(買ってもらっちゃった……)
とわは自室で、理玖に買ってもらった服を体に当てて鏡を見ていた。
『是非この服を着て、また一緒に出かけてもらいたいものですね』
(LINEも交換しちゃったし……)
まだ最初の挨拶しかやり取りしていないが、いつ何と送られてくるか、そわそわして落ち着かない。
「とわ、入るぞ」
「どうぞー」
部活帰りのせつなが入ってくる。
「どうしたんだ、その服」
「ちょっとね……」
「とわまで色気付いたか」
ギクッとする。笑って誤魔化した。
「頼むから、もろはと同じ轍は踏むなよ」
「わかってるよ」
「じゃ、ご飯もうすぐだから降りてくるんだぞ」
「うん」
とわは新しい服を丁寧にクローゼットにかける。
(一緒に出掛けよう、か……)
それってデートでは? というか、今日のも実質そんな感じでは? 今更ながら気付いて真っ赤になった時、タイミング良くスマホが震えて飛び上がる。噂をすれば、理玖だ。
(待って待って待ってもう次のデートの話とか……)
『明日、先週見きれなかった本を買いに屍屋に行きます。だから何というわけではないんですが……』
顔に似合わず不器用な言葉に、とわは微笑む。
(じゃあ私も行こうっと。それに、屍屋なら、二人きりというわけではないしね)