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歩きスマホしている若者でさえなかなか人とは接触しない

そういえば最近、気がつけば加害恐怖をあまり感じていないように思えます。感じていないというよりは、むしろ慣れて来たといいますか、相変わらず誰かとすれ違うたび緊張はするものの、明らかに以前ほどの恐怖心は薄れてきているように思えます。常にイヤホンをして音楽を聴いているため、ほどよく意識が分散されているのかもしれませんね。まあ、なんにせよ本来すれ違いなんて誰もが意識せず出来る行為なのですから、ある意味当たり前の事が出来るようになってきたに過ぎませんが、それをわかったうえでさらに当たり前の事を言わせてもらうと、たかがすれ違いに深く考える必要なんてどこにも無いという事なんでしょうね。

ぶつかってやしないだろうか。相手に怪我をさせてやしないだろうか。加害恐怖を患うと無意識に他人を傷つけてやしないかと不安になるものです。ただ、幸いにも私はそれが軽度なようで、気になるのはまさにすれ違うその瞬間のみ、その後もずっと気になってしょうがないというのは随分と希な状況にまで落ち着きました。以前はどうしようもなく気になってしまい、不安を和らげたいがためにまたその場所に戻るなんて事もよくありましたが、最近はむしろそれをしたくないがために、すれ違いざまに出来うる限りの神経を注ぐようにしており――結果いつの間にかそれさえもが薄れつつあるというのが現状です。

だって考えてみれば歩きスマホなんてしている若者でさえなかなか人とは接触しないんですよ?相手が避けてくれているなんてのはこの際抜きにして、それだけ人というものは無意識ながらも周りに注意を払っているものなのです。そうでなければ相手を傷つけるどころか、先に自分自身が事故に遭う可能性がありますもの。きっと本能的に無防備ではいられないように出来ているのでしょう。もちろん、だから気にせずながらで充分だとは言いません。ただ神経を研ぎ澄ます程の必要はやっぱりどこにも無いのです。

もしも普通に歩いていて幾度となく他人と接触してしまうのならば、それは加害恐怖に悩む以前に別のなにかを疑うべきかもしれません。馬鹿にするな!普通に歩いていて他人と接触なんてしない、するわけがない!なんてはっきりと言える人は、少なくとも歩く事で加害恐怖に悩まされる必要はどこにも無いと思います。

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