2021年1月27日水曜日

ビル設備管理 飲食関係漏電対応



変圧器のB種接地線電流は50mA未満でないといけません
がその範囲なら絶対に漏電異常はないのかと言えばそ
うではない事例。第二変電設備にある一般電灯2変圧
器は毎月20mAなのにその月は48mAもあったのです。
50mA未満だから異常なしとして様子見とするには嫌な
予感がしたので各二次側回路のI0を測定したらL4回路
で約41mAのI0を測定しました。(通常ここは10mA程度)
I0rでも39mAで何か変です。B種接地が50mA以下だから
様子見対応で終わらせる現場もありますが私は普段の
値より2倍も上昇したら知らべます。後測定時間程度
ではI0は変化ないけど時間単位で上下するので毎回
同じ時間に測定します。
深夜2時と昼間2時では倍位
違う事もある、逆に深夜はテナント機器が停止して
るので電源配給ラインの絶縁状態が確認できますが
そこまではLGRに任せます。

変圧器低圧地絡警報は出てないけどこんなにL4回路が
上昇した事は一度もなく調査をしました。このL4回路
には数店舗のテナントが絡んでいますので営業前早朝
順番にまず分電盤主幹でI0を測定してみる必要があり
ます。電源は極力切らないで漏電調査をするのが今の
時代の方法です。
これはある飲食店の分電盤ですが
主幹でI0を測定したところ38mAもあるのです、ここは
普段は主幹でI0が5mA程度の盤です。その主幹I0値で
はこの店舗回路に異常が間違いなくあります。尚、
この通り上半分はELBで下半分はMCBだけど怪しいのは
MCB回路です。ELBならば15~30mAでトリップしてる
はずですからね。主幹がMCB⇒子回路MCBの回路
が変圧器B種接地電流を増加させるのです。


左列の下から2番目MCBで約44mAのI0が流れていて通常
この位置では正常ならばI0で1mA未満でI0rでならば≒
0mAのはずです。分電盤内の20Aの単独MCBやELBでI0が
1mAを超えて2~3mAもある場合、絶縁抵抗値が0.1MΩ
未満である可能性があります。至急この回路だけ停電
させて絶縁抵抗測定が必要です。テナントへの負担を
減らすため回路を特定させた段階でテナント責任者に
お願いして電源を切らせてもらいます。NETワーク
システムとかあれば主幹なんて切れない。もし主幹
がELBで全停電したならば今更ですから100Vメガで
最初から測定も可能です。でもいきなり全停電は
お互いかなり焦るからそれは一番嫌ですね。

主幹は径が80mm程度のクリップの大きなクランプメータ
ーが必要だけど子回路では逆に狭い空間に入れるのが難
しいです。クリップサイズの大小、2個のクランプメー
ターが必要です。次に絶縁抵抗測定を実施、結果≒0Ω
わずかな対地間抵抗しかないという事です。44mAなる
I0値ではこんな絶縁抵抗値であって当然と言えます。テナ
ント機器内部漏電、メガ測定では電源を切るために異常が
わからない、機器使用時だけ発生する困り物の漏電です。
ですが機器をコンセントから外してもI0が44mAのままと
言うならばコンセント、照明、照明タンブラSWを考えま
す。もっとも厨房では配線を重機で踏みつけたり、店に
よっては、ネズミがかじったりもあるから事務所と違い
漏電がいつ発生しても不思議ではないんです。

機器を1個づつコンセントに接続していきMCBでのI0変化
を確認したところ、奥の冷蔵庫をコンセントに接続した
時に0.05mAが40mA程度となりこれが今回の漏電の原因と
わかりました。_どんなに見かけ綺麗な厨房でも天井
とか壁の隙間にネズミって必ずいます。"(-""-)"

これが今回漏電していた100Vの業務用冷蔵庫です。後は
機器本体か電源コードのどちらかが原因ですが機器本体
故障(コンプレッサー漏電など)ではどうにもなりません。
機器裏から電源が来てるので何をするにも冷蔵庫を1回
前に出して反転させないといけませんがとても重くお皿
とかもあるのでそこまで強引にこちらで確認しなくても
いいです。お皿を割ったり損害を与えたら弁償する事と
なるので相手財産は無理してまで係わらない様にされて
ください。テナント私物に関してまでビル設備員が完全
対応する業務契約をしてるなら別ですがその辺はビルに
より異なります。そうでないならテナントサービスとし
ては測定・軽修理・アドバイス程度が限度です。

電源コードが酷い状態でネズミにかじられたりコードの
一部は表面がヒビ劣化していました、ここまでになると
機器根元から一式取替する必要があります。ですが機器
にあるコードはそれもその機器の一部なのでメーカーの
正規品でないといけません。私に今できる事は絶縁状態
を回復させるためコード表面を清掃したら見えるすべて
の部分を絶縁テープで完全に巻く以外ないです。

電線被覆にあちこち削る様に傷があれがネズミです。
それ以外の原因ならピンポイントで傷が残ります。
そういう配線が厨房機器金属部に触れて漏電する
のです。日本製厨房機器なら内部に15mAのELBが
あると思いますが電源コードではそのELBの一次
側なので厨房機器は漏電停止しません。
最後に冷蔵庫を回路に接続した状態で絶縁抵抗測定を
実施します。結果この回路の絶縁抵抗は≒0Ωから20M
Ω以上に回復しました。これならばたぶん1ヶ月は大
丈夫ですが至急この冷蔵庫を納品した業者に連絡して
コード取替をしてもらう様にテナントにはアドバイス
しました。ネズミがいたりする場所ですからコード取
替後は床に無造作にころがすのではなくて壁に固定す
る様に取付してもらう説明もしました。テーピングし
ても絶縁が回復しないなら使用禁止をお願いします。
なるべく使える状態で本修理を早急にする対応にした
いとは常に思ってはいます。飲食関係の人は口が立つ
人が多いから何もせずに使用禁止とか言うと激怒する
方が多いです。怒られて平然とできるほど私メンタル
強くないです。故障対応で難しいのは実は人なんです。

厨房内コンセント劣化故障では作業できないケースが
あります、重い重機の奥でしかもその機器が完全固定
状態とかですね、そういう場合は分電盤から仮設で1
回線引くしかないです。とにかく応急対応電源確保な
らこうです、後はお店の方で業者を手配してもらい本
修理してもらいます。(テナント契約に従う)


お仕事での対応は必ず写真付で報告書を作成しないと
いけないので可能な範囲でスマホで現場を撮ります。
スマホも私には仕事中は必須。PCへはNET経由で取込
みます。(Yahooのフリーmailを1個持ってると便利)
会社のPCにはUSB類は接続禁止のケースの現場が多い
です。下は上の漏電報告書ではありません。撮影、PC
入力、エクセルに貼り付けは設備員の常識なので
できない方は就職までには完璧にしておきましょう。

毎月1回月例点検で変圧器B種接地電流を測定しますが
各幹線のI0値も測定する事をお勧めします。完全な異常
まで待てば100mAを軽く超えるのでわかりますがそうなる
前に発見したいですね。それと完全な理由はわからない
のですが絶縁不良によるI0上昇では35mA⇒40mA⇒31mAと
変動する事が多い、正常ならI0値はほぼ変動しないです。
普段のI0値との比較、電流の変動が私のI0の確認方法。
温度でも何でも限界値以下だから問題なしではなくて
普段の安定した状態との比較で異常を知るべきです。
対地間静電容量回路を通じて流れる高調波成分による
一瞬のI0上昇で変圧器地絡が発生する事もあります。
それはその時だけで以後は発生しない、特定は無理。
その現象はどこのビルでもあると思います。

幹線I0は単相3線式回路ならあっても10mA程度、動力
で20mA程度が多いです。50mAもある回路は私の管理経験
ではないです、ある方は線路の漏れ電流は線の配給可能
電流の1/2000以下なら問題ないと言ってたけどそんな管
理してたら先に変圧器LGRが動作してしまいます。中央
監視で警報を出すと会社に前述した報告書を提出しない
といけない、なるべく警報を出さない様にしたい個人的
事情もあります。毎朝職場リーダーが上司に報告する時
は前日の警報リストも持参して報告されます。リーダー
は元建築屋さんで1級建築士でもあるので電気が専門
でなくても厳しい指摘をされるので私も手が抜けません。
個人営業ではないのです、電気主任だから黙って皆さん
が受け入れるわけではない、道理のある報告書があって
こそそうなるのです。

事務所ではまず漏電はない、幹線でも漏電はまず発生
しない、飲食関係は主幹にELBを使うと全停電の可能性
があるのでたいてい主幹はMCBで必要回路だけELBです。
変圧器B種接地や幹線I0が上昇する一番の原因は主幹と
子回路が共にMCBの回路が一番怪しいです。30mAのELB
は15mAまで動作しませんがそれを超えると上のI0が上昇
する前に回路がトリップする。もしろん固定意識はいけ
ません、もし絶縁が完全0になったら対地間で短絡して
MCBでも漏電でトリップします、そこまでの絶縁不良は
私も1回しか経験ないです、もし測定して以下の様な
指示になってもMCBがトリップしてないなら100Ωとか
超低い絶縁状態と理解してください。実は対地間で
完全に0Ωとなって短絡するのが一番怖いのです。
電気火災ってそんな時に発生します。ではすべ
てELBにしてくださいとテナントに提案しても費用
の面でまずされないです。特に今の不況ではね!
不良個所を修理して"良かったね"で終わりです。

そうならないため変圧器LGR警報があるのです、わか
らないからとLGR警報を停止させてる現場もあります。
そういう現場は早急に調査修理するべきです。実は
この話、消防訓練で立ち会いに来た消防の方から聞
いた話なので私も意識しています。あの0.1とか0.2
MΩの絶縁最低基準を厳守管理してれば起きえない
のは言うまでもありません。保安規定に従い年に1
回絶縁測定をしても次の1年後まで安全は保障でき
ないだから日常ではI0やI0rで絶縁管理をします。
漏電警報が出れば嫌でも電気主任が対応しないと
いけせん。漏電は電気管理をする人の永遠のテーマ。
日常求められる対応の90%は低圧部分です。ビルで
高圧部分のトラブルはまず発生しないです。

高圧部分で故障したらまずは故障回路を完全に切り離す。
LBSを開放、VCBは引出しておく事、使用可能部分だけ
早急に復電します
、高圧回路トラブルを一人で何とか
しようとか考えてはいけません。過電流、短絡、地絡
で回路がトリップした場合は故障回路を開放してから
リセット後に送電。停電27以外は自動復帰しません。
処置が済んだ後で至急業者と故障原因調査をします。
1ビルの電気主任技術者ができるのはこの程度です。

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