スラムの片隅から世界を、、【YUMEKAKE/JOHN's diary】

国際協力活動のなかでのマジメな話からゆる~い話まで/海外から日本から

「ロックダウンからの脱出(Ⅳ)」 ~フィリピン・セブ島ー差別、監視、軟禁、、3・21、あの日、新型コロナウィルスにより突如封鎖された島を、ボクらは脱出した、、 (#アジア系差別とヘイトクライム #ウィルスの次にやってくるもの #本当に怖いのは人の心)

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ロックダウン、、、それは都市封鎖と訳されるが、この時、フィリピンは、新型コロナウィルス感染抑止のために、世界の中でも先駆けて、国そのものをロックダウンした。

それゆえに、フライトのキャンセルが生じ、航空券が無効になった。

後にいくらかの(支払金額からみたらほんとに少額の)払い戻し手続きができたのだが、この時点では、ただフライトがキャンセルされただけで、代替え便があるとかいうわけでもなく、事実上、ただただ「このままじゃ帰国できませんよ」と一方的な宣告を受けただけだ。

とにもかくにも状況を把握しよう、

と、翌日、空港のフィリピン航空のオフィスに直接出向いた。

ボランティアのメンバーは、NGOのサポートチャイルドに世話を頼んで、大型ショッピングモールへ行き(この頃はまだオープンしていた)、一緒に過ごしてもらった。

現地スタッフのひとりと昼前に空港に行ったのだが、そこには既にたくさんの、路頭に迷った外国人が詰めかけていた。

そりゃそうだ。みんな、昨日いきなり、フライトキャンセルされて、どうにかしようとここへやってきたのだ。

ただ、こういう時にやはり日本人はどう立ち回ったらいいか不得手なのか、日本人はほとんどいなかった。

ついさっきまでビーチで遊んでて、飛行機に乗りにきたんだけど、飛んでないよ?なんていうお気楽な感じの日本人観光客はいたけど(^^;)

だが、ここ、セブには、観光客もそうだが、とても多くの日本からの短期語学留学に来た学生とかがいる。それは、「突然のロックダウンにより取り残された大量の日本人」として、後々大きな話題にもなる。

自分らはまだ、帰国予定日が先だったので、この時点では、「今後の見通しの確認」という感じだったのだが、今日明日のフライトだった人たちは、殺気立っている。

オフィスに詰めかけた人たちで、そこはちょっとしたパニックになっていた。

なにはともあれ整理券をもらい、だがオフィス内にも入れず、外でぼーと順番を待つ。

午前中に来たのに、結局、待ってるだけで夜になってしまう。

やっと、やっと順番が回ってきて、航空会社のスタッフに状況を聞く。

その返答は、

「明日はとりあえず臨時便が飛ぶ予定。でも、その先はまだわからない。」

だった。

いちおうまだ一週間程、滞在日程が残っていることもあり、いきなり明日のフライトの話を進めるわけにはいかなかった。他のメンバーにも相談しなければと思ったし。

しかし、それ以上のオファーはなかった。

うーんうーん、、と困っていると、フィリピン航空スタッフが、それなら仕方ないわねえ、、という感じで、ある提案をしてきた。

「まだ未定だけど、今週末(土曜日)に臨時便が飛ぶかもしれないので、今、その搭乗予約名簿を作ってるから、いちおうここに名前を書いておく?」

というものだ。

なんか、フィリピンとはそういう国だとは充分わかってはいるけど、、、後先考えずに突然ロックダウンして、何の補償も代替え案もなくフライトをキャンセルして、窓口で粘ったら、これまた曖昧な提案をしてきて、、、なにもかもが無計画で無責任で行き当たりばったりな感じがするが、とりあえずどうしようもない。

土曜日なら、まだ日にちがあるし、とりあえず名簿を作るだけだから、ということで、その予約名簿に名前を書いた。
(とはいえ、結局それも無効になったと後で知ったんだけど、、、それもまたフィリピン(-_-;))

そんなこんなで、一日空港にいて、ほとんど身の無い時間を過ごし、疲れ果て、夜間外出制限の9時に引っかかるギリギリの時間に、なんとか空港を出た。

で、宿に帰ってから、ボランティアのみんなに事情を話して、

「少し日程が早まったけど、今、こんな状況なので、土曜日に帰国しよう」と、いうことになった。

この時はまだ、この甘すぎる考えに気付いていなかった。

だが、、、

その夜もまた、ほとんど寝る時間もなく、できる限りの情報を集め、諸機関や現地の知人とも相談し、あれやこれやと動いていた。

そんな中で、なんとかみんなには、自分らが「差別されて監禁されてる」っていうことを、気にしないでもらえるよう、あまり切羽詰まった感は出さないでいたんだけど、実際はけっこう裏で対策をしていた。

しょうじき、現地スタッフはもうコロナが怖いのと、あと、フィリピン人は上からの命令に弱く、ぜんぜん動くことができなかったので、自分ひとりで手を尽くし、フィリピン人の友だちや、フィリピン在住の日本人や、大使館とかと連絡を取りながら、打開策を試行錯誤していた。

政府からのアナウンスは日々、ころころ変わるのだが、確実に悪い方向に行っている。

既に、フィリピン国内の都市間移動も禁止。

また、外国からの入国もすべて禁止になった。(外国人の出国については、まだ禁止にはなっていなかった。飛行機が次々とキャンセルになっていたので、事実上、どうにもならない状態には違いないが。)

世界の感染拡大状況もどんどん悪くなる。COVID-19はもうしばらく止まらないだろう。

日本だっていつ入国制限に踏み切るかわからない。

フィリピン政府や日本大使館からの情報も錯そうし、何が何だかわからない。

このままここにいても、もちろん軟禁状態は続く。

ボランティアのみんなの、大きくなる不安な気持ちが、痛いほど伝わってくる。

しょうじき、自分はどうだっていい。

このまましばらく日本に帰れなくなっても構わない。

でも、

このボランティアの学生たちは、なんとか無事に日本に帰さなきゃ、、、連れて行かなきゃ、、、

それに、よく考えてみたら、昨日の名簿のやつだって、どれくらい当てにしていいのかわからない。

それがフィリピンじゃん?今までそうやって何度も痛い目にあってきたじゃん?

日に日に悪くなっていく状況。世界も、この国も。

もうしばらくは良くはならないだろう。

錯そうするたくさんの不確かな情報。

何を信じていいかはわからない。

でも、ここは、もう、自分の経験からくる感覚を信じよう

そして、結局、

自分が下した判断は、

「フィリピンのこの状況はすぐに改善しないし、また、日本が入国制限に踏み切る前に、少しでも早く帰国しよう。」

だった。

うん、

「もう様子を見てる場合じゃないよな」

と。

「少しでも早く手を打って、できるだけ早くこの国を出よう」

そう判断した。

そして、翌日、

ボランティアのみんなにそれを告げた。

みんなも納得してくれた。

、、、

この日から毎日、自分は、空港に通うことになる。

なんとかして12名(プラス自分)全員分のチケットを手配するために。

今度は、航空会社のオフィスではなく、直接チケットカウンターで、並び、交渉することになる。

企業や語学学校等は、法人単位でチケットを抑えてるようだ。
また、セブ日本人会も動いている。

しかし、この危機的状況の中、自分らのように、個人の力でチケットを手配するのは容易ではない。

同じように、路頭に迷った外国人が、小さなたったひとつの窓口のチケットカウンターに、連日、たくさん集まり、途方に暮れていた。

それでも、やり続けるしかない。

粘り続けて、なんとかして突破口を開こう。

そして、

まずは、、、

滞在場所を変えよう。

空港の近くに移動して、状況次第で、みんながすぐに動けるようにしよう。

幸い、現地スタッフの息子が働いているオフィスの関係者が、空港近くにゲストハウスをやっており、そこへ泊めてもらうことになった。

これもまた突然だけど、明日、移動するので、今日はその準備と、

そして、仲良くなった子どもたちやスタッフとの最後の一日を大切に過ごしてほしい、

そう、皆に伝え、

自分もまた、ここを離れる準備を始めた。

差別と監視と軟禁に苦しめられた日々を清算し、それはネガティブなものかもしれないが、それでもまた明日の希望をなんとか積み上げるために、

新たな次の一歩を踏み出そうと、

決めた。


《「ロックダウンからの脱出(Ⅳ)了。続く。》

🌈ロックダウンからの脱出 PartⅠ~Ⅵ &「その後」
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JOHNです。よろしくお願いします。
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自分は、国際協力NGO「HOPE~ハロハロオアシス」の代表を務めています。(詳しくは下記「自己紹介・NGO連絡先」リンクをご参照お願い致します。)
あ。「YUMEKAKE」というのは、NGOの活動のプロジェクト名(YUMEKAKE PROJECT)です。世界の子どもたちの、笑顔と希望と夢の架け橋になりたい、という意味です。

このブログでは、国際協力活動を通しての視点で、海外また国内の、様々な問題や出来事、スラムや難民キャンプの人々の生活、NGOの活動の様子等を、時に真面目に、深く、時にゆるく、書いていきたいと思います。 そして少しでも、皆さまに、世界の様々な現実を知ってもらえるきっかけを届けたいと思っています。

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