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癌患者もただの人。働かないと食えないし、笑ったり怒ったり、電車にも乗るよ。
午前00:45頃。
今夜は少々の料理以外は諦め、なんとか午前01:00前に床に就くことができた。
さっさと眠ってしまおう。
その時だ。
バタバタと響く足音。
通常の品より一桁高額なスリッパを買い与えても、夜中であろうが大きく響く夫の足音。
以前の住居で階下から怒鳴り声が響いたこともあったが、階下の住人には音の主はわかるまい。
日中も足音は響くので、大方、女房の方だろうと考えているようなら迷惑なことだ。
平日の日中、私は不在なのだから。
集合住宅で暮らして二桁の年数を重ねているが、静かに歩かねばならないとは思わないらしい。
言葉で注意を促しても、彼には関係ないのだ。
そういった事柄が理解できない人間がいるということを学んだのは、ワタシにとって良かったのか悪かったのか。
用を足すらしい。
トイレから出て、襖が閉じる音。
いい具合に眠気もさして、このまま眠ってしまいたい。
しかし、朝には汚れもこびりついて面倒だ。
しばし葛藤。
手術以来初の本格的な風邪を引きこみ、やっと迎えた週末の夜だ。
バッタリ倒れでもせぬ限り、生活は通常通り。
当然、いつもより疲労は大きい。
眠らせろ!
しかし、入眠体制の身体を引きずって起きる。
起き上がり際に咳が出る。
風邪でなくとも、今は胴体を曲げると自動的に咳が出るのだ。
トイレのドアを開け、嘆息。
予想に増しての悪い状況。
起き出したことは正しかった。
まず目に飛び込んだのは、床に広く散った大小の水滴。
便器の蓋と便座を上げると、便器の手前だけでなく奥の温水器にも広範囲に水滴がかけてある。
飛び散っているのではなく、ぶっかけてある。
便器の手前の縁からは、床に向かって滴る水滴。
朝まで放置せずにおいて正解だ、ワタシよ。
軽い汚れなら清掃用のウェットシートで拭き取るが、これは無駄になる。
先ずはトイレットペーパーに水分を吸わせ、清掃用ウェットシートで更に拭き取る。
夜中だぜ。
そろそろ午前1時を過ぎているぜ。
なんだ、この家は?
夫はトレイで手を洗わぬので、ドアノブや天井灯のスイッチも拭いておく。
夫からすれば、トイレで手を洗えと何度も強く言う妻は狂人だそうだ。
軽い尿汚れは毎度。
まあまあ、96%くらいの確率だと思う。
偶に本人がトイレットペーパーで塗り拡げていて、汚れが広がっている場合があるが、言っても無駄と学習したところだ。
従って、ワタシはトイレに行くと最初に拭き掃除をして、やっと自分の排泄の番が来る。
夜中の場合は、上記のとおり。
稀に気付かず眠っていると、朝一番に不快な思いをするハメになる。
なんなんだ、この家は?
とにかく目視確認できた汚れは解決し、改めて床に就いた。
脚が冷えてしまったが、仕方ない。
眠気は去るかと思ったが、疲労が勝ったのか入眠は早かった。
しかし、午前2時代にまたもや目覚める。
咳が出る。
そうだ。
食道がん手術後の咳は幸いにも睡眠中を襲うことはないのだが、今は風邪の咳が出る。
術後はネブライザを使ってもトンと音沙汰のなかった痰が、今度の風邪ではどんどん溢れてくる。
痰がゴボゴボ切れて出てきてしまうので、職場では周囲が不快なことだろう。
咳で目覚め、いつも以上の息苦しさに一抹の不安。
これはしつこそうだ。
気管は痰が絡んでいるし、鼻腔は鼻水を訴えている。
咳をしながらも洟はかみたい。
息がしづらい。
洟をかむってのも、肺活量が減るとたいへんだ。
術後は実際、たいへんだった。
痰はタイミングにまかせるしかないので、息を楽にするには洟をかんでしまわねば。
しかし、洟をかむための息が吸えない。
近頃は、我が身にふりかかった事態に喘息の方の苦労が偲ばれる。
息が絡んだ痰に邪魔されて、たくさん吸えない。
咳は出る。
えい、苦しいじゃないか。
どうなんだ、これは。
解決できるのか、ワタシ。
呼吸が正常化出来ないと、マズイじゃないか。
困るじゃないか。
だいたい夜中じゃないか。
当然、夫は様子を見に来る人柄ではないし、娘も似たようなもの。
基本人格は育成環境でなく、遺伝で決まると断言してくれた学者先生、ありがとう。
母親として、少しは救われる。
ゼイゼイと浅い呼吸を繰り返し、無理やりにでも洟をかんだ。
呼吸を改善せねば、本当に息が止まる。
ゼイゼイ言って、洟をかみ、を繰り返し、一度は痰も出た。
いやいや、疲れた。
咳き込み過ぎて目が冴えるどころか、疲れたおかげで無事に眠りに落ちた。
こんなだと、年配の方なら呼吸困難に陥るな。
風邪は万病の元。
元の肺活量に戻るまでは、油断できない。
デスクワーク生活だが、ウォーキングの時間を確保せねばなるまい。
それにしても、災難な土曜の夜。
(以下、不快写真公開をお詫びします)
先だって、化膿したのが破裂するまで気づかなかったという、我ながらの鈍さなわけだけれども。
何かにつけ、ちょうどいい高さにあるらしく、しばしば傷の位置に物を当ててしまう。
腫れたのが破れて膿は出たから、じきに治ると思っているじゃないか。
怪我って、そんなもんでしょ。
ところが治らん、なおらん。
赤く腫れの大きさが減ってきたかから、もう平気、なんて思っていたらさ。
フツー治るだろ、そこ。
プチっとな。
また傷、開いたね、コレ。
絆創膏に、少々の血液混じり組織液(?)。
はいはい、平気ですよ。
あくまで皮膚トラブルレベルだからさ。
キズは浅いぞ、て。
浅くても、痛いわ。
ちょっとだけど。
つか、メンドクサイわい。
ずっと傷あんの。
絆創膏、貼りたくないけど衣類にこすれるしさ。
あらゆる動作で擦れるから。
咳してもスレるから。
子どものころの膝小僧の怪我と違って、出しっぱなしにできないからね。
服着ないと、おまわりさんに連れてかれちゃうからね、オバサン。
元凶は食道がん。
症状は地味に肌トラブル。
なんなんだ、この落差。
ニベアクリームってあるでしょ?
そうそう、青い缶入りのロングセラーなスキンクリーム。
塗ると、直後はコッテコテになるよね。
香りも強烈だよね。
お肌がデリケートな人が使うっていうイメージの香りじゃないね。
一生使わないと思ってたさ。
この冬、デビュー。
よもやの展開、色々あるなぁ。
きっかけはって。
そりゃまあ、食道がん手術ですよ。
術後のICUで、足の甲にふと目を落とすと。
いや、落とすほど下になかったけどね。
ベッドの上にいたからね。
粉がふいてるじゃ、ありませんか。
脛はね、前からだったけど。
足の甲、キタよ。
お陰さまで着々と回復。
一般病棟において、そろそろ入院生活から逃れたくなってきた頃。
血圧計りますよ、と看護師さん。
はいはい、と何気なく出した上腕の内側。
外側ではなく、内側!
粉ふいてるやんけ!
お陰さまで退院して、レンタルの薄い衣類から自前の色の濃い衣類に戻って驚愕。
あっちもこっちも、粉ふいてるよ、コレ。
もう、ショーツまで粉っぽいもん。
お腹の皮膚も乾燥してるもん。
これまで使ってた保湿ゲルでは追いつかんではないか。
ええ、諦めましたとも。
少々の強い香り、しばし耐えましょう。
塗布後のコテコテ感も。
そして、めでたくもワタクシ、現在はニベアクリーム青缶ユーザと相成りました。
缶ね。
ちょっと扱い辛いのよね。
大容量のチューブ入りとか、出ないかな。