『哀奴まどか』

                             イネの十四郎:作
第5章 妬 心 (5)


 それは、どれ程私が身体を捩り脂汗を流しても、全身を痙攣させてさえも許されず
に続く激痛だったのです。

 私は、目の前が真っ白になったかと思うと、次に漆黒の闇になり、その闇の中に赤
や黄の星が輝くと、再びまた白くなるのです。
その激痛は、私の全身を責め苛み、私は瘧のように痙攣し続けたのです。
そして再び、何もない闇が私を包んで・・・


 遠くから、ご主人様の囁きが聞こえています。
最初は何を言われているのか判らなかった囁きが、段々ハッキリしてきたのです。

 綺麗に・・なったわよ・・
まどか・・のあそこのところ・・・
歯ブラシで・・よーく磨いて・・あげたから・・・
でも・・血だらけに・・なっちゃった・・・

 だから・・洗って・・あげる・・・
塩水よ・・・きもちイイ?・・・

 まだぼんやりとしている私が、ご主人様の言われている意味が理解できる前に、次
のお仕置きが始められたのです。

 イイイィィッッッ!!!・・ィイアアアィィィッッッ!!!・・・

 私の頭に、また新たな激痛が突き刺さったのです。
ご主人様は、私の血まみれになるほど傷つけられたク○○○スを、コップの塩水に浸
した歯ブラシで、また擦り始めたのだそうです。

 ただでさえ敏感な器官の、傷つけられた薄い表皮に、固いブラシの穂先が触れるの
です。
それだけでも、とても耐えることのできない激痛です。
その穂先が、塩水に濡れているのです。

 傷口に、私のク○○○スに塩水が滲み入った瞬間、私は口に詰められたハンカチの
奥から、声にならない絶叫を上げ・・・そして三度目の、闇の中へ突き落とされたの
です。


 気が付いた時、もうすっかり明るくなっていました。
窓からは、夏の日差しが差し込んでいます。
爽やかな風が、通り抜けて行きました。

 私はパジャマを着せられて、ベットに寝ていたのです。
目を向けると、机の椅子に妹が腰を掛けていました。
泣いていたような、赤い目をしていたのです。

 お父さんもお母さんも、もう出かけたわ・・
お姉チャン、どうしたかって聞かれたから「お寝坊でしょ」って答えたけど・・
今日から夏休みだし・・お父さんは「珍しいな」って言ってたわ・・

 お姉チャン、私・・・やっぱりダメなの・・・
だから・・この頃、遊ばないように・・してたんだけど・・・

 夕べ、お姉チャンのこと、取られるかと思うと・・
急にたまらなくなって・・・どうしても止められなかった・・・

 好きよ・・好きなの・・・でもこんなの、やっぱり変だよ・・・
昨日も、最後にお姉チャンのオモチャ・・入れて上げようと思ったの・・・
だ、だけど、できなかった・・・私じゃ、できないの・・・

 だから、お、お姉チャン・・・誰か・・誰か好きな人、探してっ・・・

 そこまでヤッとのように言った妹は、目頭を押さえるようにして、走るように部屋
を出ていってしまったのです。
後に、微かな涙の香りをのこしたまま・・・


 私は・・私は無理に、妹を変えてしまったのでしょうか。
・・・今、冷静に考えてみると、これは私の我が儘、私の自分勝手な欲望、人往かぬ
道でしかないのです。
妹も、自分の道を、自身の希望を求める権利があるのです。

 でも、でも私は寂しい思いをしていたのです。
これで終わってしまうのかと思うと、とても耐えられない気がしたのです。


 これは夢だったのでしょうか・・でも、もう一度会いたい・・ご主人様に・・・


               

  この作品は、”ひとみの内緒話”管理人様から投稿していただきました。