絶景の人道橋(8ヶ所) | 次世代に遺したい自然や史跡

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毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

<滝の真上の橋から日本一の渓谷の吊橋まで>

以前、msnの『息をのむほど美しい!絶景の中の歩道橋』という特集記事で、世界各地の景勝地の人道橋が取り上げられていたが、当方も過去に訪れた九州、四国、関西、富山県の8ヶ所の人道橋を紹介したい。尚、最後の橋は日本一の渓谷に架かる吊橋だが、一般観光客の探訪は不可。

 

(1)滝見橋(大分県豊後大野市)

大分県の人道橋と言えば、水面からの高さが日本一の「九重“夢”大吊橋」が有名だが、今回の橋は、以前紹介した「東洋のナイアガラ」こと、原尻の滝を鑑賞するため、すぐ下流に架橋された吊橋。

この橋があるからこそ、幅120mもある巨大瀑布と滝壺の全景を見渡すことができる。側にある「道の駅 原尻の滝」の目の前にある。→公式サイト

(2)明石橋[あかいしばし](高知県香美市)

自著「土佐のマイナー山part2」に収録している尖峰、天王ノ森(平家ノ森)登山口のある物部川に架かる橋。昭和38年架設、全長78.1m。

これは人道橋であるものの、国道から明石橋を渡った先には天王集落や山中の廃村、熊押等もあることから、橋や橋を渡った先の歩道は「県道久保大宮線」となっており、道路地図によっては、車道として記載されている。

この辺りの物部川は永瀬ダムによって湖的景観を呈し、美しい。写真の奥の山は大比山。

 

(3)三枚とべ橋(徳島県東みよし町)

以前紹介した「夫婦渦」へ行く途中にある橋。「三枚とべ」という名の落差8m、3m、10mの三段の滝の、二段目と三段目の間に架かっている。

JRの枕木で造られたような昭和18年架設の橋で、全長12.7m、幅員1.6mと小振りだが、滝を真下に見られて豪快。この橋を通る歩道も「町道三枚とべ線」となっている。※地図が間違っている可能性があるが、登山口までは道標が案内してくれたと思う。

 

(4)赤川橋(三好市)

大歩危峡と小歩危峡の間辺りの吉野川に架かる。昭和50年架設の全長109mの吊橋。景勝地の一角にあり、人道吊橋としても規模が大きいものの、観光用ではないため、橋袂には万が一、事故が起こっても管理者は一切、責任を負わない旨の注意書きが建っている。

この橋から続く歩道は「市道大津赤川橋線」。看板も設置されていないが、橋の袂に地権者の銅像が建立されているので分かり易い。一応駐車スペースもある。→紹介サイト

 

 

(5)ビーナスブリッジ(兵庫県神戸市)

有名な陸橋で以前も紹介したが、都市の人道橋としては全国屈指のパノラマを誇るため、再度取り上げたい。麓の金星台からの散策道が「再度ドライブウェイ」を越える地に架橋され、展望台「ビーナステラス」に繋がっている。

8の字の螺旋ループ橋で、全長は90m、昭和46年に架設された。橋からは神戸の街並みが一望でき、夜景スポットにもなっている。

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金星台という丘は明治7年、フランスの天文学者、ジャンセンが太陽、金星、地球が一直線に並ぶ「金星の太陽面通過」という現象を観測したことから名付けられ、ビーナスブリッジやテラスの名称も金星(ビーナス)からきている。コースは「山と高原地図」シリーズ「六甲・摩耶」に記載。

因みに金星台には、勝海舟が海軍操練所内に建立していた「海軍営」碑が大正4年、移設された。→紹介サイト

(6) 哀伝橋(奈良県天川村)

奈良県屈指の渓谷、ミタライ渓谷(山上川)に架かる吊橋。以前紹介した愛媛県の四季彩橋と同じく、塔柱や吊索がない吊床版式吊橋で、全長は85m。渓谷の南の方の入口に架かっており、すぐ上流のミタライ滝を見ることができる。

遊歩道には通常の形式の吊橋もいくつも架かっており、他の滝や淵を間近に見ることができる。ただ、滝の水量が少ない時期がある。→コース詳細

 

 

 

 

 

(7)かりがね橋(天川村)

奈良県屈指の温泉郷、洞川(どろがわ)温泉郷を通る「洞川自然研究路」が小泉川を渡る箇所に架かる吊橋。全長120mで高さが50mあるため、高度感があり、展望も優れている。「かりがね」とは地元でイワツバメのこと。

自然研究路沿いには以前紹介した面不動鍾乳洞、大原山展望台(洞川展望台)、コウモリの岩屋、トウロウの岩屋等、見所が多い。→コース詳細

ミタライ渓谷と自然研究路のコース図は山と高原地図シリーズ「大峰山脈」に記載。

 

 

(8)東谷吊橋(富山県黒部市)

以前紹介した日本一の渓谷、黒部峡谷の下ノ廊下本流に架かる吊橋。ネットでは橋の全長を20~30mほどか、と記述しているものもあるが、日本最大の渓谷であるから、もっとあるように思う。水面からの高さも相当なもの。

カメラマンや観光客も一度は訪れてみたい、と思うであろうが、前も説明したように、ここを通る歩道は観光用のものではなく、元々、黒部ダムや関連施設建設時に死傷者を出しながら造成した作業歩道。

 

 

ただ、黒部峡谷鉄道 欅平駅からこの橋までは比較的歩き易く、5時間半ほどで到達できる。但し途中、志合谷の内側に掘られた素掘り隧道は時期によっては膝位まで水没していることがある。懐中電灯も必須。

 

反対側の黒部ダムからこの橋までは登山上級者向き。時折、転落死亡事故も起こっている。日本一の渓谷に転落すれば助かる見込みは少ない。

下ノ廊下の歩道のコース図は山と高原地図シリーズ「鹿島槍・五竜岳」に記載。

当方が辿ったコースは→紅葉の日本最大渓谷・黒部峡谷下ノ廊下

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