【メイキング映像も上映】
一昨日、映画「天外者」のロングランを記念して、通常上映が終了した全国のTOHOシネマズ等で1日だけ(複数日上映する館もあり)の特別上映が行われた。ロングラン要因が、この映画が、主演の三浦春馬氏の遺作になった、ということは言うまでもない。
それだけに、幕末から明治を駆け抜けた偉人を取り上げた映画であるにも拘わらず、客の大半は若い女性で、9割以上、客席は埋まった。コロナ禍では異例の動員。
その偉人とは、龍馬や海舟とも親交があった薩摩藩の志士、五代才助(友厚)で、明治の大阪の財界人でもある。簡単に言えば、龍馬と渋沢栄一の性質・性格を併せ持った人物か。顔は三浦春馬氏とは違い、のっぺりしているが、輪郭が四角い所は同じ。
この映画は間違いなく、春馬氏の代表作の一つになった。映画を見ても春馬氏の情熱が感じられる。ただ、残念なのは、幕末期のシーンが多かったため、才助の明治時代の功績や労苦があまり詳しく描かれていない点。これでは感動しようにも感動できない。
薩英戦争の様子ももう少し見たかったが、この映画は商業的なものではなく、市民団体が映画化を求めて実現したものだから、予算が限られていたのだろう。
他のキャストでは、三浦翔平氏の龍馬役もしっくりきていい感じだった。彼主演の龍馬の映画やドラマを見たい位。
失敗のキャストは岩崎弥太郎役の西川貴教氏。眉も細いし、映画の中では醤油顔のように見えるし、泥臭い岩崎役には合わない気がした。ただ、個人的にはTMレボリューションとしては好きで、CDも何枚か持っているし、かつてはカラオケでもよく歌っていた。
映画の中で才助の通夜のシーン等では、客席からすすり泣く声も聞かれたように思う。春馬氏の葬儀と重ね合わせたのだろう。
才助は映画の中で「誰もが夢を見られるような国にしたい」旨、語っていたと思うが、主演の春馬氏が自ら「夢」を断ってしまったことは、残念としか言いようがない。
本編の上映が終了するとメイキング映像が流されたが、客の女性たちはこのことを知っていたのか、エンドロールが流れている最中も、席を立つ者は一人もいなかった。
メイキング映像の中で、春馬氏に哀悼の意を捧げる旨のテロップが出ると、客の一人の女性が拍手を始め、他の観客もそれに続いた。「春馬君、私たちに『夢』をありがとう。」とでも言うように。
春馬氏は私たちの心の中で永遠に生き続け、これからも『夢』を見させてくれることだろう。
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