《高さ20mの巨大アーチ橋も》
「世界の何だコレ!?ミステリー」2020年2月5日放送回の最後は、「六角精児と巡る鉄道廃線跡」コーナー。この回は国鉄宮原線が取り上げられたが、山中のコンクリート橋と平野部のアーチ橋、この二つの鉄道橋が印象的だった。
よく六角はこのコーナーで、まるで自分たちが初めて当該廃線跡遺構を発見したような口ぶりで話すが、宮原線は第一期廃線跡ブームを巻き起こした、’95年発行の初代「鉄道廃線跡を歩く」第一巻に収録されているので、九州の廃線跡マニアはほぼ全員、この廃線跡を探訪済と言っても過言ではない。
一行は大分・熊本県境付近から熊本県側へと入って行く。途中、バラストや枕木、二つのトンネルがあるが、これらの遺構は全国各地にあるため、珍しくない。
植林帯に入るとコンクリート橋が現れる。平野部の川に架かるコンクリート鉄道橋よりは趣がある。以前、当ブログや拙著でも紹介した、高知県大豊町から徳島県三好市にかけて残る国鉄土讃線旧線跡にも、やや規模が小さいものの、同様の橋は複数ある。
廃線の自著発売当時はまだ第二期廃線跡ブーム前だったが、今はこの旧線跡を歩く「廃鉄」マニアも増えているのだろうか。
次のコンクリート橋は小国町の樅木川に架かる国定文化財の幸野川橋梁。通称「竹筋橋」だが、番組でも説明されたように、昭和14年、鉄の代りに竹を骨組みにして建設された珍しい竹筋コンクリートアーチ橋。竹の強度は鉄の約6割しかないため、それだけ多くの竹を用いることになる。
高知県には流石に竹筋鉄道橋はないが、以前紹介した、それと形状が似ている大正林用軌道の払川橋、通称「眼鏡橋」(四万十町)は幸野川橋梁よりも規模が大きく、高さは20mにも及ぶ。
昭和19年に完成した四国随一の廃線跡コンクリートアーチ橋である。日本屈指の森林鉄道、魚梁瀬森林鉄道にもこれほどの橋はない。
しかし前も紹介したように、魚梁瀬森林鉄道の西谷線(北川村)には、完全な木造鉄道橋が残っている。「完全」故、当然橋脚も木造。崩れることなく(但し現況は不明)、残存していることは全国的に見ても珍しい。
この西谷線の木造橋は沢に架かる小さなものであるが、以前解説したように、香美市から南国市を走っていた石原満俺軌道にはかつて、国道に沿う形で櫓に組んだ巨大な木造陸橋があった。高さのある築堤と築堤を繋ぐ形で建設されていたのである。
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