鳥居越しの瀬戸大橋~穴場稲荷~(倉敷市) | 次世代に遺したい自然や史跡

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毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

<奥宮から鷲羽山へのルートあり>

岡山県には、名の知られた自然の「天空の鳥居」(玉野市のものは人為的天空の鳥居)は殆どないが、以前紹介した児島龍王山の鳥居のように、鳥居の中に絶景が映ることはないものの、鳥居越しにパノラマが広がる地や、鳥居付近から好展望が広がっている地は何ヶ所か存在する。

 

その一つが倉敷市児島の鷲羽山中腹に鎮座する「穴場稲荷」の奥宮である。ここで言う「穴場」とは岩屋のことで、玉野市の天空の鳥居とほぼ同高度、70数メートルほどの地の岩屋に「穴場稲荷」の奥宮(奥の院)が祭られており、側の赤い鳥居からは、瀬戸大橋と瀬戸内海の展望が広がっている。

標高は低いと言えども、玉野市の天空の鳥居同様、急傾斜の地にあるため、胸のすくパノラマが広がっている。また、そこから背後の絶景山、鷲羽山に登るコースもあり、復路、車道を歩くならば回遊コースも設定できる。

 

参道口(下図)にも赤い鳥居が建っているので分かり易い。駐車場とトイレはその東にある。地形図(下津井)にも急登の参道は記載されているが、勾配がきつい箇所は階段になっているので、一般観光客でも登り易くなっている。

 

通常の稲荷神社同様の鳥居が続く一直線の石段を上り切った所に、集会所のような外観の穴場稲荷の拝殿がある。ここの稲荷神社は正一位の位が授けられているので、小社とは言え、社格は高い。

 

 

 

 

 

更に登った所に摂社と本殿がある。摂社の中には「小穴場稲荷」という祠もあるが、これは神社側が祀ったのではなく、個人が祀ったもの。

本殿の向かいには、まるで登山鉄道のトンネルのような、拝殿から上がってきた側壁と屋根付きの階段がある。

 

 

本殿分岐には、本殿側と奥宮方向の二ヶ所に鳥居があり、奥宮方向に少し上がった所の鳥居から振り返ると、恰も三方向に鳥居が設置されているかのように見える。

自然の石を刳り貫いた手水鉢が現れると奥宮は近い。

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巨岩の斜め上の岩屋に奥宮はある。その手前の2本の鳥居上から瀬戸大橋と瀬戸内海の展望が広がっている。縦長ショットにすれば、インスタ映えする写真が撮れる。

この巨岩の上には「一本松」があり、そこからの展望も良く、休止できるスペースもある。穴場稲荷総代会関係者の話では、ここから鷲羽山までのコースはヤブで通行困難ということだったが、現在は有志により、最低限の刈り払いが行われているため、コースも分かり易く、ヤブ漕ぎ箇所も殆どない。

大きくジグザグを繰り返して上っていっているため、疲労することも殆どなく、鷲羽山古墳群の三号墳の東に出る。地形図では尾根に車道が通っているように描かれているが、これは観光地の遊歩道並みに整備された歩道の尾根道。

ここから拙著「四国の鉄道廃線ハイキング」で触れた絶景の展望所はすぐ。岡山県南部随一の展望が広がっている。

三角点(112.7m)へは一旦尾根道に戻ってから先へ進むと、Y字路に山名を記した道標があり、そのすぐ上に埋設されている。

また尾根沿いの道に戻り、トイレ下の分岐まで来ると、向かいの第二展望台から南東に階段が下っており、下電ホテル前の県道21号に下り立つと、後は神社の駐車場まで西進するのみ。

倉敷の穴場スポットである穴場稲荷と鷲羽山を巡り、下電ホテル下方から出航する遊覧船に乗りたい、という方は下のバナーを是非。