[久松郁実氏が見たかった第二のにこ淵]
フジテレビ「FNSソフト工場・ミライ結社 山里〜消えゆくお宝を救え!〜」(ゲスト:山里亮太)の久松郁実氏一行が辿り着けなかった高知県いの町のふるわん谷 (十田川)にある姥ヶ淵は、近年、SNSで人気の同町のにこ淵を一回り小さくしたような形で、太陽光が強い10~14時頃、淵がエメラルドグリーンとなって美しい。
姥ヶ淵もにこ淵のように滝を擁しているが、その滝の上流には別の淵「孫ヶ淵」があり、姥ヶ淵の数倍の水量の滝が轟音を立てて落ちている。登山道が廃道同然ということもあり、ネットでもこれらの淵を取り上げたサイトは二つしかなく、その運営者は知人同士で一緒に探訪している。つまり、実質上、サイトで取り上げているのは一組のみとなる。
その内の一人、JJJことS崎氏がミライ結社に姥ヶ淵の動画を提供している。彼は「滝のMH2氏(四国一のピークハンター)」という位、県内の滝を熟知している。
MH2氏との共通点もある。目的地へ行くためには手段及びルートを選ばない、ということと、探訪ルートと探訪ガイドを公開していない点。姥ヶ淵についても正規ルートを辿ることはせず、ザイルを使用して到達している。
が、廃道同然とは言え、ヤブ漕ぎ箇所はあまりなく、例えルートが分からなくなっても地形図上や山中に目印になるものがあるため、最低限のルートファインディングができれば、ザイルなしで到達できる。
登山口は前回紹介した山子滝と同じ町道のカーブ部。その奥は小屋掛けされているが、小屋は姥ヶ淵へのルート上に掛けられている。だから前回述べたように、車道からは道が見えないのである。
小屋掛けされた中を通らせて貰い、そこを抜け出ると山道が現れ、植林帯に突入する。少し進むと道は下りになる。
再び平坦になるとほどなくして一つ目の炭焼き窯跡が現れる。恐らくここで久松郁実氏一行を案内した地元民はルートを誤り、ふるわん谷の川床に下りてしまったのではないかと思われる。当方も一回目に探訪した時、誤った。
しかし正規ルートは終始、谷よりかなり上方を並行して走っている。炭焼き窯跡からも高度を下げずにそのまま進む。
しばらく進むと二つ目の炭焼き窯跡に着くが、ここも踏み跡が薄いため、ルートを誤り易い。そのまま直進してしまいがちだが、ここからは上り坂となる。正規ルートと獣道等の区別がつきにくいが、一番歩き易い所がルートである。直進してしまっても崖に達するから誤りに気づくことだろう。
その内、前方上方に巨岩が現れる。ルートは一旦少し下り、その岩の下方にある岩盤をへつるように進む(上の写真)。
「へつり」が終わると再び上りになるが、道幅が狭く、路面に木の根が露になっている。ここは帰路、気を付けたい所。木の根に足を置いてしまうと滑って谷に転落してしまう。
その先で踏み跡が完全に消えるとザレ場の斜面を少し上がると再び踏み跡が現れる。
竹藪が現れると三つ目の炭焼き窯跡が現れ、少し進むとガレた涸れ沢に達する。ここには必ず帰路のため、マーキングテープを巻いておくこと。この涸れ沢の渡渉部は過去の沢の出水でえぐられているため、竹に掴まりながら斜め下に渡渉して対岸に移る。これ以降、ただでさえ薄い踏み跡が更に薄くなる。
移るとすぐまた沢が現れるが、この沢は渡渉地が分かり易い。対岸にマーキングテープを付けることを忘れず。
対岸に渡ってもそのままの向きで斜面をトラバースして下っていき、最後の四つ目の炭焼き窯跡に下り立つ。
ここから向きを反転させるが、すぐ下は轟音を轟かせる孫ヶ淵(下の写真)である。岸が傾斜した岩場になっているため、淵には降りにくい。
孫ヶ淵は無視してそのまま岸を下流へと進むが、上流部で渡渉した沢を再び渡渉する。小さな滝(上の写真)のすぐ下である。ここは一見すると沢に下りられないように思えるが、木に掴まりながら下りられる箇所がある。
更に上流部で渡渉した涸れ沢もまた逆方向に渡渉する。この地点では既に姥ヶ淵の滝の部分は過ぎている。しかしまだ淵へは下りられないため、斜面が殆ど淵と接する位まで下って行き、安全に淵の縁へと下りる。
一週間前に訪れた際は15時位だったため、淵の水の色が黒に近い深緑だったが、今回は時間帯を選んで訪れたため、鮮やかな仁淀ブルーになっていた。
ところで以前、いの町のだんだんの滝で急に滝から飛行機音のような轟音がし始めたことを述べたが、ここでもそれが起こった。一体この現象は如何なるものや。淵の主の慟哭なのか、はたまた「早くここから去れ」ということなのか。それとも「ブログで探訪ルートを公開してね」ということだったのか。
この姥ヶ淵は高度計高度で195mだった(グーグルマップは等高線高度が誤っている)。ルートの最高所は240mほどである。地形図(思地)では谷の標高210m地点に砂防ダムが描かれているため、読図の目安になることだろう。
砂防ダムから上流にも複数の無名の滝があるようだが、また必然性を感じたら探訪したいと思う。
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