忘却依存

 

記憶喪失の街角を人が行き交い

すぐに人が見ず知らずに化ける

一体何万人と出会う心意気だ?

キャパオーバーには早過ぎる中

どうして存在を憶えていない?

知らずに済まそうと避け回って

狙い通り今を上手くやり過ごす

知ったら忘れようと逃げ回って

意味の無い経験を増やし続ける

今だけ見詰めて先を見据えない

事ある毎に想い出を大切にせず

邪魔な記憶に自分が掏り替える

何でも活かそうと捉えられない

ゆらゆら漂い流されてるだけで

空の頭で暗記力皆無の忘却依存

無意識に必死な事に気付けない

続き得ない平穏を守りたがって

面倒ばかり恐れて深入りせずに

視線を逸らして繕い上手な笑み

当たり障りのない言葉に頼って

いつも楽ばかり望んで誰か任せ

幻に願うだけで街を這い回って

一でも多く休みたいと滲み出る

本当の損得も分かっていない中

薄情よりも単純に愚かしい人波

マニュアルのような生きる道で

見え透いた未来を体感する寸前

横合いから普段を根刮ぎ崩され

彼方に掻っ攫って因果は報いる

自分と向き合う機会を授かる中

抜け落ちた欠片に希望はあって

スカスカの記憶は役に立たない

諸悪の根源は胸の中に潜んでる

裏で動いてる自我に勘付けない