Paul McCartney - This One (1989年)~ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスンの誕生日を祝う~ 去る2月25日、ポール・マッカートニーはTwitterに《写真・右上》を投稿しました。
この日は旧友・故ジョージ・ハリスンの誕生日で、以下のような言葉を添えています。
“My lovely friend George! Still celebrating his birthday. Lucky to have had him in my life.” 僕の素敵な友人、ジョージ!今も彼の誕生日を祝っている。 僕の人生に彼がいてくれたのはラッキーだった。 一方、3月9日(木)には
【#ThrowbackThursday #tbt】(“木曜日は、思い出の画像を投稿しよう” という意味)のハッシュタグに、以下のような画像を付けて投稿しました。
“Sir” Paul McCartney ♪
~概要~ 「ディス・ワン」はポール・マッカートニー1989年の8thソロ・アルバム
『フラワーズ・イン・ザ・ダート(Flowers In The Dirt)』 からの2ndシングルで、イギリスでは1stシングル「My Brave Face」と同じ18位とそこそこヒットしましたが、アメリカ
Billboard Hot 100では94位 と、ポールらしからぬ散々な成績に終わりました。
ただしアルバム自体は全英No.1に輝くなど好調で、80年代では1982年の『Tug of War』に次ぐ評価を得た作品といえるでしょう。
近年ポールは次々と旧作の“アーカイヴ・コレクション”をリリースしていますが、その第10弾としてこの3月24日に
『Flowers In The Dirt』 が発売されることになっています。
「This One」で特筆すべきといえばその“インド志向”で、ビートルズ・ファンが懐かしさを感じるサウンドにはポール自らが奏でる
インド弦楽器“シタール” があります。
また、その志向は「ディス・ワン」のシングル・ジャケットやPVを見れば一目瞭然で、これらに登場する横笛を吹く白鳥に乗った青い肌の少年は
ヒンドゥー教 の“神聖さ、愛、知、美の神”
クリシュナ であり、映像の中でポールとリンダは慣れない(?)あぐらをかいて瞑想しています。
ただし、ビートルズ時代インドでの修行を真っ先に逃げ出した前科のある彼はじっと瞑想などしていられるはずもなく、“目蓋に創意”(上で紹介の写真)を凝らすなど、全く世俗を忘れることができていません!
『Flowers In The Dirt』はポールが成田空港での“あの事件”以来約10年ぶりにワールド・ツアーに復帰するきっかけとなった作品で、「This One」もその1989年9月からのツアー『The Paul McCartney World Tour(通称;ゲット・バック・ツアー)』
で演奏されました。
その後ポールは何度もワールド・ツアーを重ねていますがあまりにヒット曲が多いポールのセット・リスト入りは至難であり、恐らくその後一度も演奏されたことはないと思われます。
ただし今回は『Flowers In The Dirt』の再発プロモのお陰で当時の貴重な音源
も公開されていたので、それらも併せてお楽しみください。
VIDEO VIDEO VIDEO VIDEO ~Lyrics~ The Swan Is Gliding Above The Ocean, 神さまをその背に乗せ A God Is Riding Upon His Back 海に上を優雅に飛びゆく白鳥 「This One」の創作の経緯を、ポールは次のように語っています(要約)。
“
【this one】という言葉から【this swan】が浮かび、白鳥というとインドで見掛けたクリシュナのポスターを思い出したんだ。彼がピンクのユリを持ち白鳥に乗って澄んだ池の上を漂っているその絵はとてもスピリチィアルで、心を落ち着かせるものがあった。僕は特定の宗教は信仰していないけど、ああいう絵からはいい瞬間が得られるね ”
…って、きっかけは“ダジャレ”かいっ!? Did I Ever Take You In My Arms, これまで君を腕の中に抱いて Look You In The Eye, Tell You That I Do, その瞳を見つめ語りかけたこと、あったかな ポールによると、「This One」は“基本的にはラブ・ソング”だそうです。
ビートルズ時代は恋人ジェーン・アッシャーへ宛てて数々のラブ・ソングを書いてきた彼ですが、結婚後は愛妻のリンダ一筋!
ポールとリンダの“おしどり”ぶりは、ロック界でも有名でした。
果たして、本作はリンダへ宛てられたもの…?
Did I Ever Open Up My Heart 心を開いて And Let You Look Inside. この胸の内を見せたことが… 一方で、ポールはこの歌を
“【後悔】がテーマ” と説明しています。
どんな時に後悔するかについて彼は[口論]を挙げており、冷静になって“君の方が正しい”と言えなかったことを悔いているそうです。
ポールの仲違いというと真っ先にジョン・レノンとのことを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、それはビートルズ解散の前後数年のことで、彼が“
…でもしばらくして僕からジョンに電話をするようになって、最終的にはまた仲良くなれたんだ。ジョンに赤ちゃんが生まれて僕も育児中だった頃は、子育ての話もよくしたよ ”と語るように、ジョンが亡くなるまでにポールが何度も彼を訪ねるほどの関係を取り戻していたそうです。
~Epilogue~ ジョンとは比較的早く関係を修復できたポールでしたが、同じく法廷で争った元ビートルズの
ジョージ・ハリスン とは十数年経ってもなかなかきっかけさえ掴めませんでした。
“僕は幸運だった。ジョンが死ぬ直前には親友に戻れたから。 でもジョージは最後までジョンと話をしなかったから、とても悔やんだと思うんだ… ” しかしこれは、当時ジョージと仲直りを果たせぬままだったポールにとっての悔いでもありました。
“だからこの曲を作った。いま言わなければもう言えないかもしれない。だからいま好きだよって言おうって…” There Never Could Be A Better Moment でもそれに相応しい瞬間って外にないんじゃないかな Than This One, This One. 今、この時を於いて …そう、
「This One」 にちりばめられた“インド”は、インドの文化に傾倒しヒンドゥー教徒でもあった
ジョージへの、ポールからの“サイン” だったのです!
直接この曲がきっかけとなったかは分かりませんが、ポールのこの思いは1993年からの
『The Beatles Anthology』 プロジェクトに於いて、天国のジョンを含めたビートルズ4人の共演が実現したことに結実します。
ご存知のようにその後まもなくジョージは癌を発症、2001年11月29日に58歳の若さで亡くなってしまいますが、群がるマスコミを遠ざけ家族と静かな最期の時を過ごせるよう国外の別荘を提供したのもポールだったといわれます。
ポールは語っています…。
“過去を振り返り、未来を夢みる人が多いけど、今を大事にしてない。 生きているこの瞬間をもっと大切にすれば、人生がよりよいものになる気がするんだ ” This One(今、この瞬間)…
「ディス・ワン」 VIDEO Writer(s): Paul McCartney /訳:Beat Wolf * これまで君を腕の中に抱いて その瞳を見つめ語りかけたこと、あったかな 心を開いて この胸の内を見せたことが… ** …もしそうしなかったとしても、僕は待ち望んでいたんだ 叶わなかったけれど…その、より良い機会を でもそれに相応しい瞬間って外にないんじゃないかな 今、この時を於いて *** 神さまをその背に乗せ 海に上を優雅に飛びゆく白鳥 穏やかな水面…そして、鮮やかな虹 鳥は、やがて黒い点となって彼方へ消え去った これまで君の頬に触れて “君は僕のもの”って、その微笑みに感謝したことあったかな 心の扉をノックして その胸の内へ入ってみようとしたことが… ** *** どれだけ、許しあう機会を流してきただろう あと一歩、タイミングが違っていただけなのに もっとお互い冷静であったなら、魔法が働いてくれたかもしれないのに 僕は、君により良い時を与えたあげられなかったね… * ** ***最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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1989年 ポップ 友情 心地よい ポール・マッカートニー
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