錆び付いた刀

一人だけ放られて周りとの差に
淋しい風が吹く荒れ果てた地で
微塵も役に立てない情けなさに
己の非力さが身に沁みて来る中
落武者となれど武士は相身互い
世に唯一つの正しき道などない
吹き止まない傍の風に流されず
己の歩みで踏み出す一歩でこそ
溢れんばかりの耀く価値を成す
だから尊重されない事に苛立ち
叫べる者が選ばずして何とする
怯弱で憤りを蒼く堪えさせられ
なんでも笑って流せると想うて
理不尽な仕打ちに心は煮え滾る
一変する日々に虚無感が襲う中
為す術もなく逃げ続けていても
遁れられない事ぐらい知ってる
向き合わないといけない現実に
向き合う事を止めはしないから
少しぐらいは逃げさせて欲しい
本当は気付いて欲しい想いの中
自分で演じて自分に返って来て
傷付く度に醜く成り下がっても
襲い来る闇に緋く染まる日々に
生きてるのは乃ち諦めてない証
自分の想いに依って先は変わり
一片の希望まで滅んではいない
生まれる前に亡き絆を胸に抱え
弱い想いの赤く錆び付いた刀で
切り拓いて美しい光景を目指せ
刻まれし傷の数だけ錆も削れて
眠りし刃が一閃の切れ味を魅せ
幸せを掴みたい夢物語を叶えし
生きてみたいと想える日に届く