<男風穴と女風穴>
「熊本県民よ、○○は××だけじゃない」シリーズ第一弾と二弾は過去、大分や福岡のものを投稿した山上の浸食洞門について。熊本県ではこれを「風穴」と呼んでいるが、四国で風穴と言うと、地下から冷風(愛媛には温風のものもあり)が噴き出す洞穴のことを指す。
シルバーウィークは高森町の山上洞門、上色見熊野座神社奥の院、穿戸岩に行ってきたが、「穿戸岩」は個別の名称ではなく、これも熊本県ならではの呼称で、山上洞門を擁する岩を指す場合が多い。
しかし上色見熊野座神社と穿戸岩は、想像を絶する人混み。大分や福岡の山上洞門では人に会うことがなかったため、最初、神社の祭りなのではないかと思った位。夕方になっても観光客の参拝列が絶えることはない。
近年、観光客が爆発的に増えた理由は、SNSへの穿戸岩の写真投稿と神社の石段がアニメの聖地になったことらしい。
神社境内には穿戸岩の案内板は一切なかったと思うが、観光客は皆、迷わず穿戸岩を目指して上へ上へと登っている。
歩道の終点にそれは現れる。全長10m以上の横長の洞門である。内部に賽銭箱が設けられていることから、この岩を御神体としたものか。
駐車場からは徒歩15分ほどであるが、標高は900mほどある。
観光客は皆、この洞門を見て驚いているが、以前紹介した大分の古羅漢は、岩の規模だけなら穿戸岩の倍以上ある。
また、高森町内には非常に小さい洞門を擁する穿戸羅漢山(700m)もあるが、洞門が小さすぎるため、探訪はしていない。
県内で穿戸岩の次に大きい、道が整備された洞門は南阿蘇村の「男(お)風穴」(1枚目の写真)であろう。これを探訪するには、「免の石トレッキング周回コース」を専門の山岳ガイドを付けて案内して貰う必要があると言われているが、このコースの西コースの林道は、冠ヶ岳や番台ヶ平、外輪縦走道に登るコースとして一般に開放(徒歩のみ)されている。
その林道の支線から僅か5分程度で男風穴には登れ、且つ、危険箇所もないことから、各種登山コースの付随史跡と見做した場合は、ガイドを付ける必要はないと思うが、如何であろうか。
その判断は読者に任せるが、ガイドを付けて(一人での申し込み時は複数人時の倍額8,000円)登る際もルートの詳細は把握しておいた方がいいと思うから、説明する。
その林道支線の起点は、633m独立標高点の西側。コンクリート林道の三叉路が現れるからすぐ分かる。林道が633m独立標高点の南東の谷に達すると、右カーブを描き、勾配が急になり、谷沿いを上がる。四駆車でも上れないような究極の急勾配である。
それを上がったすぐ先に、左後方に折り返す踏み跡が現れるが、それが西コースの登山口(下の図)である。そこを進むと別の涸れ沢に出て、南に上がるようになる。樹木名のプレートが道標代わりになる。
ほどなく、岩の両側にロープが現れるが、登山靴を履いていれば、このロープは必要ない。左側のロープがコースである。ロープが終わった先には短い梯子があるが、これも特に必要ないもの。子供が登ることを想定しているのであろうか。
梯子の上から右手を見ると既に男風穴が見えている。風穴までも左手の斜面にロープや鎖が設置されているが、これも登山経験者なら必要ない。
男風穴の標高は680~690mほど。洞門からは東方の山並みを見渡すことができ、通り抜ける風が心地良い。穴の開き方が少し歪で、説明し辛いが、穴が互い違いに開いているように見受けられる(上の写真)。
ここから女風穴を経て、免の石跡の岩穴までルートは続いているが、ルートが複雑になるので、ガイドを頼んだ方が良い。それに免の石跡の下方の登山口にはゲートが設置されている。ガイド依頼時は西コースで男女風穴から免の石跡まで行き、そこから涸れ沢を下り、回遊した方が楽である。
女風穴は標高720m前後にあるが、小さく狭いため、しゃがまないと入れない。こちらは、男風穴以上に展望が良い。
尚、男風穴から免の石跡、及び落石した免の石まで巡る際は、専門ガイドを付けてでないと入山できないことになっている。
当方もガイドを付けずに登ってきた、と言っているのではない。ただ、天然記念物に指定しても可笑しくない「村の宝」を探訪する場合、危険箇所がない短いコースに於いては、8,000円も支払わないと探訪できない、というのは可笑しいのではないか、ということ。
次回紹介する地にも複数の洞門がある。
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