20181215RippingScr  のんびりしてる余裕はない!
 今日更新した本館の記事の中でも触れたが、いや、触れたがゆえに「このままではいけない」という危機感を覚えた。

 CDのハードディスクへの取り込み。すなわちリッピングの進捗状況についてである。

 こんなにチンタラとやっていたら、何年かかってしまうかわからない。私に残された時間は。もう少なくとも200年はないのだ。

 持っているCDをすべてリッピングし終えたとき、すっかり耳が遠くなっていたとか、もう余命いくばくもない-もうそんな気になっていないでもない-という状況に自分がなっていたら、それこそ骨折り損のくたびれ儲けってもんだ。

 音源をハードディスクに取り込んだので再生が楽だとか、CDがなくなってお部屋の中がすっきりという本来の目的が、取り込み作業をするという手段が目的化してしまうことになりかねない。

 そんなわけで、昨日、今日はリッピングに集中して取り組んでいる。

 「空き時間を見つけてリッピングぅ~」なんて悠長なことでは、遅々としてまったくもって進まないことに、この美しき壮年男性はようやく気づいた。振り返るな、ひたすら前進あるのみ!

 てことで、ブログに時間を割いている場合ではない。
 今日のところは、これにてバイビー!

MonteverdiOrfeo  とは言ったものの…… 
 上の画面でリッピング中のCDは、ヤーコプス/コンチェルト・ヴォーカレ他の演奏による、モンテヴェルディ(Claudio Monteverdi 1567-1643 イタリア)の歌劇「オルフェオ(L'Orfeo)」(1607初演。プロローグと5幕。台本:バドアロ)。

 ルネサンス期からバロック期にまたがって活動したモンテヴェルディだが、オペラ最初期に書かれた「オルフェオ」は、その劇的な音楽によって画期的なものとされ、現在でも上演レパートリーに残っている作品である。

 「新訂 大音楽家の肖像と生涯」(音楽之友社:1981年第17刷)のなかのモンテヴェルティの項にはこう書かれている。

 ……彼の前にも、オペラの上演の試みはあったが、その「オルフェオ」によって、真のオペラが確立したといってさしつかえない。その朗唱ふうの旋律、革新的な不協和音の用法、色彩的な楽器法など、いずれの点でも独創的なもので、近代劇音楽の方向を、はっきり決定するにたるものであった。

 そして、筆者の皆川達夫氏はこう締めくくっている。

 くりかえしていおう。モンテヴェルディは、バロック音楽の方向を基礎づけ、同時に近代の音楽の方向を確定した作曲家であった。彼なくしては、音楽史の歩みはすくなくとも50年、あるいは100年の足ぶみをせざるをえなかったであろう。

 オペラの筋は、結婚式の直後に毒蛇に噛まれて亡くなった妻・エウリディーチェをこの世に取り戻そうと、夫であるオルフェオが黄泉の国に出かける。神はエウリディーチェを連れ帰ることを許すが、途中エウリディーチェを振り返ってはならないという条件をつける。しかし、後ろのエウリディーチェが気にかかってオルフェオは妻の方を振り返ってしまう。すると……というもの。

 ここに出てくるさまざまなメロディーも印象的であり、また特定のメロディーは特定の楽器に割り当てるという点も画期的である。いや、圧倒的パワーの冒頭で、すでに引き込まれる。
 私はかつて(いまはもうなくなったが)『レコード芸術』付録の新譜CDサンプルで、下に紹介するヤーコプス盤の断片を聴き、すっかり魅せられ、CDを購入したのだったが、ホント、すごい曲だと恐れ入った過去を背負っている。

 1995年録音。ハルモニア・ムンディ・フランス。

 リッピング(Ripping)のRipの意味は、“はぎとる”“搾取する”“食い物にする”“盗む”ってもの。
 なんだかアタシ、まるで悪いことをしている人みたい……

 おや?
 バイバイしてからの立ち話が長くなってしまった。
 ゴメン……。くりかえしていおう。バイビー!