『蟲(むし)』見慣れた動植物とは違う、時にヒトに妖しき影響を及ぼすもの。
蟲師(むしし)は、それらを調査し在るべき様を示す。
ヒトと蟲の世を繋ぐ者、蟲師ギンコの旅の物語。
☆棘のみちの続きです。前半はこちら→
棘のみち前編
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蟲師 続章 あらすじまとめ
★蟲師1~26話 特別篇は→
蟲師 あらすじまとめ
蟲師 続章 特別編 「棘(おどろ)のみち」 後編
年の近い友人のいないふたりを思ってか、たまは度々クマドを屋敷へ呼んだ。出かけることのない淡幽は、いずれ薬袋の当主となるクマドがどこかへ出かけた話を聞くのが好きだった。海岸に行ったときにはきれいな貝殻などを土産にくれたが、きれいなものもクマドは何とも思えないと言った。
笑うところを見た事がないので、たまにクマドは私を嫌っているのかなと聞くと、厳しく育てられたのでたましいが凍えてしまっている。時を経ればまたたましいに血が通ってゆくはずなので悪く思わないでやってくださいましと頭を下げた。
どこへ逃げてもあなたの状況は変わらないと言われた淡幽は夜中に行ったことがなかった丘の上に行ってみた。クマドの言った通りだと感じたが、ふたりで見た朝日は美しかった。きれいだなと淡幽が言うとクマドもはいと答えた。
だが間を置くとクマドがまったく別人のように思える事があった。姿形は変わらないのに何故か他人に思えてならないので、本当にクマドかと淡幽が聞くと、はい、おれは、おれですよと答えた。
棘の道に入ったギンコとクマド。まだできて間もない道のようだなとギンコが振り返ると入り口が開いたままだった。光脈筋でないので入り口を隠すヌシがいないためか。あの廃村の有り様はこのせいだなとギンコ。棘の道が開いて蟲と生物の境界があやふやになり、あの一帯から完全な死が失われた。このまま穴が広がれば生命の均衡は完全に崩れる。
奥に進もうとするクマドにギンコがどうする気だとたずねると、クマドは我らがすることはただひとつと言った。禁種の蟲が現れる前兆かもしれない。道の奥で発生していてもおかしくない。ならばここで食い止める。それよりあの穴を塞ぐほうが先だろうとギンコ。天変地異さえ起こらなきゃ禁種の蟲は現れない。ここを封じるのが先だから手伝ってくれと言った。
クマドはギンコの手を払いのけると、この一族の使命のために己のすべてを捨ててきたのだ。現れもしない手がかりもない幻の蟲に。いっそ現れることを望んですらいると言った。何か巨大なヤツが現れた。そちらに向かって行くクマド。ひとりでどうにかできるのか。無茶だ、死ぬ気か。
巨大なやつは蟲の群れだった。クマドに群がる。クマドはいくら探してもお前らの欲しいもんは俺の中にはねぇよ。とうの昔にくれてやったろうがと言った。クマドを追って来たギンコが無事かと声をかけると蟲がギンコの方に向かう。逃げろとクマドは叫んだ。たましいを持っていかれるぞ。
ギンコがたましいを持っていかれそうになる。クマドが口から蟲を出した。そして倒れた。森が開けたと感じるギンコ。自分が知るずっと前の淡幽の姿が見えた。朝日を見ながら、きれいだなと言っていた。
クマドの口から出た蟲がたましいを持っていこうとする蟲の群れを襲って喰う。ギンコが気づくと、たましいが抜けたクマドが倒れていた。助けられたのか。
戻ったギンコは、たまに薬袋の蟲師ってのは、えらいもんに手を出しちまってるようだなと言った。ギンコを救ったあれは光酒から造った人工の蟲だった。たましいの代用として吹き込んで蟲を追わせ抜けてしまえばまた入れる。そんなことを身内に繰り返しさせているのかと言うとたまは、そうでもせねば進めぬ道というのもあるんだと言った。
たましいを失っても未だ現世を動き回っているモノ。それは一体「何」なのだろうか。それは一体「誰」なのだろうか(たまがクマドに代わりのモノを入れた)
淡幽の屋敷でギンコはクマドに助けてもらった礼を言った。クマドはただ「核喰蟲(さねくいむし)」てのが嫌いなだけだと言った。核喰蟲、棘の道に棲むたましいを喰う蟲。丘の上に行く3人。淡幽が茶をたてながら穴は治まったのかと聞いた。応急処置はしておいたとギンコ。あれは核喰蟲の大量発生から逃れるために蟲が作った抜け道のようなもの。核喰蟲が元に戻ればいずれ塞がるかと言った。
大量発生の理由はこの十数年来、度々起こる蟲の異変のひとつとしかとクマド。結局、禁種の蟲に関しては何もと言うと、淡幽は焦ることはないさと言った。私なら生涯この蟲と連れ添う覚悟はできているから。そしてクマドに、たとえ状況は変わらずとも、我々はひとりじゃないんだよと言った。
★久しぶりの蟲師。淡幽さんは続編初登場でした。重たい話ではあるけど最後のシーンはほっとする感じでいいですね。作画もきれいで変わらぬ独特の世界観を楽しめました。10月からの放送も楽しみです。