2021年1月22日金曜日

ビル設備監理 冬場の空調管理



コロナ対策でビル内換気は必須のためオーナーより絶対
に空調が停止しない様にと指示が出てる状態です。

絶対とまで言われたのでまずは全空調機のVベルト取替
を職場で分担して実施、ベアリング異音、グリースアップ
状況再確認も同時実施、報告書を昨年末オーナーに提出し
ました、絶対は無理だけど無策はヤバイです。乾燥した
場所にある動力モーターが漏電するのはほぼない、問題
は基盤制御のため取替基盤在庫があるか、取替した後に
いつもマニアルを見ながら入力するのですが機微にでき
る様に熟読はしました。前に対応基盤の在庫がなくてマ
グネットのコイルに24時間タイマー経由で電圧をかけま
した、タンブラSWはタイマーが故障した時に設備の誰で
も強制運転させるための物です。後の方法だと中央監視
で制御できなくなるのでなるべく正規に基盤取替で対応
したいのです。スターデルタの応急起動方法は今回は省
略します。業者に連絡していては間に合わない用途の
機械っていくつかあります。
それは電気主任が対応工事
するしかありません。

どうして24Hタイマーを入れたかというと基盤発注して納品
まで10日程度かかるかも?その間は人間がタンブラSWを操作
が必要、(基盤制御は基盤故障すると手動運転もできない)
手動モードも基盤内の接点経由で動作しています。とにかく
そうだと先輩で"自動にしてよ"という方がいるのわかって
るからです。お願いするの私嫌なんです。でもそんな顔は
隠して"自動にして負担かかかりません"とスマイルで報告
ですれば円満に物事は進みます。
又長くこの仕事してると現
場単独で動いてる何かをタイマー起動させられないかという
課題が発生します、そういう時はこうしてみてください。

私が勤務するビルには電気で稼働するエアコン、ガスで可動する
GHPエアコン、そして館内の冷暖房の主たる冷温水発生機が4台
あります。冷温水発生機は冷水と温水の両方を作りだせる機械で
これ1台で冷凍機とボイラーが不要となります。能力の大きさが
わかり易い様に冷凍トンで記載してますが暖房能力を示すのは本
来Kcal/hです。この時期では中心設備となる暖房設備の運用につ
いて記事にしました。熱源設備はビルでも工場でもあるため電気
主任は誰より完璧にシステムを理解しておかないといけません。
冬の時期は冷房時能力500冷凍トンのNO1冷温水発生機1台のみで
温水を作り空調器の暖房運転をしています。夏は機械が発生する
水の温度は8℃~10℃だけど冬は55℃程度になっています。

NO4冷温水発生機はコージェネの廃熱を利用する仕組みもあり
ますが事情で最近は使用しません。又これだけの暖房能力なら
本来1台で1級ボイラー技士の資格が必要になりますが水を直
加熱してないのでこの機械の運転には資格は必要ないとは聞い
ています。夏も違う理由で冷房能力が500冷凍トンあっても資格
はいらない、この機械のあるビル、工場ではボイラー技士や冷
凍機の資格は必要ありません。2個の機械を1個にでき資格者
不要、高圧モーター不要で契約電力も下げられるなど付加価値
が高いと思います。

CHP5-1~CHP5-3は館内空調機やFCUに温水を送水する二次ポン
プで圧力が2.8Kg/㎠となる様に台数制御とバイパス制御を自動
で行っています。この圧力が設定圧力にある事が一番大切です。
現地の盤にいくと各コントローラーが並んでいてそれぞれに意
味があり現場の設備管理する者は勉強して各意味を理解してお
かないといけません。この中でも大切なのは右のコントローラ
ーの現在値がほぼ設定値かという事です。

左が1台のみが可変速インバーターポンプでこの3台のポンプ
を設定と現在値のずれ(偏差)に応じて台数制御をします。
なぜ1台が可変則かは空調機冷温水バルブ開度変化による圧力
変動に対応するためでバイパス弁方式の場合もあります。巡回
時は各ポンプ圧力やグランドからの漏れ程度、グランド部分の
過熱を確認します。(メカニカルシールのポンプなら必要なし)
圧力や電流を記録する場合に0という表示の場合システム稼動
状態でなら0でいいけど、停止してるならーと横線で書きます。
停止して0か稼動状態で0なのか...使い分けます。

低負荷で1台運転でも圧力を保てない場合はバイパスバルブが
一番下にありこれで圧力をエスケープさせます。こういう2台
運転ではバイパスバルブは全閉でないといけません。冷温水の
メインヘッダー圧力が異なると空調機の暖房に影響するので私
は最初にここを確認する様にしています。

巡回時に目視で開度確認は必ずする様にはなっています。
これは全閉状態ですね。どういう時に全閉か逆に開放が
開始されるかは現場の負荷のかかり方によるので一概
には言えません。その辺は普段の管理経験で覚えます。
あれ?いつもと変と感じた時は必ず故障か理由がある
のか調べないといけません。とりあえず警報もないの
で様子見という対応はやめましょう。

ヘッダーの圧力をPEWで検出しPICで圧力制御します。Pは圧力
Iは指示、Cは制御という意味です。PICの出力をレシオバイパ
ス設定(R/B)で分割させて各ポンプ制御とバイパス制御をして
います。TEWは温度検出でこれは監視室のPCに値を送っていま
す。こういう勉強は必ず現地で物とリンクさせながらで机の
上で勉強しただけではイザで使い物になりません。職場全員
がここまで読める現場は希少、教えてもらえるのは先輩は通
常いないから着任したら自分で研究してください。

これは上のPICメインコトローラーでここでも現在値が確認
でき2.8Kg/㎠なので良好です。

電気主任技術者になった方はこういう図面で勉強して機械
の動作を研究しておかないといけません。回路が動作する
流れを記載してみましょう。

これがNO1冷温水発生機ですが本体はケース内にあるため
全体姿は外からでは見る事はできません。

これが内部の燃焼装置とそれの機械制御盤です。H-HP00とは
暖房運転(H)、高燃焼状態(H)、一次ポンプ運転中(P)という
意味でこの表示状態ならシステムは正常と言えます。故障が
発生すると変わりにエラーコードが表示されるのでそれを
見て次のアクションを決定します。燃焼に関する重故障で
は強制停止後リセットで再起動できないでもないけど偶然
に重故障は発生しない、メンテ業者にエラーコードを伝え
て点検・修理してもらいます、ただフルメンテナンス契約
してないと有料なのでその場合はオーナーに連絡して許可
をもらった後に業者に連絡をします。これはビル設備すべ
てに言える事で業者は来てもらうだけでもフルメンテ契約
してないと数万円かかるのです。ちなみに一流会社の技術
員を丸1日貴方の部下みたいに命令作業させたら7万円は
請求されます。

空調機には全熱交換機(AEX)というのが付属しています。
冷房の場合で説明すると排気(EA)の温度が25℃とすれば
外気(OA)33℃より冷たいためそのまま捨てるよりそれで
OAを冷却すれば33℃の外気が30℃には下げれます。たっ
た3℃と言っても通過空気量は相当なので熱源設備にと
って負担が減り省エネができるのです。暖房ならEAで
OAを過熱して省エネ効果を実現します。ただ猛暑や氷
点下に気温がなる時期では部屋のCO2濃度が1000ppm
を超えないなら外気ダンパーを全閉するかOAファン
を停止させてる現場もあります。そういう場合では
ECV運転は省エネにはなりません。ただ現在コロナ
対策のため真冬でもOAは全開されてるはずです。
だから今年の暖房費は例年よりかかります。


これはFCU(ファンコイルユニット)といい冷温水発生機から
の冷温水を入れて冷暖房をするシステムで店舗や事務所で
はFUCと電気のエアコンの併用で冷暖房をしています。エア
コンはテナントが自分のお金で設置した物で運転すると自
分達が払う電気代がかかるため皆さん極力FCUを使ってい
ます。夏は結露水を受けるドレンが詰まり天井から水漏れ
を全体の5%がするので私としては廃止してほしいです。
冬は結露が出ないのでほとんどトラブルはありませんけどね。

図面でわかる様に1個のコントロラーで複数台のFCUを制御
しています。たとえばAというFCUが動かないとテナントか
ら連絡があり業者を呼ぶならその前に端子台のとこで電圧
がきてるか確認します。電圧が来てないのにFCUの業者を呼
んでは恥をかきますから電気担当がいる以上は最低限何が
どうなってるかは調査して的確な業者を呼ぶ様にしてくだ
さい。機械本体の修理は私もしませんがコントローラー交
換や配線の断線程度ならできます。だから電気屋には図面
というのは何より大切なんです。

これはGHPの室外機で電気のエアコン室外機のモーター部分
をガスエンジンで動かす仕組みの物で飲食店舗では調理で
ガスを使うのでそういう店舗がよく導入しています。これは
ビル側が管理費をもらい契約していて、最初は何かあれば
業者に依頼していた様ですがエンジンオイル、ベルト交換
冷却水プラグ交換、つまり車好きなら自分でするメンテく
らいは設備ならできるだろうという話になり私が来た時は
そこまでは設備でして駄目なら業者連絡されていました。
もしろん私も一人でそれらの作業はできます。

やはり電気のエアコンが一番管理は楽です。エラーコードを
業者に連絡するだけというよりそれ以上は触れないし触れて
も修理部品がありませんから話は冷温水発生機に戻りますが
そこで作られた55℃の温水は各空調機に送水されます。
上が空調機入側の水の温度で下が出側の水の同じ値。熱交換
するから55℃の水が28℃に下がるのです。新築に近いビルの
設備機器圧力計はMpa(メガパスカル)でしょうが一般的に
Kg/㎠単位とMpaが混在しています。Mpa単位を10倍値で読ん
だらKg/㎠単位と思ってください。(厳密には微量異なるけ
ど現場での実用上問題ない)機械の記録を取る時にCHECK
シートはすべてMpaだけど現場はKg/㎠の圧力計がある場合
など迷わない様に!

メインコトローラー2.8Kg/㎠制御なのになぜここでは0.6Mpa
つまり6Kg/㎠あるのでしょうか?こういう疑問を持つのが設
備理解の一歩考えてみてください。後余談だけど★ビル現場
に就職する場合は夏より冬★夏は冬より倍以上にいろんな
ラブルが多く、冬は寒いけどゆっくり物事を学べ気持ちが
少しは楽だと思うよ。トラブルが続いてると先輩もなかなか
教えてる暇もなくお互い気持の余裕がないと人間関係も円滑
にいけませんから!
これはある階の空調機の温度コントローラーです。上段右ので
操作してみましょう。設定が18℃で現在値が18.1℃なので操作
出力は出てない。どうして冬なのに設定18℃かはホールで暑く
なるから暖房したくないためで一旦上げると冷やす物がないの
でこうします。

コントローラーからのOPEN信号で開く電動弁開度は上の理由
から全閉となっています。

現在温度18℃で設定を18.7℃に変更すると0.7℃温度を上げない
といけないため操作出力が20%出て電動弁が適当な開度開きます。
操作出力がすでに100%ならば設定を更に上げても意味はありませ
ん。(緑のゲージ表示がFULL点灯の状態)夏は冬と温度に対する
バルブの動きが逆になるけどそれを夏冬切替といいますが監視室
PCで遠隔操作で行います。設定温度の変更が監視室PCからできな
いのが不便とは言えるけどそれは今更で、とにかく設定変更はこ
の現場は現地です。

部屋温度が22℃で設定が25℃ならばその差3℃に応じた操作出力
が出ます。もしそれでも温度が上昇しないで21℃に低下したら
差が4℃となるので自動的に操作出力は上がるのです。つまり
設定温度というのは一度希望温度にすれば原則後から変更する
必要はありません。自動制御が自動的に操作出力を上げて温水
バルブの開度を上げてくれます、だから自動制御なんです。
意外とそれを理解してなく設定を頻繁にいじりたがる人が一人
は職場にいますが先輩ですからあえて私は何も言いません。
暖房時開度出力100%なのに設定を上げて様子見なんて対応を
する設備の先輩って実はいるんです。貴方はそうならないで

比例動作(P)とは
前述した設定と現在値の差により操作出力が増える制御つまり
y=kxの関係です、xが入力、yが出力設定25℃で比例帯が2℃と
いう意味はバルブが24℃~26℃の範囲で全開~全閉するという
意味(暖房時)これを狭くするとバルブの動きは早くなるけど開
閉が頻繁となり故障率が高くなります。電気主任はせめて比例
帯の意味程度は理解しておきましょう。この言葉はいろんな現
場制御で今も出てくる言葉です。

下の2個は積分と微分だからどちらも時間が関係しますがこれ
を触る事はまずないですからとりあえずこの程度概略を理解し
ておけばいいと思います。
積分動作(I)とは
設定と現在値のズレのある時間に応じて操作出力が増える制御
微分動作(D)とは
設定と現在値のズレの変化速度に応じて操作出力が増える制御
IとD動作をあまり強くすると安定性が悪くなるし部屋の温度は
それほど急変化する性質はないのでいじる必要はまずないです。
通常は設定温度のみしか操作しません。

上手な熱源運転というのは熱源能力=要求負荷の状態で熱源の
能力が強過ぎると冷温水発生機がON-OFF状態となります。なる
べく機械を途中で停止させないのが一番効率的ですが それに
は冷温水発生機の設定温度を極端にしない事が大切です。
後はその熱源を起動させるタイミングですね。夏場省エネと
我慢して33℃になってエアコンを入れるとその時が一番電気
を消費します。27℃の室温にしたいなら26℃か27℃で運転開始
すべきで設定と現在温度の差が大きくならないタイミングで
運転します。
冷温水発生機では電気ではなくガスを消費します
が考え方は同じと思ってください。家庭で節電のため我慢して
我慢してエアコンを運転するのはまったく省エネにならない
節電するなら絶対にエアコンは運転しないでください。と
時々テナントに質問されたら私は返答しています。費用を
かけない節電は電気を使わないしかないです。

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