202109Kandesarutan  血圧の薬は死ぬまでやめられないのだろうか?
 診察室に入るよう医師に名前を呼ばれた私は、ピョン太リーダーにしばしの別れを告げ、指示通り診察室に入った。
 医師の前に座ると、「肺気腫でひっかかったんだね?息苦しいとか自覚症状はある?」と聞かれた。
 「いいえ、まったくです」
 「肺気腫かどうかを調べるには CT しかないんだけど、どうします?自覚症状がないんだったら1年後の検診まで様子を見るってことでもいいんだけど、あとはMUUSANしだいです」
 「はい。1年待ちます」

 そのあと聴診器をあてられたが、異常なし。
 また、血液検査の中性脂肪の値が今回400を切ったことについて、「薬を替えた効果がでつつある」と満足げだった。
 なお、胃の精密検査を受けるようにという状況になっていることについては、まったく触れてこなかった。
 そんなわけで、ではまた薬を60日分出しておくという結びの言葉によって、私は診察室を出た。
 腹部超音波検査を受けられなかったが、どうすべきかということについて聞くのを忘れた。

 待合室で再びピョン太リーダーと話したが、すぐに会計で呼ばれたので、私は「では、お先に。また薬局で会うかもしれませんが、一応、また今度!」とピョン太リーダーに告げ、病院をあとにした。

 隣にある調剤薬局に行き、いつもの薬をもらう。
 薬剤師が言いにくそうに言う。
 「実は血圧のカンデサルタンという薬なんですが、名前も同じで見た目もほとんど変わらないのですが、いままで処方していた薬が明治のものだったんですが製造をやめまして、今回から『あすか』のものに替わります」
20210913PL_Ofukuro 「はあ」
 「で、お値段が上がります」
 「ええっ!?」

 思わず血圧が上がり、脈が速くなってしまった私。

 いままでのカンデサルタンの薬価が1錠17円だったのに、「あすか」のカンデサルタンは45.1円もするのである。
 同じ薬なのに倍以上もするなんて-しかもジェネリックなのに-まったくもって理解できないが、薬剤師が暴利バーのように値をふっかけてきているわけではないので、ここでダダをこねてもしょうがない(医者はこの衝撃の事20210909PL1実を知っているのだろうか?)。
 6月には中性脂肪の薬も替えることになったが、新しい薬はジェネリックもなく、薬価はそれまでのものより3倍以上も高くなった。

 中性脂肪の薬を替える前までの60日分の薬代(高脂血症、高血圧、頻脈、高尿酸血症)は1,800円ほどだったが、今回、つまり中性脂肪の薬に加え高血圧の薬も新しくなった薬代は3,200円に!およそ8割のアップだ。1日当たり、これまでの生活から50円以上節約しなければならない計算になる。ある日、サザエの「おふくろの味弁当」(561円)を無性に食べたくなっても、弁菜亭の「幕の内弁当」(500円)にしておくという日々が起こりうる(弁菜亭の幕の内もおいしいけど)。
 貧乏で病気になっても病院にかかれないっていう人の気持ちがわかる気がした。
 年金生活になったら、もう薬を飲むのをやめようかと思うほどだ。週刊誌なんかには『薬を飲むのをやめよう』みたいな記事がときどき載っているようだし……(たとえば ↓ の広告のように)

 失意のどん底に突き落とされた、私が薬局を去るまで、ピョン太リーダーは薬局に現われなかった。

 ところで、新たにわかったことが。
 私が健診を受ける1カ月ほど前に、同じ健診センターで同じ職場の人が健診を受けたのだが、肺気腫の疑いという結果が出たんだそうだ。
 で、精密検査(CT)を受けたところ、結果はまったく問題なし。

 もしかすると、あの健診センターのX線担当医師は肺気腫に用心深いのかもしれない。

 R-コルサコフ(Nikolai Rimsky-Korsakov 1844-1908 ロシア)の歌劇「皇帝サルタンの物語(The tale of Tsar Saltan)」(1899-1900)から「熊蜂の飛行(The flight of the bumblebee)」を。

20210920Post

20210920Gendai