雪上からコンクリートの滑走面へ舞台を変えた「二刀流」への挑戦。平野歩は3位と健闘した。「楽しめた。(東京)五輪に近づくきっかけになれば」。普段はクールで表情を変えないイメージのある平野だが、湘南の日差しを受けて表情が和らいだ。
 スノーボード練習の一環でスケートボードに乗ることはあったが、それはあくまで「遊び感覚」だった。最近の練習でも手応えはなかったというが、五輪メダリストらしく本番での強さを発揮した。予選を3位で通過し、8人で争う決勝。2回目に空中で板をつかむ高さのあるジャンプ、切れ味鋭い回転技を繰り出して高得点をたたき出した。スケートボード関係者からは「やっぱりうまいな」と感嘆の声が漏れた。
 冬季では世界トップの実力でも、東京五輪を目指す道のりは簡単ではない。それでも決断したのは、アスリートとしての生きざまを見てほしいから。「誰もができないものに挑戦できる。少しでもみんなに伝わればいいな。夢を持ってチャレンジする子が増えればいい」。上位に入れば五輪への道がつながる5月の日本選手権に向け、期待が膨らんだ