I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

STOP!
地球温暖化/気象災害激甚化
Lil Dicky - Earth
Lil Dicky - Earth1
Beatles & Solo
Please Please Me


With The Beatles


A Hard Day's Night


Beatles For Sale


Help!


Rubber Soul


Revolver


Sgt Pepper's


The Beatles


Yellow Submarine


Abbey Road


Let It Be


Magical Mystery Tour


Beatles(the other songs)


John Lennon


Paul McCartney


Wings


George Harrison


Ringo Starr


「ネバー・サレンダー」コリー・ハート

2019.02.15

category : 1980年代

Corey Hart - Never Surrender (1985年)


~概要~

コリー・ハートはカナダで30曲のTop 40 / アメリカで9曲のTop 40ヒットを持ち、世界での総売り上げが1600万枚に上るカナダの男性歌手です。
1980年代の活躍が顕著で、同じカナダ出身で同時期に活躍したブライアン・アダムスとよく比較された存在でした。

レコード・デビュー前の1980年、18歳の時に日本武道館で開催された第11回『世界歌謡祭』にカナダ代表として出場し「Trudy Blue」という曲を歌唱していますが、本選に進むことは叶いませんでした。
1983年にアルバム『First Offense』でデビューを飾ると、1stシングル「Sunglasses at Night」がいきなり全米7位を記録し、『グラミー賞』で【Best New Artist】にノミネートされています。

「ネバー・サレンダー」は、1985年の2ndアルバム『ボーイ・イン・ザ・ボックス(Boy in the Box)』からの1stシングルで、Billboard Hot 100の3位(年間44位)を記録した、コリーの代表曲です。
カナダでは9週No.1で年間2位に輝いたほか、カナダのグラミー賞に相当する『ジュノー賞(Juno Awards)』ではブライアン・アダムスの「Run to You」との争いに勝ち、【Single of the Year】を受賞しました。
PVは、父親に抑圧されくすぶっていた若者が夢を諦め切れず、嵐の夜に1枚の家族写真を持って家を出て都会へ旅立つ…といったストーリーになっています。


余談になりますが、当時コリーには映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年7月公開)の主人公マーティ・マクフライ役のオファーがありました。
スティーヴン・スピルバーグから脚本とスクリーン・テストの招待を受けていたものの、“音楽に専念したい”と辞退したそうです。
また、翌年の映画『トップガン』でも「Danger Zone」を歌って欲しいとのオファーがありましたが、“自作曲で”と望んだため流れています。


 



~ Never Surrender 母の訓え~

「Never Surrender」の作者は、コリー・ハート。
2012年のインタビューによると、インスピレーションはコリーのお母さんの言葉だったといいます。
一家は5人きょうだいでコリーは末っ子、しかし両親は彼が10歳の時に離婚してしまい、以後コリーは母と兄と暮らし成育しました。
そして“たとえどんなに困難で尻込みさせるものであっても、夢と自分自身を投げ出しちゃいけない”、というのがお母さんの訓えだったそうです。

また、コリーは第二次大戦時の英国首相ウィンストン・チャーチルの伝記の愛読者で、“Never Surrender”はナチス・ドイツの猛攻がイギリス本土まで迫っていた1940年6月4日、チャーチルが下院で徹底抗戦の覚悟を唱えた演説の有名な一節“we shall fight on the beaches, we shall fight on the landing grounds, we shall fight in the fields and in the streets, we shall fight in the hills; we shall never surrender.”にも由来するようです。


コリーの母への想いには、続きがあります…
2018年、コリーは「Another December」という曲を発表しており、ここで彼は幼少から授かったお母さんの言葉やあたたかい光を、56歳を迎えた今日のクリスマスに思慕する内容となっています。

Ah, rest in heaven...





~Epilogue~

競泳女子の池江璃花子選手が2/12(火)、自身のツイッターで「白血病」と診断されたことを公表し、日本中を驚かせました。
また、翌2/13(水)には国民からの多くの励ましのメッセージに対し「神様は乗り越えられない試練は与えない、自分に乗り越えられない壁はない…必ず戻って来ます」と感謝のツイートを投稿しました。
私は「まさか」という直感と共に、本人は相当なショックだったろうにその混乱の中で自ら病気を公にした彼女の勇気に驚かされた一方で、オリンピックのメダルを期待される世界一流のアスリートとはいえ18歳の少女が、自らの病気と向き合う以外に見ず知らずの人の声や自分の抜けた水泳界を気遣っていることに胸が痛みました。

白血病というと「血液のがん」ともいわれ、『世界の中心で、愛をさけぶ』のヒロインの少女の命を奪った病気として多くの方も強く印象に刻まれていると思いますが、実際の白血病は「急性/慢性」「骨髄性/リンパ性」などで病状も治療法も大きく異なるそうで(白血病の種類は極めて多い)、池江さんの場合・現時点で公表されているのは「白血病」だけであることから、専門の医師は「本人を診ずに、特定の個人に結び付けて病状を解説や推測するのは正しい姿ではない」と指摘しています。
また、池江さんの病気公表以来、骨髄バンクへの問い合わせや登録が増えている件についても、同医師は“骨髄提供には一定のリスクが伴うので、よく理解した上で協力していただきたい”とのことでした。


「水泳なんていい、とにかく長生きして」 2019.02.12.

白血病が公表された直後、池江さんのお祖母さまの言葉。
たとえ彼女が有名選手でなくても、世界一でなくても、かけがえのない大切な存在として無条件に愛している人だからこその言葉です。

一方で池江選手には「金メダル」や「世界記録」という大きな夢があり、それを最大の目標に人生の大半を生きて来られたはずで、たとえ一時的であるとしてもそれを止めなければならないというのは、彼女にとって呼吸をする鼻と口を塞がれたに等しい苦しみに違いありません。
現時点で彼女は「自分に乗り越えられない壁はない」と気丈な言葉を残していますが、水泳選手としては時間が止まったままであり、高い目標を掲げているが故、闘病生活が長くなるほど仲間やライバルから引き離されてゆく自分への焦りが強まってゆくのではないでしょうか…。

Cause no one can take away your right
誰にも奪い去ることなんてできない
To fight and to never surrender
君が苦難に立ち向かい、決して諦めないその権利を

アスリートは孤独といいますが実際は競い合う相手があり、対して病は競う相手のない本当に孤独な闘いです。
いま私が願うことは、これまでアスリートとして鍛え抜いた体力と精神力のすべてを注ぎ、この世にひとつしかないあなたの生命を脅かすものとの闘いに勝利すること。
…そしてきっと、お祖母さまを喜ばせてあげてくださいね。



「ネバー・サレンダー」


Writer(s): Corey Hart /訳:Beat Wolf


あとほんの少しの時間…
それが、僕らの求めるすべて
あとほんの少しの時間があれば
固く閉ざされた扉も、きっと開く
でもほんの僅かな不確かさが
落胆をもたらすこともある


そして今、君に関心を寄せる者はなく
教え示すことを望む者もない

**
もし君が途を失い、孤独な闘いに置かれたとしても
決して諦めてはいけない
たとえ途が、帰るべき家へと導いてくれなくても
決して、諦めないで

***
寒くて暗い夜にだって
きっと光は見出せる
だって、誰にも奪い去ることなんてできない
君が苦難に立ち向かい、決して諦めないその権利を

ほんの少し耐え忍ぶことで
君は成し遂げられる
幾つかを征服した
盲目の服従なしに


**
***


最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
関連記事
スポンサーサイト



tags : 音楽 洋楽 

コメント

おおっ!最高の「不屈ソング」だ‼

もう35年くらい前なんですね~。
ホント挫けそうな時は世話になったなあ。

って今でもか?

2019.02.16  地味JAM尊  編集

お早うございます、ビ-トさん!

この曲を聞くとまた頑張ろうと思い元気をもらった

思い出がありますね~

よく今日まで生きてこれたなとつくづく思いますね

子供の頃は自分のことだけ考えとけばよかったんですが

年取ると、いろんなことがのしかかってきて

苦しいことが多いので

そんなときにまたこの歌を聞いて力をもらった

一曲ですね!

2019.02.16  たまごバナナ  編集

Re: おおっ!最高の「不屈ソング」だ‼

「まんま」です!(笑)
最近は歌に限らず
こんな真っ直ぐって少なくなりましたね。
ますます「真っ直ぐさ」が必要な時代なのに。(涙)

2019.02.16  Beat Wolf  編集

たまごバナナさん

思い出がある曲だったのですね。
でも「よく今日まで生きてこれたな」って
そんなご苦労なされてきたのですか!?(笑)

確かに年取ると、いろんなことがのしかかってきます。
まず立ち上がるにも「よいしょ」…とか!(笑)
でも精神的な苦しさには歌ですね。
爆発しそうな時はカラオケ!

2019.02.16  Beat Wolf  編集

コリーハートよく聴きましたね~!やはりこのナンバーが彼の代表曲ですね!AORをあまり取り上げないRWですが、この方はいつか記事にしようと思っていました。・・、とは言いつつ、ボススキャッグスやボビーコールドウエルもまだ一回も記事にしていないRWでした。(苦笑)

2019.02.17  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

コリーハートは80年代でも
決してメジャーな存在ではありませんが
よく聴かれていたのですね。

ローリングウエストさんはたくさんご趣味があって
気持ちはあっても物理的に追いつかなくて大変ですね。

2019.02.17  Beat Wolf  編集

やべっAnother Decemberも沁みるぞ

先月末に父親亡くしたばっかなんで、こっちも涙腺に来るな~。
でも池江さんに限らず、まっすぐな歌に元気もらって頑張れるってのは
大事だし有難いっすよね。

2019.02.20  地味JAM尊  編集

Re: やべっAnother Decemberも沁みるぞ

心よりお悔やみ申し上げます。
何といっても、自分に命を与えてくれた人ですから。
曲はB.アダムスっぽいけど、いい曲ですよね。

その後、堀ちえみさんの報道が相次いでびっくりです。
歌でも何でも、とにかく元気になって欲しいですね。

2019.02.20  Beat Wolf  編集

コリー・ハートは知らなかったけれど…。

 少しあとになると思うのですが、ピーター・ガブリエルの“ドント・ギブ・アップ”を思い浮かべてしまいます。(歌詞をきちんとチェックしていないので、どこまでコリー・ハートと共通点があるのかはわからないのですが…。)

 そっちはケイト・ブッシュとのデュオが美しいバラードでしたが、こちらコリー・ハートもスケールの大きい演奏ですね。ライヴ映像のバラード・アレンジもグッと来ます。

 今や日本人の4人に一人ががんで死ぬ時代になりました。
 池江瑠璃子選手も堀ちえみさんも、良い経過になることを祈っています…。(堀ちえみはアナログ時代のシングルAB面コンプリートしたCD持ってます。(^_^;)

2019.03.01  ☆彡ふらんぼう  編集

Re: コリー・ハートは知らなかったけれど…。

「ドント・ギブ・アップ」的なテーマは
日本でも洋楽でもポピュラーですね。
PVのようにはケイト・ブッシュが
「ドント・ギブ・アップ」って慰める名曲ですが
アルバムで「電飾」の続きになっているので
思わず吹き出してしまいます。

人類の寿命が30年の頃は
あまりガンの心配はなかったでしょうね。
でも10代は若過ぎます。
去年だったか堀ちえみさんのチョコレートのCMを扱ったので
歳月の無常を感じさせられました。

2019.03.01  Beat Wolf  編集

コメントを投稿


管理者にだけ表示を許可する
 
PrevEntry |  to Blog Top  | NextEntry
プロフィール

Beat Wolf

Author:Beat Wolf
ジャンルを問わず音楽が大好き♪


参加ランキング
最新記事

全タイトルを表示
Artists
リンク
このブログをリンクに追加する
☆『相互』をご希望の方は、お気軽に♪
最新コメント
QRコード
QR

Copyright ©I Wish~洋楽歌詞和訳&解説. Powered by FC2 Blog. Template by eriraha. Photo by sozai-free 2000px.