伝えたい言葉

2021/01/22

ゲイの生活。 家族のはなし

t f B! P L

 皆さんこんばんは。


今日はいつも来ていただいているヘルパーさん最後の日でした。

訪問介護をお願いするようになった当初からお世話になった人だ。


いままでお疲れ様でした。感謝しています。

後任は男性の方のようで、両親と相性が合えばいいなと願うばかりです。


命の意味。


相方が一人で両親を見ることに疲れ果てて僕に介護をお願いしてきた日。

口数少なくうなだれていたあの頃の彼はどう見ても精神的にすでに限界でした。


彼が必要としてくれている間はここにいよう。

そう決めたから、介護しないという選択肢は僕の頭には最初からなかった。


ふと出会ったときの記憶が流れてくる。


「お前のいるところはここだから」

たぶん、当時の相方にとってはどうでもいい軽い一言だったと思う。

それでも僕には一生を左右するような魂の震える一言でした。


僕の母親は僕を愛してはいたと思います。

だけど子供をコントロールしたいのか、机やタンスを漁っては子の全てを把握したがった。


結局は僕を一人の人間としては見ていなかったのかもしれません。


ある時、ゲイ雑誌が見つかった。

それは、古本屋の親父に脅され続けるきっかけになった物だ。


すぐさま父親の前に出して僕を父親に殴らせた。

気持ち悪いものを見る目で「これは異常で病気だから治そう」と懇々と諭された。


悲しむからと幼児期に叔父にイタズラされたことも黙ってた。

なにも知ろうともしない親に、いろんな感情が綯い交ぜになってはいたが

それでも「治すからごめんなさい」と土下座をして親を納得させこの件は終わった。


多分、たった一度の過ちとしてもう忘れているだろう。


大人になり、親が原因で二度ほど職を失ってからさすがに僕は親と離れた。

マンションを買っても、会社を作っても、一緒に暮らそうと言い出さないために

怪しまれない程度に母親には違うことを言って、僕に縋ってこないようにしていた。


酷い息子なのかもしれない。

しかし、相方と一緒に選んだ贈り物をこんな物より金だと言うのを聞いたら

これで正解だったんだと、無意識に自分を納得させているのが悲しかった。


それでも親だから僕が死んだらお金が残るようにしたい。

つくづく自分は馬鹿なんじゃ?と思うけど孫を見せられないせめてもの罪滅ぼしだ。


最近、相方が自分の話をちゃんとするようになった。

相方の親も僕と同じで親が全てを決めたがった。


友人関係や学校関係しかり。

気に入らない友人がいれば強制的に友人を辞めさせたり、

小学生の頃は行きたくもない有名校に通うために越境通学をして、

塾やら習い事やらで遊ぶ時間すら与えてもらえなかったらしい。


本や漫画を読めば、教科書以外は無駄なものだと捨てられ、

テレビすら見せてもらえなかった。オモチャなんてもっての他で

よその子供がいつも羨ましかったと話してくれた。


昔から相方にはなぜか僕と同じようなものを感じていた。

こういう背景があったからなんだなと、その理由がやっと分かったような気がした、


両親が老いて介護する時になっても、彼らは自分のことしか考えない。

相方に仕事を辞めて毎日私達を介護しろとか平気で言い放つような親だ。


毒親は死ぬまで毒親だと思う。


僕も相方も、毎日自分に折り合いをつけながら生きている。

いつか介護が終わって、相方が昔のように笑えるようになったら、


「お前のいるところはここだから」

その時は、彼にそう言ってあげたいと思う。


それまでどうか、僕が自分の命を永らえていますように。


それではまた。







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