死神と桜並木

真夜中の桜並木が並ぶ街の中
大きな刃を持った死神が
闇に紛れ静かに移動する
いつもの明日が呼んでる中
遠くなった校舎に誘われる
失ってから気付く当たり前の価値の中
教室で見てた本当の景色は不自由な楽
季節は巡り幾度となく迎えた桜の下で
死神は黙して人々を見詰めている
誰も教えてくれないのではなく
誰にも教えられない事がある
経験して実感しないと解らない者に
理解の壁を知っているから口を噤む
先に解る者達と既に道を通った者達
誰しもが理屈だけで理解は出来ない中
今は言っても意味を持たない事がある
人間の賢さは強さと同じように
誰もが差が有って当たり前の物
賢さと愚かさは強さと弱さのように
向き不向きで枝分かれして
一歩踏み外せば悪に転がる
どんな事をしている日々でも
必ず全てに結末は告げられる中
経験してからでは遅い事がある
後悔する前に解らせられなかった事が
悔しくてたまらなかった少年の面影が
想いが揺れる街角に重なって見える中
成り立つ物と成り立ち得ない物がある
遠い昔の御伽話が響き渡ってる中
三日前に絶望したんだと響く声と
何年前のだろうねと反す時の欠片
静寂とした真夜中に死神は呟く
卒業は今までの良さを物語る
そして影に潜んで人々を見届け続ける