海岸に五つの滝が!(安芸市・八流の滝) | 次世代に遺したい自然や史跡

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毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

[浜と廃線跡を回遊]

高知県安芸市赤野の八流(やながれ)は四国の覇者・長宗我部元親軍三千余と安芸の領主・安芸国虎軍二千余の兵が激突した「八流古戦場」(矢流古戦場)として有名だが、この地には海岸段丘がある。その段丘には八つの谷がある。崖の段丘に谷があれば、その内何割かは滝となって浜に落下することになる。

 

西日本豪雨から約一週間後の先日、その段丘を訪れてみると、五つの滝を確認できた。その内、最も水量が多く、規模が大きいもの(上の写真と下の航空写真)は以前紹介した徳島県牟岐町の白滝のような瀑布で、滝の斜め後ろから瀑布越しに土佐湾を見ることができる。当然滝の天辺にも立つことができる。

 

他にもそれぞれ異なる崖から落下する二つの滝が並んでいる所もあり、探訪していて面白い。ただ、どの滝も名称がついてないため、「八流の滝」と総称したい。

 

また、廃線跡ファンなら周知のように、この段丘上には土佐電鉄安芸線廃線跡(下の写真)がサイクリングロード「高知安芸線自転車道」として通っており、八流駅ホームの土台も残っている。

更に弘法大師が修行時、洗濯した衣を干した千丈岩やその霊跡を今に伝える四国36不動霊場第15番札所・八流山極楽寺等、見所もある。

 

ハイキングコースとしても推奨できる。四国のみち兼サイクリングロードの休憩所(勿論ドライバーの休憩も可)「赤野休憩所」(下の地図)を基点に、往路は浜を歩いて滝巡りをし、復路は廃線跡を辿って回遊することができる。往路から復路に移る地点には海賊焼き等も楽しめる「レストラン矢流」もあるため、グルメファンのウォーカーやハイカーにもお勧め。

 

コースはまず、赤野海岸を望む赤野休憩所から南東に下る未舗装道を辿る。一応車道だが超悪路。浜に下りるとそのまま歩き、御殿の鼻を目指す。ただ、牟岐町の白滝が落ちる浜とは違い、潮風があまり涼しく感じられないため、猛暑日等はきつい。

 

御殿の鼻を回り込んだ所に最初の谷があり、二段で57mほどの滝(上の写真)が懸かっている。石門のような所から二段目の滝が落下しており、小さいながらも滝壺が形成されている。

 

二段目の天辺(下の写真)にも簡単に登ることができる。その登った所には一段目の滝壺(上の写真)があるが、一段目の滝は落差2mもない。

 

浜歩きを再開するといくつか谷はあるものの滝はない。ただ、滝が落下した痕跡はあるため、豪雨直後は全ての谷に滝が懸かっていたかも知れない。

 

やがて広めの谷に達すると左右、二つの滝が見える(上の写真)。左側の滝(下の写真)は二段ほどで最初の滝よりは落差があるものの、水量は劣る。

右側の滝は三段ほどで岩盤を伝って流れており、下部は滑滝になっている。左側の滝よりは水量が多い。「八流夫婦滝」と呼んではどうだろうか。

 

最大の滝はかなり手前から見えているが、そのすぐ手前の岩盤からも水量の少ない直瀑滝が落下している。「八流簾滝」と呼んでは如何か。

 

最大の滝は三段で落差は十数メートルほどか。一段目が岩に当たって弧を描くように二段目が落下しており、形がいい。記念写真にももってこい。但し、滝壺はなく、水は地面に吸収されている。この滝は極楽寺の下方に懸かっていることから「極楽滝」と呼んではどうか。

 

こちらの滝も瀑布の右岸(西岸)の崖を簡単に上がることができるが、所々セメントの残骸があるため、昭和期はコンクリート階段が設置されていたのかも知れない。

 

滝の天辺(下の写真)の西側斜面には、広島県の大崎下島で見たような煉瓦造りの水路隧道跡のようなものがある。更に上流を見ると意外な光景が。何とここから上流の川床がコンクリートで固められていたのである。

 

但し、水路になっているのではなく、川床と岸の下部のみがコンクリートで覆われている(下の写真)。これは東岸上部に極楽寺が建っていることから、豪雨による崩落を防ぐためだろう。

 

滝の南東沖に亀形の岩があり、その奥に一際大きな上面が平らになっている岩があるが、これが千丈岩(下の写真)である。この岩を見下ろす地に極楽寺が建立されている。

 

この付近だったと思うが、小さな海食洞(下の写真)がある。

その次の谷の奥は擁壁となっており、レストラン矢流の裏手の廃線跡へと階段が上がっている。廃線跡サイクリングロードは地元民の散歩道となっている。

 

レストランの南西向かいに極楽寺がある。大正年間の建立で、本尊は一願不動尊。一願かけると心願が叶うという。境内にはかなり古い五輪塔の上部のみがあるが、これは中世か近世に建立された八流合戦の供養塔だろうか。

極楽寺の西側は極楽滝の上流の沢が暗渠のようになっている。

 

栗山建設の西側が土佐電鉄八流駅跡の島型ホーム(下の写真とその下の地図)。西側の建物の土台もホームの一部である。

陸橋を抜けると赤野休憩所に上がる道が現れる。

 

Ps: 今日は先日放送された「FNSソフト工場・ミライ結社 山里〜消えゆくお宝を救え!〜」のロケで久松郁実氏のメイクさんが滑落したため、一行が到達できなかったいの町の姥ヶ淵に出かけた。にこ淵を一回り小さくしたようなその神秘なる地は後日紹介したい。

 

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