一生懸命、動きを教えているテニスコーチは非常に少ないですが、います。
彼らを見て残念に思うことがあります。
それは、状況設定が甘いことです。
ある限られた状況でしか使えない動きを必死に教えています。
「ある限られた状況でしか使えない=ある限られた状況では上手く使える」
例えば、円を描くスイングだと、低いボールは打ちやすいが高いボールは打ちにくい。グルっとラケットを振り落とす勢いが使えるので楽だが、スイング開始からボールを打つまでに時間がかかる(当てにくい)。
ということは、
円を描くスイングを教えているコーチは、「低いボールは打ちやすい」「楽にスイングできる」という考えはあるが、「高いボール」「相手のボールが速い」「ボールが遠い」「強烈な回転がかかっている(バウンド後の激しい変化)」という状況は頭にない。
だから、このようなコーチは、低くて遅いボールの球出しばかりして、高いボールや速いボールの球出しはしない。
生徒が高いボールや速いボールでミスすると「しっかり円を描いてスイングしてないからですよ。もう一度やってみてください。」と言って、低くて遅いボールを球出しします。
生徒が「高いボールはどうやって打てばいいのですか?」と質問すると、このコーチは「しっかり足を動かして、ボールを低くなるまで落としてから打ってください」という全く見当違いのことを言うことも多い。
「違うだろ〜!」とツッコミたくなります。
「ある限られた状況で最高に良い動きであっても、それは、それ以外の状況では、悪い動きになることもある」ということを忘れないように。
(過去記事に「どんなに悪い動きでも状況によっては良い動きになることがある」と書いています)
すべての状況においてダメな動きを教えるコーチはいません。
何かしらの状況で上手くいく動きを教えているはずです。その限られた状況で上手くいったことに、気を取られるな!
これが、悪い動きを教えてしまう典型であって、この落とし穴を見抜けないコーチと生徒が多い。
テニスの場合、テニスのプレー中に起こるすべての状況下で、それなりに対応できる動きが最良の動きです。これが窪田テニスの考え方。
「ある限定された状況では、特に使いやすい」という動きは間違いだと判断してください。
「特に使いやすい」と思った時点で、間違いに気づくべき。