横倉山の赤滝洞穴と横地見洞穴(越知町) | 次世代に遺したい自然や史跡

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毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

<道沿いにある赤滝洞穴は規模が大きい>

高知県越知町・横倉山南面には洞穴が多いが、道標等が整備されているものは極めて少ない。

 

以前、四国第二位の深さを誇る星ヶ滝洞穴の横穴部を紹介したが、そこより横穴部の規模が大きく、車道からの道が存在するのが赤滝洞穴。

現在、ネットで画像を公開しているものでは、入口のみの画像を添付したものと、横地見洞穴を赤滝洞穴だと勘違いして記述しているブログが見られる。後者のブログ運営者は多分以前、当方のことをキティ山岳会(個人の男性)だと思い込んでいた者と思われる。

 

さて、赤滝洞穴と横地見洞穴についてだが、双方は直通道の登山口は違えど、いずれも青ぬた峠(横倉宮の鎮座する横倉山中嶽の東方)の峠道沿いにある。当方は赤滝洞穴から横倉山中嶽を往復して一旦車道に戻った後、横地見洞穴登山口に回り、洞穴を往復した。後者の洞穴は登山口から徒歩1分ほどの所にあるからである。

双方の洞穴の登山口は、五味の市原集落の車道終点手前から南東に分岐する林道沿いにあるが、この林道はボンネットがあまり出ていない四駆車でないと通行できない。更に対向車が来ると万事休す。兎に角幅員が狭く、急勾配で、待避所も殆どない。

 

四駆車所有者のためにアプローチを解説すると、まず、集落の車道終点手前の沢の更に手前、一見すると私道のような急角度で南東に上がる、地形図には記載されていない狭い林道に入る。マニュアル車なら一速でないと上がれない。

狭いX字路を見送るとすぐY字路に到る。直進道の先に墓が見えている所である。ここを左に折り返して上がる。後は「本道」を道なりに上がっていく。

 

林道が尾根に乗ると、真正面に横倉山の山塊が見えるようになり、そこの左手路肩が広くなっているので、そこに駐車する。この先、駐車スペースはないが、一週間前はその先に倒木があったので、車の走行はそこから先、不可になっていた。

 

二輪駆動車で向かう場合は、集落の少々手前の分岐(「市山」の看板がある所=上の地図)を上がった所の路肩に駐車し、そこから歩くことになる。そこの標高が170m弱で、赤滝洞穴登山口の高度計での標高数値が435mだったから、そこから登山口までは50分以上、歩くことになると思う。市山バス停から歩いても10分も変わらないが、バスの便が今でもあるのか否かは自治体に確認を。

 

四駆車での駐車場所から林道を10分ほど上った所の右ヘアピンカーブ部が登山口。ここは林道終点の手前のカーブ。その終点付近に横地見洞穴登山口がある。

そこは無名の滝の天辺横で、登山口奥には土砂で曲がった鉄製の手摺があり、滝の天辺を渡渉する。

そこからまた10分ほど登ると、土砂崩れを起こした涸れ沢に到る。杉の倒木が道を塞ぐように倒れている所である。その右手上を見ると、地面に赤滝洞穴が開口している。

 

入口から岩を掴みながら一旦降りると、横穴の下り坂となっている。立って歩ける規模で、星ヶ滝洞穴より遙かに大きい。立って歩ける区間の奥行は20m弱ほどだろうか。そこから奥は穴が極端に細くなるため、腹這いでないと進めない。

鍾乳石は殆ど見当たらず、コウモリも一匹しかいなかったが、夏場は心地良い。

ここから青ぬた峠に上る場合は、洞穴から30分ほど登った所に大規模な土砂崩れ跡があり、道が完全に消えているから要注意。但し、青や白、ピンクのマーキングテープが進路を示してくれている。ただ、「いつまでもあると思うな親とテープ」である。

 

尚、この洞穴は安徳帝の避難所の一つと言われており、もし源氏が攻めて来た場合は、帝は青ぬた峠からここへと下りてくることになっていた模様。

一旦登山口に戻り、林道終点手前まで行く。そこに雑草に覆われた丸木階段があるが、それが横地見洞穴の登山口だ。1分ほど登って樹林帯に入るとすぐ道の左下を見る。洞穴を擁する岩盤の一部が見えている。

入口の外観はまるで回天の格納壕のようだが、立って歩ける区間の奥行は短い。しかし落盤箇所から先へはまだ洞穴は続いているので、ザイルを使用してその先に降りると、まだ奥に進めるはずである。

両方の洞穴共、形成している岩盤は凝灰岩。

 

尚、一人で行くのに不安を感じる方は、越知町観光協会に連絡してガイドを紹介して貰うと良い。

一人で集落から登って行く、という方は下のバナーを。