手放すことに……

 20年近く使ってきたスピーカー・KAPPA80。


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 けっこう悩み、再三にわたって私の右脳と左脳との間で検討を重ねた結果、を手放すことにした。


 前に報告したように、しばらくサランネットを外すことがなく状態の変化に気づかなかったが、いつの間にやらウーファーのエッジが小指で触れただけでも穴が開くくらいぼろぼろになっていた。


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 ブログを通じて交流のある『七味唐辛子』さん。
 そのブログを読むとオーディオにひじょうに詳しいことがわかるのだが、七味さんは「良いスピーカーだから修理して使い続けてはどうか」とアドバイスしてくれた。


 私もこのスピーカーはすばらしいと思っている。

 しかし修理(エッジの交換)するとなると、その費用は10万ぐらいかかるという。


 ちょいと高すぎるし、いずれまた自宅に持ち帰ったとしても以前以上に置き場所を確保するのが難しいという現実もある。そう考えると、音楽を聴く姿勢としては後退することになるが、もう大きなスピーカーはやめて小さいものにしようと決心した。

 大型スピーカーにはもちろんかなわないが、それでもむかしに比べると最近の小型ブックシェルフスピーカーの音もかなり良くなっている。それも判断材料の1つとなった。


 KAPPA80は、高音から低音まで実によく鳴ってくれるが-特に低音の力は魅力的だった-、私の音楽鑑賞環境では、まだまだ本来の力を発揮できないまま鳴っているように感じた。

 それはこのスピーカーが広~い部屋で鳴らすことを前提に設計されているからだろう。


 自宅、そして4カ所の転勤先と、これまで5か所の部屋で鳴らしてきたが、いちばんよく鳴ったのは今から15年前、最初に大阪に赴任したときに住んだマンションの部屋でだったかもしれない。部屋に物があまりなくて、メーカーが指定する距離までは無理だったにしても、それなりにスピーカーの背面を壁から離すことができたから。

 低音が、決して鈍くはないのだが、ちょっとどんよりとした鳴り方をしたのも、壁に近すぎたせいだろう。


 なにより、聴く位置ももっとスピーカーから離れていなければならなかったはずだ。


 いずれにしろ、KAPPAのサウンドは贅沢な時間をもたらしてくれたのだが、でもそれは毎回サーロインステーキを味わっているようなもの。まことに勝手ながら、そろそろあっさりした和食も食べたい。
 もう、かつてほど大きな音で聴くこともないし、しかも、こっちの耳だって劣化しているはずだ。

 ということで、高さ109cm、幅32cm、奥行35cm、重量30kgの大型スピーカーに別れを告げ、コンパクトな、でも繊細なサウンドを聴かせてくれそうなブックシェルフにすることにした。


  カッパの次はバッハの話

 カッパの話はともかく、今年はバッハ(Johann Sebastian Bach 1685-1750 ドイツ)の生誕333周年にあたるんだそうだ。


 3が3並びというのは、確かにおめでたい感じもするが、こうなってくると生誕222年とか没後111年とか、なんでもアリってことになっちゃう。


 けど、それに便乗してバッハの曲を。


 「バッハ作品主題目録」でBWV.333の番号が与えられている作品は、186曲からなる「4声のコラール」のなかの「主イエス・キリスト、汝は備えをなせり」だ。しかし、この曲を私は聴いたことがない。


Bach1079Graf で、今日は数あるバッハの作品から特に333と関係なく、何か1つ選んじゃえという堕落した考えでもって、「音楽の捧げ物(Musikalisches Opfer)」BWV.1079(1747)を。


 作品についてはこちらをご覧いただければと思う。


 今日はLP時代によく聴いていた、私にとっては愛着のある録音を。


 グラーフのフルート、シュネーベルガーとマティウのヴァイオリン、ケーギのヴィオラ、ローザ―のチェロ。そしてチェンバロはデーラー、ダクセルホーファー、ケーラーというメンバー。


 1968年録音。クラーヴェス。


 そして、小さなスピーカーが部屋にやってきた。