マニアック

ごほうびマッサージ

最近、疲れが寝ても取れない。

肩こり、腰痛、眼精疲労……。

私、檜山澄香ひやますずかは、働きアリも真っ青な業務量を日々こなすアラサーのOL。

潤いのない毎日に、そろそろ腰も心もバキッといきそうだな、と思っていた。

「身体のメンテナンスは大切だよぉ」

と先輩の先輩が進めてくれたこともあり、今日という今日は覚悟を決めた。

「……よし!」

拳を握った私の手には

『初回限定二〇%オフ!非日常的な空間で最高のひと時を』

と書かれたクーポン。

私は人生初のエステを受けるために、意気揚々と階段を登った。

 

「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」

美人な受付嬢に出迎えられ、がちがちに緊張していた私は出されたカモミールティーを口にしながら問診票を埋めていく。

(……ん?モニターキャンペーン?)

クーポンを持っているとはいえ、ここは高級エステ店。

少しでも安くなるに越したことはない。

「あの、すみません、このモニターのことなんですけど……」

受付のお姉さんに声をかけると、彼女はにっこりとほほ笑む。

「ご興味がありますか?」

「はい。でも、私エステって完全に初めてなので、モニターに手を挙げてもよいものかどうか……」

「それはご心配なさらずとも大丈夫です。どんなお客様にも満足いただくためのモニターですから。このキャンペーンでは、ベテランのエステティシャンと新人を二名付けます。ご満足頂けないところをお話しいただけますと、それが成長の元にもなりますので大変参考になります」

ただ、と彼女は少し言いよどむ。

「本日ご案内できますのは二名とも男性となります」

「あ、それは問題ないです」

むしろ好都合だ。

私の岩のような肩こりは整体の先生がうなるくらいのそれであるため、おしゃれなエステできれいなお姉さんには強敵だろうと申し訳なく思っていた所。

男の人ならオーダーすれば遠慮なくごりごりしてくれるかも、と期待が募る。

「モニター、受けたいです」

私は問診票に〇をつけて提出した。

受付嬢は相変わらずきれいににっこりとほほ笑んだ。

 

「はじめまして。本日担当させていただきます、原田と申します。よろしくお願いします」

施術用のガウンに着替えたところで、個室に入ってきた担当者はなかなかのイケメンだった。

渡された名刺には整体師の他、様々な資格が書かれている。

背が高くて肩幅がしっかりしているせいか、エステティシャンというより整形外科医っぽい。

高い鼻梁びりょうと形の良い唇……目が合うと、にっこりとイケメンスマイル。こちらが赤面してしまった。

このエステ、顔面偏差値が高い。

「以前腰を痛めたことがあるとのことなので、今日はコリをほぐすことをメインにしていきましょうか。オイルトリートメントの後、むくみを取るためのリンパドレナージュ。老廃物の流れを良くした後に、肌をきれいにするためのスペシャルクリームでマッサージ、という流れがおすすめです」

「あ、じゃあそれでお願いします。肩、すごく凝っているので、できれば強めでお願いしたいのですが……」

「承知しました。オイルをいくつかお持ちしますので、好きな香りをお選びください。……それと、初回限定でマッサージの追加延長も可能です。一通りの施術がすみましたら再度問診いたしますので、なんなりとお申し付けください」

ここまでのやり取りで私の心はめちゃくちゃ踊っていた。

スタッフの雰囲気も店内の優雅さも最高で、もう一生ここにいたい。

さすが高級エステ。

そんなアホなことを考えていたら入室のベルが鳴った。

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