14年前に徳島県最大級になった滝の天辺に立つ(加州谷の滝) | 次世代に遺したい自然や史跡

次世代に遺したい自然や史跡

毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

[廃村から加州谷の滝天辺へ下る]

先週末投稿した、十数年前、徳島県一の滝となった滝についてだが、地元で聞き取り調査を行うと、元々一定の落差の滝があったが、2004年夏の台風で加州谷(徳島県那賀町掛盤加州)が大崩落を起こし、谷周辺の木々も根こそぎ流されたため、谷の全容が露になり、「加州谷の滝」(本来は無名の滝)が巨瀑化した模様だった。

 

問題の滝の落差だが、滝最下部前に架かる旧国道の仮設橋の高度は310m超。滝天辺のすぐ上にある岩の高度は高度計で440m。高度計の多少の誤差を考慮しても、加州谷の滝の落差は確実に100mを超え、それまで「徳島県一の滝」とされてきたつるぎ町の鳴滝を抜いている。但し、那賀町には他にも100mを超える無名の滝があるとされる。

 

この滝を麓から望むなら、掛盤にある木沢トンネル南方、国道193号の大用知橋付近から遠望することができる。付近の路肩には駐車スペースもある。

前述の仮設橋は、木沢トンネル北口から旧国道へ入り、符殿トンネルを抜けた先にある。符殿トンネルが通行不可時は、東に並行する更に古い旧道を徒歩で南下する。

 

しかし仮設橋からでは角度が悪く、滝の豪快さが感じられない。そこで先日、滝の天辺に出るルートを開拓した。それには廃村「下加州」へ行く必要がある。

現在の地形図に於ける集落名「加州」の表記地点は、正確に言えば「上加州」。つまり、元々「加州」とは「上加州」と「下加州」の総称なのである。

 

「下加州」の入口は符殿集落(地形図上での表記)を抜けたすぐ先の道路の右カーブ部。そこから西に上がる小径と南に下る小径があるが、後者が下加州への道である。下って数分以内のY字路で左に折れなければならないが、当方は直進してしまった。地形図(雲早山)に記載されている符殿から加州(上加州)に向かう破線の道を辿ってしまったのである。

 

それでも尾根を回り込んだ地点で、左下後方に廃屋が見えたため、そこから下加州に下ることができた。そして廃屋手前から支流の涸れ沢を下り、途中から右手のヤブに分け入り、加州谷へ下りたと思う。

 

帰路、分かったことだが、加州谷へ下りるルートでヤブ漕ぎが少ないものは、廃屋手前の広場から西寄りを南下するルート。これを辿れば谷の砂防ダムへ出る。それは砂防ダム建設時の作業歩道跡である。但し、案内がないと分からないかも知れない。

 

最初は川床を下り、水深が深くなると右岸(南岸)を下る。そして谷が左にカーブを描いた先に滝の天辺部が見えている(上の写真)。但し、天辺に行くには落差のある岩があるため、その岩から見下ろすしかない。

 

その後、右岸の斜面にある獣道的踏み跡を辿ってすぐ南の尾根に立った。ここからなら滝の上部を横から見下ろすことができる(上の写真)。そこから旧国道の仮設橋まで見通せることから、如何に加州谷の勾配が急なのかが分かる。まさに谷全体が滝である。

 

帰路は砂防ダム上流に懸かる滝(上の写真)を見物してから帰ると良い。当方は三田地区の「中の谷」沿いを上がって往還に出、符殿まで辿った後、下加州へ向かったが、途中、崩落した涸れ沢を渡渉する場所があるため、山慣れた者以外は辿らない方が良い。そのルートの詳細は→‘04年に徳島県最大級の滝になった加州谷の滝

 

他の100メートル級滝も紹介してほしい、という方は次のバナーをプリーズクリック