スプーン1杯の不幸せ
札幌の某ホテルで会議があったのは先週の金曜日のことだった。
この日は午前と午後にそれぞれ会議があり、途中昼食が出された。
ホテルで作られた幕の内弁当である。
象が踏んでも壊れない、というとウソになるが、これで頭を叩かれたら相当痛いのは間違いないハード仕様の
器に入った弁当(にしても、なぜ筆入れをよりによって象に踏まさせようと考えたのだろう?)。
ふたを開ける前から期待に胸は膨らむ。
一流ホテルのことだ。どこかの保育園の給食のように、おかずがスプーン1杯分なんてことは地軸が狂ったとしても絶対にあるまい。
それにしても、あの“わんずまざー保育園”はシベリア収容所のようだ。
子どもを金儲けのモノとしか見ていない。じゅうぶんすぎる虐待だ。
子どもを預けていた親は露とも知らなかったのだろうが、このことを知って子どもに申し訳ない気持ちでいっぱいだろう。だからこれは当然すぎる結果。
これはパスタの味だ!
さて、ホテルの弁当である。
ふたを開けると、そこは挽き肉ワールド。
メインはハンバーグ。
ナポリタンスパゲティを座布団にして堂々と鎮座している。
ナポリタンだって、そこはホテル製。どこかの弁当のようにただケチャップと和えたものではなく、きちんとナポリタンの味がした(って、冷食をレンジで温めただけかもしれないが)。
その隣の一角は春巻きに焼売という中華コーナー。
別なエリアは玉子焼きに……あとは忘れてしまった。
もちろんどれも上品なお味。
午後の会議も真剣に聞くぞという意欲を掻き立てられる内容だった。
ただ、ハンバーグに春巻きに焼売と、挽き肉を使ったものが多かった。
それは全然かまわないが、挽き肉を仕入れすぎちゃったのだろうか?
いや、すべてホテルの厨房で手作りってことはないか……
焼酎じゃなくて……
話は変わるが、先日TVをつけっぱなしにしていたら、あのハンバーグ並みに堂々としたワーグナーのメロディーが聞こえてきた。
慌てて(って、慌てる必要もないんだけど)確かめると、それはグランブルーというもののコマーシャルだった。
グランブルーって、私の日々にはまったく縁のないものなんだけど、これってゲームなの?焼酎の名前っぽいけど……
ゲームだったら、日々どころか一生縁がないと思う。私には。
ワーグナー(Richard Wagner 1813-83 ドイツ)の楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー(Die Meistersinger von Nurnberg)」(1862-67/1868初演)の第1幕前奏曲。
あのコマーシャルで響き渡っている曲で、マイスタージンガーというのは“名歌手”の意味である。
この前奏曲との出会いやその後の関係についてはここやここに書いてあるが、間違いなく言えることは、私がこの楽劇のなかで唯一知っている楽曲が、音楽鑑賞歴長しといえども第1幕前奏曲だけだということである。
マタチッチ指揮NHK交響楽団の演奏で。
1968年録音。DENON。