[魂が昇天した上天]
今年春、このシリーズは完結したのだが、浦島太郎最後の伝説地「上天」(龍王宮)を先日探訪したので紹介したい。
上天(じょうてん)とは前回も解説したが、太郎の御霊が昇天した地、或いはそこから鶴になって竜宮城へと飛んで行ったとも言われている。
これを具体的に解釈すれば、両親の墓前で永眠した太郎の魂がオーブのように空中を浮遊し、紫雲出山中腹の上天と呼ばれる地に一旦留まった後、天国へと昇天した、ということになるだろう。
この伝承があるということは、村人がそのオーブが飛んでいく様を見ていたことになる。故に上天という地が特定されているのだろう。
そこは昔、展望が良かったことから、太郎の御霊は故郷の風景を眺めた後、天へと旅立ったのかも知れない。
その後、上天麓の積小久保の村人らによって上天に龍王宮が建立され、太郎の命日である旧暦3月15日には例祭を執り行い、弁当の接待が行われるようになった。
龍王宮は「上天さん」と呼ばれ、後年、麓の複数の集落にそれぞれ勧請され、信仰を集めた。
この上天は去年辺りに三豊市観光協会(現、三豊市観光交流局)が発行した「浦島伝説ガイドマップ」(無料)にも記載されているのだが、どん亀石や太郎の生家跡同様、図示の位置が間違っており、そこに到る道も記載されていない。
交流局に問い合わせると、四国のみちのマップに記載されている未整備のバリエーションコース沿いにあるとのことだった。しかし現地踏査すると、このコース自体、間違っていた。
そのコースは紫雲出山北面中腹まで延びる車道の西沿いの尾根上を通っているのだが、正しくは地形図(紫雲出山)に記載されている積黒崎から伸びる破線のすぐ西の尾根上だった。これは三豊市の落ち度ではなく、マップを作成した県の環境森林部のミスである。
しかもその正規コース沿いにさえ上天はなかった。あったのは前述の中腹まで延びる車道沿いだったのである。場所は地形図(平成7年発行版)で、その車道の標高150m地点に記載されている民家の東側。但し、その民家は現在、牧場になっている。
丸山島や大空(おぞら・箱峠北東)の龍王宮が神社形式の祠だったのに対し、ここの龍王宮は仏堂或いは神仏習合の権現タイプ。大空のように既に御神体(或いは本尊)は撤去されており、屋根には草が生えている。ただ、堂内には木像の弘法大師像と思われるものが一体と複数の小さな絵馬が残っている。
堂の奥には何基かの墓があるが、これは牧場の地にあった民家の住人の先祖墓。
墓所の上には昔、井戸として利用されていたと思われる泉がある。
余談だがこの日、箱峠近くの山で陸軍の山砲壕らしきものを発見した。そこには藩政時代の遺跡もある。それはまたの機会に投稿したい。
PS:三枚目写真の浦島太郎と乙姫キャラクターは三豊市出身の要潤氏と馬渕英俚可氏がモデル。
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