[山子滝は豪快な裏見の滝]
ふるわん谷とは日本一の水質・仁淀川の二次支流、高知県いの町の十田川の別称である。車道の橋から上流は渓谷と化し、複数の滝が懸かっているから「川」と呼ぶより「谷」が相応しい。この谷に先日追伸で触れた、フジテレビ「FNSソフト工場・ミライ結社 山里〜消えゆくお宝を救え!〜」の久松郁実氏一行が辿り着けなかった姥ヶ淵がある。
その姥ヶ淵上り口は車道からは見えないので、前述の番組を見ていない方は案内人が必要だろう。しかも廃道寸前故、ルートファインディング力が不可欠。
ところでその上り口手前の車道のカーブ(上の地図)からは規模の大きい滝が見えている。その滝を山子滝というが、滝の真ん前に立って初めてその滝が裏見の滝であることに気づく。これまで高知県の裏見の滝は四つほど紹介してきたが、山子滝の「裏見部」の規模は二番目。滝全体の規模は一番かも知れない。見応えと瀑布の裏からの景色も申し分ない。
山子滝の入口は前述の車道のカーブ部。カーブから見ると踏み跡が滝に向かって一直線に延びているから分かり易い。
その下りの踏み跡を辿るとすぐ左下が植林帯になるのだが、その方向からも別の滝の音が聞こえている。山子滝が懸かる谷のすぐ東の谷にも無名の滝(上の写真と下の地図)が懸かっているのである。
植林帯が現れるとすぐ左後方に折り返す踏み跡が現れるが、これを下るとその無名滝に行ける。但し、その踏み跡はヤブに覆われているため、注視して分岐を探されたい。
踏み跡はほどなく無名滝の斜向かいの対岸に達する。岸を少し上流に遡れば、滝のすぐ側まで近寄ることができる。
滝は段々になった岩盤を流れ落ちている。落差は20mはあるだろう。長引の滝とでも仮称するか。この辺りのふるわん谷は激流となり、水も仁淀ブルーっぽく澄んでいる。
谷の水嵩があまりなければ、谷をそのまま山子滝まで遡行できるのだが、昨夜から今日の未明頃、降雨があったらしく、遡行は断念し、山子滝(下の地図)への踏み跡へと引き返す。
踏み跡は岩場の上で終わっているように見えるが、岩の東側から伐採された腐った竹群へと下りられるようになっている。更にガレ場に下りると最後は若干ヤブ漕ぎを要す。
ヤブを抜け出すと目の前に山子滝が落下している。落差は30m以上ありそうである。
二条になって落下しており、西側の方が水量が多く、裏見の滝になっている。豪快な滝とは言え、四国最大級の裏見の滝である須崎市の樽の滝のように身体が濡れることはない。勿論、気持ちいいミストシャワーは飛散しているが。
この二つの滝を探訪後、先週に続き、再び姥ヶ淵に向かったが、またしてもルートを3回以上外し、時間を要してしまった。尤も久松郁実氏一行を案内した地元民でさえ、途中でルートを外してしまっているため、廃道同然の正規ルートを最初から最後まで辿ることは不可能と言える。だからこそ、仁淀川水系最後の秘境なのである。
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