髭を剃るとT字カミソリに詰まる 「髭人ブログ」

「口の周りに毛が生える」という呪いを受けたオッサンがファミコンレビューやら小説やら好きな事をほざくしょ―――もないブログ

「孔雀王」 レビュー (ファミコン)

2019-09-20 21:00:13 | ファミコンレビュー
「荻野 真」氏原作の同名マンガのファミコン版
コマンド選択式アドベンチャー
開発も発売もポニーキャニオン
1988年9月21日発売


特徴

・コマンド選択式アドベンチャー


・戦闘ではイベント方式ではなくRPG方式の戦闘が採用されている。

 アドベンチャーゲームの戦闘は、
 「パンチ」や「キック」というコマンドがでてその中から選ぶという
 イベント同様の進行するのが多いが
 本作のRPG方式というのは敵とエンカウントして
 敵味方、体力の数値があり、攻撃などしてどちらかの体力を
 0にした方が勝ちというごく当たり前の方式である。

・『レベル』

 『レベル』はあるが『経験値』はなく話の進行状況によってレベルアップする。
 レベルアップではないが、死ぬ事で攻撃力や防御力が少しだけアップする。


・多数の『術』があり、効果が異なる。

 他のRPGで言う『魔法』や『呪文』と思って良い。
 使用すると『気力』を消費する。


・敵を倒した時『経験値』や『お金』を得られないが『気力』が若干回復する。

・敵にやられた時は固定した場所からやり直し

 その際、『体力』はレベルに応じた最大値が全回復しているが
 『気力』はレベルに応じた数値のみの回復となる。
 ちなみに『気力』の最大値は255。

・このゲームに『お金』がない。

 その為、お店や宿はなく、武防具やアイテム購入もない。
 ただ体力の回復はその場面で行ける場所に大抵、体力回復施設があり
 そこで無料で行える。(体力は回復するが気力は増えない)


・術の種類の紹介
 ()内は気力消費値
 気力は戦闘中に技を使うと消費する。
 通常時に技を使っても気力は消費しない。


 はやくじ(3):『早九字』を切り、敵にダメージを与える。

 いんどら(10):雷神『インドラ』を呼び、雷を落としダメージを与える。

 ふどう(20):『不動明王』を呼び、炎を放ちダメージを与える。

 かんのん(5):『観音』様を呼び、敵を即座に成仏させる。(敵消滅)
         ドラクエシリーズで言う『ニフラム』みたいなもの。
         これが効いても何も得られない。

 まゆきり(5):空を飛ぶ。

 まりしてん(20):『摩利支天』を呼び、攻撃力を一時的に上げる。

 はってん(10):『護世八天』を呼ぶ位竜巻を起こす。

 かんぎてん:『歓喜天』を呼び、パスワードを聞く
  (冒頭をクリアしてから使用可能になる)

 してんのう(50):『四天王』を呼びだし、4回連続攻撃



・メインテーマは「レプリカント スキャンダル」
 作詞作曲は「高見沢 俊彦」氏、歌は「SPLASH」



あらすじとしては…

 『こうやさん』にある『うらこうや』という古ぼけた寺に
 主人公『孔雀』が『アジャリ』という男に呼ばれる。
 『こうやさん』の『えんりゃく』が壊滅したという話を聞かされたのだ。

あじゃり
 「原因は 落雷に よるもの
  らしいのだが うらこうやを 魔に
  対する 攻めの要とすれば

  ひえいざんは 守りの要だ
  悪意を抱いたものの 仕業とも
  十分考えられる

  そこで 調査にくびらたち
  うらこうや じゅうにしんしょうを
  派遣した

  だが ひえいざんの壊滅によって
  封じ込められていた 日本中
  の 魔の力が 解かれてしまった

  既に 各地で 奇怪な事件が
  起きている お前には その中の
  一つを ひきうけてもらいたいのだ
 
 くじゃくよ おまえは わかさへとべ」

 『孔雀』はわかさへと飛んだ。


箱+取説付きを購入したら
登場人物などのイラストが描かれていたので紹介しよう。





登場人物紹介。
他にイラスト








得点は10点


良い点
・「孔雀王」のゲーム

悪い点
・戦闘面
・死にゲー
・ピラミッド
・ラストの戦闘


悪い点の解説

・戦闘面
 これに関しては複数項目があるので細かく説明する。

 ①戦闘時、数値が表示されない。

  コマンド選択式アドベンチャーには珍しく
  RPGのような戦闘があるのだが
  その際に、現状のHPや気力が常時、表示されない。
  一応、自分のコマンド時にスタートボタンを押す事で表示されるが
  一々押さなければならないというのは面倒の一言に尽きる。
  なぜ隠す?

 
 ②術の効果

  術はいくつも種類があるが
  主人公が印を結ぶ違いと音が違うというだけで
  演出は皆同じ。
  もう少し色を変えたり光ったりしようよ…
  後、常時、数値が表示されないので
  現在の気力が分からずどの術が
  どれだけの気力を使うかが分からん…


 ③ダメージの幅が大き過ぎる

  「ダメージが安定しないな」と、思って確認を取ってみたんだけど
  主人公のステータスが

  HP:40
  攻撃力:17
  防御力:10

  の時、物理攻撃で
  与ダメージが1~22
  被ダメージが1~11

  『1』って何やねん! 
  それでおかしいと思ったが最強の術『四天王』使った時
  与ダメージが『20』
  それで気力『50』消費するからね。
  その使った敵との相性があったのかもしれないけども
  ダメージが不安定すぎ


 ④戦闘勝利時の特典

  通常のRPGなら
  敵に勝てば『経験値』&『お金』がもらえるが
  本作では『気力』のみ
  敵に勝つことを繰り返す事で
  経験値が貯まりレベルがあがったり
  お金を貯めて武器防具を購入っていう楽しみがない。

  『気力』とはいわば上記の通り他RPGの『MP』に準ずる。
  敵を倒してMP回復って何なん?
  そのせいで敵を倒してMP回復する作業をしなければならないってのが
  非常に面倒である。
  ちなみに体力回復施設でいくら休んでも気力は回復しない。
  それで出来る事が普段の使える術を多めに使えるって事だけだからなぁ…

  あまり豪快に『術』を使っていると
  倒した時の敵から得られる『気力』が少なくてじり貧なんて事もありうる。
  だから弱い『術』や気力を使わない『攻撃』を選んで節約して敵を倒して
  『気力』を貯め、ダメージを受けたら体力回復所に戻って回復して
  再び、『気力』貯めの作業が多くなる。

  面倒くせぇ…


・死にゲー

 上記、回復手段がないし武器防具を購入して強化するという事ができない上に
 ダメージが不安定というゲロみたいな戦闘バランスなので極度な運ゲーである。
 だが、成長する方法は0ではない。
 それは死ぬ事だ。
 死ぬことで若干、攻撃力と防御力が上昇する。
 それと数値ではないが敵の攻撃の回避率もが上がる。
 但し、死ぬと気力は固定値まで下がるので注意。
 


・ピラミッド

 ゲーム内の話だからネタバレ欄に記述する。
 取り敢えず、攻略サイト参照を推奨。
 自力で解くならピラミッド内をメモするべき。


・ラスト付近の戦闘

 これもまたネタバレ欄に記述する。



このゲームは

「厚意に甘えて乞食行為を繰り返して気力を上げる作業ゲーム」
それと
「死に続けて攻撃力防御力あげるゲーム」
というところである。

このゲームはまずお金がない。
場面ごとに体力回復場所があるのだが大抵が
こちらが人助けしてやった事で恩返しにと
その人や関係者が無料で飲食物を食べさせてくれるのである。

まず、そこを拠点にしつつ
敵と戦い、術を使わず温存して『攻撃(物理)』のみで倒し
気力を回復させ、体力が減ったら飯を食いに行くという事を繰り返すのだ。
気力を高めたらボスを倒しに行き技を使って倒すのだ。

敵を倒して『経験値』を稼いでレベルを上げたり
『お金』を稼いで武器防具を購入などして
自身を強化する事が出来ない本作では気力上げが最重要である。


登場人物にとってはこんな事になるのだろう。

人「あの時助けてもらったのでご飯を食べていって下さい。
 お代なんかいりません!
 遠慮なんかしないでください。いつでも好きなだけどうぞ」
孔雀「分かりました。では早速…
 モグモグ…

 では、行ってきます」

戦闘しに行って、体力消耗。

孔雀「すみません。お腹減ったので…」
人「分かりました。好きなだけどうぞ」
孔雀「お言葉に甘えて…
 モグモグ…

 では、行ってきます」

戦闘しに行って、体力消耗。

孔雀「すみません。お腹が減ったので…」
人『また来やがった!この乞食野郎!
 人の善意に漬け込みやがって!!』

そんな感じである。

気力を上げるようなアイテムもないし…
戦闘も面白いものではないからしんどい作業だわ。
自身の強化はRPGの醍醐味のはずだがそれがまともに出来ないのは痛い。

それと仲間がおらず1人で、回復アイテムや回復する術がないので
戦闘は極度に単調化する。
こちらの与ダメージは大きいことをを願い
相手からの被ダメージは少ないことを願うなんていう運ゲーである。
それでも運頼みを続けていても強くなる敵に通用しなくなるので強化するためには死ぬしかない。

「強くなるために、はよ死ね。孔雀!」

とプレイヤーは願うばかりである。
実に嫌だね…


しかし、このゲームは最悪から始まりだったなぁ…
冒頭の坊さん。『あじゃり』
事件発生直後、表示されたいろんなコマンドを試そうとするのだが…

あじゃり「事件が起きたからぐずぐずしてないので早く行け」

そのように言うのは確かに分かるんだけどさ…
でも、これは「孔雀王」というゲームのプレイヤーにとっては最初やで…
あれこれコマンドが出るから試してみたいし
主人公どんな人かよくわからんしお前自身がどんな奴なのか分からんのに
『移動』以外拒絶されて

あじゃり「早く行け」

だからね。
しょっぱなからそんなんされたらお前は当然としてこのゲーム自体の印象も悪いわ。
最終的にその印象の悪さは全く覆ることなく悪いまま終わるというただただ酷いゲームだった。

「孔雀王」という原作のゲームだけど

本作としては苦苦しい(にがにがしい)程に死ぬって意味で
「苦死ゃ苦王」

もしくは苦しむほど主人公が弱いのを味わうって意味で
「苦弱王」

って所だと思ったよ。


このゲームを購入してプレイするきっかけとなったが
2019年5月10日に「孔雀王」の原作者である「荻野 真」氏が
2019年4月29日に亡くなられたとに報じられたからだ。

で、このゲーム、冒頭をクリアしてから
舞台は「出雲」に移動してその町で看板があって調べると
原作者本人が登場する。

孔雀「広告の看板が出てるぞ
 何々 週刊ヤングジャンプ毎週木曜日発売か
 ヤングジャンプ というと 確か 大人気の孔雀王が
 のっていたよな・・・あれ?」

と、男が登場

孔雀「あの人は 確か 孔雀王の 作者の
 荻野真さんじゃないか!」

荻野氏「ははははは… 見つかってしまったな
 荻野真です どうかな?
 ゲームは 楽しいかな
 『コミックス 孔雀王』は ちゃんと 読んでくれているかな
 あっいけない! 今日は 締め切りだ

 それじゃ ぼくは 仕事場に戻るから
 これからも 『孔雀王』 よろしくね」

と言って去っていく。
冒頭であれば調べれば何度でも出て来る。

原作者登場のネタ、意外に取り上げられているサイトが見当たらない。
まずこのゲームの存在がマイナーだからな…
(心が折れた人がおおいんだろうが…)
本作を知っている人自体が少ないのかもしれない。
我ながら良く見つけたな…
しかし、原作者本人がゲームに登場するってのはなかなか珍しい。

とは言っても申し訳ないが髭人は「孔雀王」は読んだ事はない。

昔、実写映画版がテレビで放送していたのでそれだけは1度だけ見た。
内容は覚えていないが『早九字』だけは覚えていた。

「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前」

の指の形を覚えている奴も近所にいたっけな~。
(そんな話はすこぶるどうでもいい)


PS)ちなみにファミコンで続編なのか「孔雀王」には2が出ている。
 現時点(記事更新の時点)で未プレイだが本作を踏まえると怖くて仕方ない…

PS2)2019年10月4日に「孔雀王II」をクリアしたよ。
 上記、感じた恐怖感がまさか的中してしまうとは…
 その内容をレビューを書かねば…はぁ…

孔雀王II


ここからがネタバレ






















このゲームは
『わかさ』という冒頭のイベントをクリアした時に演出がある。
ファミコンの割に漢字表記という事でかなりの力の入れようだ。

 比叡山壊滅に続き

 薬師十二神将までが!

 瀕死のくびらが残した

 ”いずも”なる言葉が

 意味するものはなに!?


 かつてない巨大な敵の出現

 を予感する孔雀

 今、闇と光のそう絶な最終

 戦争の幕が開ける!

孔雀王


(ここまで電光掲示板のようにスクロールする)

 孔雀王

 岩戸神族編



ここの演出の盛り上げがこの作品の全力だったのかもしれない…


悪い点で指摘した
『ピラミッド』について記述しよう。
長野県に何故か『ピラミッド』がある。
そこに入ると3Dダンジョンなんだが…

あれこれ酷いわ。
順に並べて行こうか?

・ピラミッド時のコマンドの仕様
・エンカウント率
・回復手段&施設なし


・ピラミッド時のコマンドの仕様

 ピラミッド前の海上でも3Dマップはあった。
 海上では十字キー1つ押すと移動可能であったが
 ピラミッドでは方向を変えるだけでもコマンド選択が必要である。
 
 『まえにすすむ』
 『うしろをむく』
 『ひだりをむく』
 『みぎをむく』

 十字キーで操作させやがれ!
 そんな風に方向を気にするくせに
 現在、東西南北のどちらを向いているのかの表示はない。
 戦闘とかあると忘れるんだよ。
 一応、このゲーム。
 『みる』コマンドを使うと

  『げんざいのいち』ってコマンドがあり
  それを見ると5×5での現在地だけは分かる。 
  そのさっきの位置と今の位置を比較して
  現在どちらの方向を見いているのか分かるのである。
  不便!!


・エンカウント率
 
 エンカウント率は結構高い。
 というか、方向転換するコマンドを選んだだけで
 敵とエンカウントする。
 だりぃ!うぜぇ…


②回復手段&施設なし

 このゲーム、上記で書いた通り回復手段がない。
 回復する術もないし薬草などの回復アイテムが存在しない。
 そんな状態でピラミッド入るんだけどさ。
 今までの所なら 
 他の場面ではただ飯を食えるところがあったから
 何とか繰り返して気力を貯められたが

 作り手はそれを封じたいのか『ピラミッド』の場面では
 最初にタダ飯の場所はない。(探索していると途中で見つかる)
 こちらのHP60。
 それでピラミッド内の敵からの被ダメージは1~20。
 戦闘は2~3ターンはかかる。

 死んでもピラミッド外からの再プレイが可能であるものの
 死んで強化が前提なゲームバランスである。

 一応、ピラミッド内を探索していると
 『ヒカリゴケ』がある部屋で『ヒカリゴケ』を取る事が出来る。
 普通なら、暗い部屋で使ったら光るんじゃないかって思えるが
 このゲームは斜め上を行く。

 『使う』コマンドで行うと、なぜか体に塗りだして、それで守備力が上がるのだ。
 その状態で『ピラミッド』1F中心部に行くと(ハンマーで壁を壊す)
 塗った『ヒカリゴケ』が反応して何故か全回復する。

 理由は『ピラミッドパワー』だそうだ。

 髭人「は?」

 これでようやく回復地点が出来るという訳だ。

ここまで行くのが相当キツイ…

この状況であるのにも関わらず
『アジャリ』とかいうハゲは

「未熟者!修行が足りんわ」

などと抜かしやがる。
まず一番に未熟者で修行が足りてないのは
こんな仕様で『ピラミッド』なんてダンジョン作ったゲームスタッフだろうが。

と…
髭人はそんな『ピラミッド』さえ越えれば後は流れ作業で全クリだろうと思っていたら…
やってくれたよ。このゲーム!!

・ラストの戦闘

 ラストで『やまたのおろち』を復活して操ろうとするんだけど
 それを阻もうと敵が襲ってくる中ボスの4連戦。
 最初の時点で最大HPは「80」
 
 なのに初回時敵からの被ダメージ1~40である。
 運が悪ければ2~3発で死ぬ。
 中ボス4連戦では一切回復しない。
 そんなんで4連戦なんか勝てるかッ!!

 このゲーム、死ぬと攻撃力と防御力が微強化されるので
 ひたすら死に続けることで主人公を強くするしかない。

 「瀕死から立ち直るたびに強化されるってのはサイヤ人か?」

 って思えるけど、本作は瀕死ではなく死亡しているんだよな…。

 んで術は豊富に覚えているが敵ごとに
 有効な術があるって訳じゃないから物理一択しかなくなる。

 最終決戦まで来ると敵に太刀打ちできないのが分かると

 「こいつにゃ勝てねーな。
  強化したいから早く死ね。孔雀!」

 とプレイヤーは『孔雀』の死を祈る羽目になる。
 不健全なのはわかるが打破する方法が死ぬ以外ないのだから
 文句があるのなら作り手に言ってくだせぇ…

 それでやっとのことで4連戦を制したら
 ラスボス戦である。

 ラスボス戦は仕様が今までの戦闘とは異なる。
 『やまたのおろち』を味方につけるのだが
 頭が8つあるので8頭のおろちを1頭ずつ操作する事になるんだけど
 戦闘の仕方について説明は一切ない。(取説にもない)
 実に不親切である。

 その時のみの独自のコマンドがある。

 『火炎』:火を吐く。ダメージ小。命中率高め
 『電撃』:電撃を浴びせる。ダメージ中。命中率低
 『突撃』:体当たりを浴びせる。ダメージ高。命中率激低。
    その上、ミスすると敵の気に接近したせいで数ターン動けなくなるというデメリット付き。
 『防御』:主人公を守る。しかし絶対ではなくダメージを受ける事がある。
    逆に、上記を3つの攻撃を行っても主人公を守ることもある。
 『体力』:現在の体力の確認。


 おろち8頭の最初はまさに烏合の衆って奴ですぐにラスボスの硬直攻撃にかかりやがる。
 初期は9割かかるんじゃないだろうか?
 ドラクエで言えば8人もキャラがいるのに全員一斉に『ラリホー』で寝るって事態だ。
 
 そんな状態で意味もなく

 『おろち1はうごけない』
 『おろち2はうごけない』
 以下略

 8頭の動けない状態をプレイヤーに通知されるとさ~。

 髭人「どいつもこいつも無能が!」

 とね。そんな無駄な報告を受ける時間に怒りさえ覚える。
 それで死ぬとまた中ボス4連戦からやり直し。

 死んで強化しすぎて中ボス4連戦。
 防御力だけではなく回避率も上がっているようで
 4連戦、敵の攻撃を全て回避して倒すなんて状態になっていた。
 中ボスも手を抜いているんだかウンザリしているんだか…

 中ボス倒した後、ラスボスで死んだ時には
 ラスボスと戦闘させやがれよ…
 中ボスも一体何回殺せば気が済むんだよ。

 ラスボス戦はやたらとミスが多くイライラする。
 既に4連戦で嫌気がさしているからな…
 それで『電撃』や『突撃』を選択してミスったときは

 「この蛇共、目をつぶっているか幻覚でも見てるんだろ」

 という気にさせられる。
 最初の内は全員『火炎』攻撃で確実に削っていき
 体力がやばくなってきたら『電撃』や『突撃』で当たりを狙うってぐらいか?

 防御を選んだところで確実に『孔雀』を防御出来る訳ではないし
 全員攻撃を選んだとしても『孔雀』を防御してくれる事もあるという訳わからん状態である。

 ラスボスの硬直攻撃の抵抗力も死んで繰り返すことで強化されるので
 無理なので何度も死んで鍛えるしかないよ。

 あ…
 ちなみにだけど本作はパスワードコンテニューなんだけど
 ラスボス手前の中ボス4連戦からパスワード取得不可である。
 パスワードを取ろうとしても

 「そんな事をしている暇がありません」

 などと拒否られる。
 死んで強化した状態のパスワードを取る事が出来ないのである。
 前の章の終盤でのデータでしか終えられないから
 もしクリアするつもりならまたひ弱な状態から中ボス4連戦からの再プレイである。

 そんな状態でも数時間『孔雀』を死にまくればクリアが出来るってのがこのゲームの救いか?
 そうそう。誇張無しに中ボス4連戦と、ラスボス戦で数時間を要した。

全く…ネット上で質疑応答するような知恵袋なんていうサイトで

Q.「ファミコン版の孔雀王で敵が強くて倒せません。
 どうしたらいいのでしょうか?テクニックなどあれば教えてください」


A.「直ちに孔雀を死なせてください」
  「何度も孔雀を死なせてください」


こんな回答がベストアンサーになりかねないゲームである(悲)
髭人はラストのボスラッシュとラスボス戦で20回ぐらい死んだんだろうか?
「ゲームセンター○X」なら、16画面以上死亡シーンで埋められるな(苦笑)
そんなに死んですぐに生き返らせるから「魁!!男塾」のメンバーから

「孔雀、お前凄いな」

と、あっさり受け入れてくれるかもしれない。
ってか、『アジャリ』はハゲで髭も生えているからコイツは『王大人』なんじゃねーの?
なんて疑惑が出たりする(苦笑)


さて…
そんな苦行を耐えればクリアできるこのゲームだけど
敢えて先に言っておこう。
エンディングはスタッフロールの終盤でこんな驚愕のメッセージが出て来る。

 「願わくば この作品が 多くの
  人の 感動を 呼びますように」

コレ見た瞬間に寒気と吐き気を覚えた。眩暈がするレベル。
これほどの苦労を強いて来たゲームを感動しろだと?
どの面下げて言ってんだ?

え?
「感動しろと言っているのはストーリーの方だろ?
 ゲーム部分だけで盛り上げて先走るなよ」

だって?
じゃぁ、そのストーリーの方を詳しく解説していく事にするぜ!!


さて、ラスト付近では
封印していたボスが復活したゲームのテンプレって感じである。

上記『ピラミッド』にラスボス『闇の大君』が封印されているのだが
魔族が復活させようと暗躍していた。
その魔族の1人『ベルゼバブ』とかいうハエみたいなボスがいて
封印の結界を破壊しようとしているのだがその前に『あしゅら』という少女を繰り出してくる。
こちらとしては初対面の少女だ。

ベルゼバブ
 「その 娘の 名は あしゅら
  お前と 同じ 星を
  持つものだ」

あしゅらに対してはひたすら「はなす」で
説得を行うことになる。

孔雀
 「よすんだ! 本当の 君は
  こんな 戦いを 望んでは
  いないはずだ」

 「目を覚ますんだ! さもないと
  俺は お前の 命を

  この場で 断たねばならなくなる」

 「闇の 力に 身をゆだねる
  のなら それでもいい

  だが それならば 俺を
  殺してからにしろ!

  あしゅらー!」

 「ベルゼバブが 言ったように お前
  は 俺なんだ だから 俺には
  お前の 気持ちが よくわかる

  お前の 瞳の 奥に 見える
  優しい 心が 見えるんだ

  もう やめよう
  本当の お前に
  戻るんだ …」

あしゅら
 「く くじゃく…」

そう言って意識を取り戻した『あしゅら』は『孔雀』の胸に飛び込んでくる。

 (「娘の名はあしゅら」って『ベルゼバブ』が紹介していることって事は
  ゲーム中でも『孔雀』と『あしゅら』は初対面じゃないのか?
  なのに「本当の君はこんな戦いをのぞんでいないはずだ」って…
  ベルゼバブ「お前と同じ星を持つものだ」ってセリフだけで
  俺と同じなら戦いは望んでいないと理解できるの?
  超絶理解力だな…)


そのあとで『ベルゼバブ』と戦って倒すと
そいつはラスボスを封印していた結界を破壊した。
ピラミッドの崩壊が始まり『あしゅら』と共に脱出した。
一旦、ハゲの『あじゃり』の元に戻る。(ことあるごとにコイツのもとに戻る)

あじゃり
 「(略)
  お前の乗ってきた 『あまのとりふね』を
  つかって冥界に行け

  そこで いざなみの神に 会って
  闇の大君を 封じ込める
  術を 授かって来るのじゃ

  よいか 孔雀 結界が
  破られても 闇の大君は
  すぐには 始動せぬ

  奴が 本格的に 動き出す
  前に 戻ってくるのじゃぞ」


と、『完全復活前に何とかしろ』という復活魔王ゲーあるあるの馴染み的展開である。
それにより『孔雀』は『冥界』に行く。
『冥界』ではあれこれ人のことろにたらいまわしにされつつ
いざなみに会って『闇の大君』の倒し方を聞く。



いざなみ
 「闇の大君を この世から
  消し去ることは 私と言えども
  出来ません

  けれども 再び 長い
  眠りに つかせる事なら
  出来るでしょう

  まずは やたのかがみを 手に
  入れなさい 話は それからです」

と、「完全に倒せないからまた封じろ」という
復活魔王あるあるのテンプレを行ってくれるこのゲーム。
色んなお使いをして『やたのかがみ』を入手して再び『いざなみ』の元へ

いざなみ
 「まずは やまたのおろちを
  目覚めさせ くさなぎの剣で
  操るのです

  そして おろちの 膨大な
  エネルギーを やたのかがみによって
  マイナスのエネルギーに 変え…

  それを まだ完全に
  目覚めていない 大君に
  ぶつけなさい

  上手くいけば 両者の
  エネルギーは 打ち消し合い
  消滅するはずです

  そうすれば 闇の大君は
  再び 眠りにつき
  危機は 去るでしょう」

それを聞いた『孔雀』は『冥界』を去り
『あじゃり』の元へいき
『おろち』を復活させる事が出来る『しちしとう』を受け取り

『おろち』が封印されている『要岩』がある『かしま神社』に訪れ
『要岩』を『しちしとう』で切ることで『おろち』のエネルギーが空に上昇する。

それを空を飛んで追う『孔雀』。
そこで上記の中ボス4連戦が待ち受ける。

4ボスを倒すと巨大な『おろち』のエネルギー体が8つの首の竜に形になろうとしているので
『やたの鏡』を投げる事で鏡は8つの玉に替わり8つの頭に目掛けて飛ぶ。
そこで『くさなぎの剣』を使う事で『おろち』を制御出来るようになる。

直後に面倒な『闇の大君』との戦闘。
それに勝利するとエンディング。
黒背景に文字がスクロールして来る。


 ― 膨大な 量の エネルギー
   が 消滅した
   闇の大君は 取り戻しかけた
   力の すべてを 失った…
   今や 大君の 残された
   エネルギーは わずかばかりの
   意識の 火種 のみであった
   だが
   この 火種を 消し去る事の
   出来る 存在は まだ
   この世には 現れない ―

 「何 しばしの事だ しばしの…」


 ― どこからともなく 声がする
   虚ろとなる 意識の 中で
   ただ 漫然と
   無限の世界に 漂う
   大君は 再び
   大いなる 眠りに ついた…
   闇の大君は 敗北した
   しかし…
   その 存在が 完全に
   消滅 したわけでは ない… ―

 「太君の 眠りが
  未来永劫 続くよう
  俺達は これからも 結界を
  守り続けなければ ならない…
  俺達には それしか 方法が
  ないのだから…」

 ― 孔雀 達は 勝利の
   余韻を 味わう間もなく
   みなかみ山へと 向かった
   魔族に 破壊された 結界を
   修復する為に… ―


と、また復活するかもと軽く続編示唆をするテンプレ的な内容である。
ここまでお馴染みなど何にも感じないわな…
とは言ってもファミコン中期のゲームだからこのゲームから派生していっているのかもしれない…のかな?

ちなみに上記説明だけでゲームでの登場キャラクター達は一切出てこないし、
そんなキャラクター達の後日談もない。
呆れるばかりでスタッフロール。
その最後に

 「願わくば この作品が 多くの
  人の 感動を 呼びますように」

なのだ…
え?出てきたキャラクターは全て放置なの?
色々出て来たやんけ。

・海で怨霊に取り憑かれている所を助けてあげた少女『みやもと みどり』
・大蛇になって戦いを挑んできた岩戸神族の戦士『あさか姫』
・同じく岩戸神族の戦士『うつほ彦』
・孔雀と同胞である操られていた『あしゅら』

こいつらに再登場どころか台詞などで触れる事さえありゃしない。
特に今挙げた『あさか姫』と『うつほ彦』は最初に別れた時にフラグを立てていた。
『あさか姫』と『うつほ彦』は別れの場面で再会を予感させる台詞はあるのだから…

まず『しまず彦』という岩戸親族の戦士が『孔雀』を襲ってきたが、説得をしたことにより理解を示してくれた。
だが、すぐに魔族に襲われ、命を落としてしまった。

あさか姫
 「孔雀 私は これから
  しまず彦の 遺志を 継いで
  真実を 確かめに行く

  しまず彦が 信じた
  大神の 復活の話
  今は 私も 信じよう

  その代り それが 偽りだと
  分かった時…

  その時は 私が しまず彦に
  代わって お前の 息の根を
  止めてやる 良いな!」


うつほ彦
 「(略)
  俺は それだけしか 知らん ただ
  これだけは 言っておく 俺は
  お前を 信じた訳では ない

  俺も あさか同様 これから
  しまず彦の 遺志を継いで
  真実を 調べて来る

  運が良ければ お前と 手を
  組む事もあろう では さらばだ」


色々と思わせぶりな展開をしていたのだ。
いつかこいつら出て来るんだろうかと楽しみにしていたら…
何もかも無でありブン投げだからね。

感動させようと思えば少し考えれば出来たんじゃないのか?
例えば…

ゲーム中では最後、挨拶すらせず別れた『みどり』にキチンとあいさつするとか…
上記、別れた岩戸神族の者たちが最後の4敵のボスラッシュに出て来て

「孔雀!出て来た魔族は我々で何とかする!お前は太君を封じろ!」

助けてくれる展開なんか王道でアツイじゃないか?
敵として出てきて説得した『あしゅら』も助けてくれや。
『あじゃり』のハゲだって最後ぐらい応援に来いや。

そーそー。取説に書かれていた
『王仁丸』は偽物の『草薙の剣』である『破邪の剣』の警備を頼まれていただけで
『孔雀』がそれを手に入れたら後は一切出てこないという…
上記の登場人物紹介で主要人物っぽく書かれているのに?
出番はたったそれだけ?

『あしゅら』の台詞は上記の通り、

「く 孔雀…」

だけで他にはない。
余りの仕打ちに悪い意味で涙が出そうになる。
箱絵は



上記の感じである。
こんな場面は存在しない。
ゲームでは『王仁丸』も『阿修羅』も『孔雀』に出会ってすぐ別れるので3人が集まる事すらないのだ。
この3人をメインに話が進むのかと思いきや肩透かしにもほどがある。

後…『あしゅら』は何で全裸なんだろうか?
ゲーム中全く『あしゅら』のサービスシーンもねぇのに…
パッケージを見てサービスシーンを期待したスケベ共の為か?

このゲーム、サービスシーンは完全にゼロっていう訳ではない。
せいぜいサービスシーンとしては冥界行った時に
巨大な男女の門番が全裸でいるってぐらいか…
と言っても、顔が見えないのでありがたみは皆無。


髭人「これで感動?」

願うだけなら平仮名を書くのを覚えたての幼稚園児でも出来るぜ。

「ひーろーになれますように」
「おひめさまになれますように」
「おかねもちになれますように」

そんな七夕の短冊に飾る感覚なのか?
大人なら願う前に出来る事がもっとあるはずやろ。見直せや…

それとも、髭人が全く感動しなかったのは
原作未読だったからか?

ゲーム自体をまとめると…
システムは不親切、不便、わかり辛い。
ストーリーは、ブン投げが酷い。
取り敢えずキャラは出しておけば成立するという状態。
音楽も優れているとはいいがたい。
これで死亡時にプレイヤーに「未熟者」じゃねーよ。


とは悪態は散々ついたが…スタッフ側の苦労も何となくわかる部分もある。
スタッフロールを見ていたら
「ヤングジャンプ」で本作にアイデア募集を行っていた。
送った人たちの名前がスタッフロールに含まれていたんだよね。
(こんなゲームに自分の名前が載るのは実に不名誉な記録として刻まれてしまったな…)
「ロックマン」のボス募集ならともかく
素人が思いついたであろうアイデアそれらをうまい具合に組み合わせるって相当大変やで…
スタッフはそれらをまとめあげたことで自分自身に感動してまったがゆえに
「多くの人に感動を」なんて文言を入れてしまったんじゃないかって疑ってしまうわ。


しかし取説の最後の方を読んで驚愕と
共に全身を硬直させるぐらいの恐怖を覚えた。





12種類の物を買って応募券貼って送れって…
(このゲームの元の所持者は応募券を贈らなかったようだな…)
早九字で
『臨』『兵』『闘』『者』『皆』『陣』『烈』『在『前』9種だけかと思いきや
『孔』『雀』『王』の3種で計12種。

合計金額47500円(税なし)

(『税込み』や『税抜き』ではない。
 『税なし』で正しいのだ。
 消費税3%導入が1989年4月1日
 本作発売は1988年9月21日。
 3%の消費税も発売当時にはなかったのだ)

ファン心理に漬け込んでアコギな商法やってるなぁ…
「レプリカントスキャンダル」の『シングル』『シングルカセット』『シングルCD』
同じ曲を別媒体で3種も買わせるとか正気の沙汰とは思えん。


「孔雀王」は実写映画化されたりOVA化もしているようだが…
飛ぶ鳥落とす勢いまで大人気だったようには思えんのだがな…
それでも好きな人はいたんだろう。
それで『孔雀王リアルモデル』をゲットした方もいるだろうけど…
「YOUNG JUMP」誌上で表彰するって…

「うわ…
 コイツ…CD、ビデオ、ゲームとか…
 色んな所を駆けずり回って
 47500円も使ったのかよ」

ただの恥さらしだね。うん…

それにしても『早九字』の一文字ずつを使っているけどそもそも『早九字』って
「除災戦勝等を祈る作法」だそうだ。
そもそもこのゲーム自体が災いそのものなんだから除災出来るわけね~だろ。
早九字で9種の商品だけかと思ったら
更に「孔雀王」の3字を足して計12種とか…
ラスボスは『闇の大君』だが、発売元は『金の亡者』過ぎるだろ…



はぁ…
長々と語ってしまったな。


最後に…
髭人が本作に対し術を使おう…

髭人
 「は ら に そ ば か」

―観音様の 慈悲により
 極楽浄土への 道が
 開かれた―


―しかし このゲームは
 成仏 しなかった―



チーン…


『かんのん』使用時のメッセージである。
効果は上記で書いた通り『ニフラム』みたいなもので
消滅したときは成仏するが消滅しなかった時は成仏できない。

そんな『観音』様ですら成仏させるのを拒否しそうなゲームである。

ゲーム内容などメチャクチャにして無茶なキャンペーンなど行ってまで
金を得ようとしていた亡者共こそが最も成仏させるべき存在であった気がしないでもない…

それはともかく…
髭人は原作者である「荻野 真」氏の訃報により本作のプレイを決意した訳だ。
だから追悼的な意味を持ちたかったんだけども
このゲームはその髭人の気持ちに対して盛大に泥を塗ってくれたわ…
その上に「感動してくほしい」とか理解できん事を言うのだからな…
だからこそこんな見苦しいレビューになってしまった。
発売当時も恐らくこの髭人レベルで相当言われただろうから「荻野 真」氏も相当心を痛めていたに違いない。

個人的には安らかに眠っている墓を暴くという罰当たりな行為をしてしまった気にさえ駆られた。
それほど罪深きゲームという風に理解していただけると幸いである。
そして髭人としては「荻野 真」氏に対し
すみませんと謝意を述べるのと共に
改めて安らかに眠ってくださいませ。



合掌…




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