西日本の人面岩(四国・岡山・大分) | 次世代に遺したい自然や史跡

次世代に遺したい自然や史跡

毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

<SNS人気岩から山上海食洞門の岩まで>

全国各地には、人の顔の形をした岩があるが、愛媛・高知・岡山・大分県のそれらの岩を紹介したい。一応全て道標や案内板は設置されており、駐車場や駐車スペースもあるが、探訪者は岡山県のもの以外、あまり多くない。

 

(1)人面岩(愛媛県大洲市)

一般的な人の顔の形をした岩は、自然の造形美であることが多いが、大洲市長浜町豊茂の山中にある「人面岩」と呼ばれる岩は、人がノミ等で模ったもの。

幕末、石工の「力石力造」が彫ったものだが、豊茂から櫛生に抜ける峠道の完成記念に彫った、という説と、当時、麓の川に河童がいて、村人に悪さをするので、巨人がいるかのように岩に顔を掘り、長さ2mほどの草鞋を作って設置した、という説がある。

 

因みにこの岩へは、10分台で登ることができる。案内板の奥のガードレールから、砂防ダムの上流側へ下りる踏み跡があるが、これを辿って水流のない川床を歩き、対岸に渡って、岩のある山の支尾根の突端付近に取付き、尾根を登るとほどなく、前述の峠道に出る。その道は人面岩の頭部背後を通っている。頭頂部に立つこともできる。→観光サイト

(2)天狗岩(高知県室戸市)

この岩は、弘法大師史跡である海食洞「御蔵人窟」と「神明窟」の駐車場の南方に標柱が建っているから分かる。そこから上部の岩を見上げると人面が現れる。

名称は「天狗岩」だが、天狗には見えない。どう見ても欧米人の横顔である。幕末、黒船で来たペリー提督を天狗のように描いた絵もある位故、当時の日本人からすると欧米人は天狗のような存在だったのであろう。→ジオパークサイト

 

尚、今なぜかブログ内検索(当該語句で)してもヒットしないようになっているが、前も説明したように、御蔵人窟に入洞して振り返ると、ピカチュウの姿が現れる。

(3)ニコニコ岩(岡山県玉野市)

今回取り上げた4ヶ所の人面岩の内、最も有名な岩で、SNSから人気に火がついた。海岸沿いの観光山、王子ヶ岳(234m)にある岩で、まるでおむすび頭の切れ長の目をした男性が、優しく微笑んでいるかのよう。

この顔に癒される、ということで休日にはコロナ禍でも観光客が押し寄せていたが、それは展望も優れているからこそ。播磨灘から瀬戸内海の島々を一望できる。→関連サイト

当方は時間がなかったので探訪できなかったが、他にも「おじさん岩」等各種奇岩がある。

(4)万年仏(大分県玖珠町)

山上が溶岩台地になっており、ミヤマキリシマの群生地としても知られる万年山(はねやま・1140m)の「ハナグリ(鼻繰)登山口」から5分ほど登った所にあるハナグリ岩にある仏の顔。しかも万年仏の首の部分に海食洞門がある。洞門を抜け出て、後ろを振り返ると万年仏が現れる。

 

ハナグリ岩の上方には、まるで石仏でも安置していたかのような海食洞もある。

岩を抜けると踏み跡はやや怪しくなるが、その海食洞の更に上部へ、虎の子ロープを掴んで登る踏み跡もあり、これを進むと万年山山頂へ直登する登山道に合流する。

そのすぐ上がハナグリ岩を擁す岩場の天辺で展望がいいので、休憩して万年山登山道を下山すると回遊コースになる。登山愛好家なら、山頂まで登った後、逆方向に下り、ミヤマキリシマの群生地を巡り、西進すると歩き甲斐のある回遊になる。

 

尚、ハナグリ登山口は山頂へ向かう道と、ハナグリ岩へ向かう道とに分かれているが、後者の道標は灌木に隠れて見え辛い。→ハナグリ登山口までのアクセスを動画で紹介するサイト

余談だが、中四国にも山上洞門があることが分かった。中国地方のものは、毎年恒例の「○○年至極の探訪地ベスト5」等で紹介したい。四国のものは島嶼部故、行き辛い。

行き辛くとも探訪してレポート記事を投稿して欲しい、という方は下のバナーを是非。


人気ブログランキング