扱いするか?」
唇を指で撫でながら聞いたその言葉に
返事はなかったが、聞くまでもねぇんだから構わねぇ。
「言っておくが。ガキじゃねぇって
そんな事を言うためにこんな事したんじゃねぇぞ?
もちろん からかったわけでもねぇ。
さっきも言っただろ?
お前が可愛いと思うから。だからしたんだ。本気だぞ」
その言葉にだって返事はなかったが、
顔を上げて視線を合わせたこいつに
「オレはお前が好きだ。
だから学生の1人とかじゃなくて
オレ自身をちゃんと男として見ろよ」
そう続けてから
だめ押しでもう一度チュッと軽くキス落とした。
いつも応援ありがとうございます♡