裏見の滝王国・高知:六つ目の滝~大たびの滝(佐川町)~ | 次世代に遺したい自然や史跡

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毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

[まるでトーチカの如き裏見岩屋]

これまで高知県の裏見の滝を五つ、紹介してきたが、六つの滝があった。それが佐川町四ツ白にある大たびの滝(大滝の滝)である。

 

この滝の特徴は裏見部分、つまり、滝の裏側。添付写真では角度のせいであまり伝わらないと思うが、まるで巨大トーチカの銃眼のように細長い水成岩の岩屋となっているのである。長さは10メートル位あるが、一見すると人工的に刳り貫いたように見える。「大滝の岩屋」という。

 

滝名の由来は側に建つ大滝雨龍神社による。藩政時代中期、地元の石鎚信者先達らによって石鎚大権現、筒上山大山祇神、大滝龍王を勧請したもの。最後の大滝龍王は拙著の廃線本に記載した安居林用軌道跡側にある大滝神社の祭神ではないかと思われる。尚、四国では滝のことを「たび」と読む場合がある。

 

ここの岩屋は神聖なる場所で、かの西日本最高峰・石鎚山に掛けられている鎖は藩政時代、先達や刀工がここに籠り、大滝の滝に打たれ、斎戒沐浴して完成させた。それを75人の先達によって、彼方にある石鎚山へと運んで設置したのである。

 

文献ではこの神社の住所は「二ツ野京蕨大滝」となっているが、現在、地区境界が若干移動しており、大字は四ツ白になっている。

滝の落差は10mほどで水量も多くはないが、岩屋が絶壁にあるため高度感があり、車道化される前に利用されていた谷に架かる人道橋も見下ろすことができる。

 

滝の天辺にも容易く立つことができる。滝は浸食作用でできた川床の岩の細い溝状の所を流れ、一気に落下している。その天辺の溝状部分を跨いで立つこともできる。

 

滝は車道沿いにあるのだが、道路の幅員は狭く、待避所もあまりないため、農家や山師の軽トラが対向してくるとかなり焦る。その道路は清宝山西側の峠を越える、佐川町加茂と四ツ白及び二ツ野を結ぶもの。

 

大たびの滝の道標は加茂側の二ヶ所にある。バイカオウレン自生地分岐と清宝山西側の峠。しかし肝心の現地に看板がないため、車で加茂弘岡側から行くと滝を見逃す可能性がある。

 

四ツ白側の道路の入口は、県道300号と299号の交差地の南西。二ツ野側の入口は、県道299号沿いの永田肥料店の所の三差路で、川を渡ると聖天権現西沿いを南下する。後者の方が分かり良いかも知れない。

 

後者の場合、沢を上流で渡ると四ツ白からの道路と合流するが、その次に現れる狭いY字路が目印になる。そこから右側の本線道路を徒歩2分ほど行くと左下から滝の音が聞こえてくる。

 

しかし駐車スペースがないため、滝上流の暗渠で沢を渡る箇所の手前か先に駐車するしかない。岩屋横からそこまでの区間は舗装道にも拘らずやや悪路。

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