「脳と音韻とファ行」その2 | 福盛貴弘の脳炎日記

福盛貴弘の脳炎日記

日常生活で起きたことを素朴に書き記しています。
まずは、予告編2編をご覧ください。

その1のつづきである。音韻表記で、「カ」は/ka/、「キャ」は/kja/、「クヮ」は/kwa/というところまで前回示した。

 

さて、外来語音として「ファ、フィ、フェ、フォ」といった「ファ行」がある。

これの音韻表記がけったいだというのが、本題となる。

 

柴田武説を踏襲して、「ファ」を/hwa/とする立場がある。

ずっと違和感があり、どうにかならないかと思っている。

 

拙著を書いたころには、ここまで触れなかったのだが、結論を先に書けば、私は当時から(というか院生の頃から)/fa/でいいと思っている。

 

 

 

 

 

ちなみに音声表記では[Φa]となる。

無声両唇摩擦音で長音され、一音というのが直感に合う。

 

音韻論の中で、用いる音素数を最小限に絞った方がいいという考えがある。

そこで、摩擦音の/h/と両唇音の/w/を組み合わせたんだろう。

 

/k/も/h/も口の中では奥の方の音ということで一まとめにされた感がある。

ただ、これは合拗音とは明らかに異なる。

 

ハ行音は、/hs, hi, hu, he, ho/で示す。「フ」だけを/fu/とはしない。

これは、同じ行なら同じグループにしようというのが働いているんだろう。

 

「フ」は、基底としては/hwu/だが、日本語で/wu/はないので、/w/が削除され、/hu/となっているという説明は一応成り立つ。

 

「フォーク」を、「ホーク」と発音する人もいるが、その場合は、その人の中では、

/hwo/の/w/が削除されたと考えるんだろうか。

 

最小の音素数で、ハ行との関連性もあるし、/hw/は一見よさそうなんだが、私の中ではどうもしっくりこないという点を次回講じることにする。

 

 

その3につづく。