最近話題になっているのが企業の内部留保への課税です。
企業の利益が最高益を記録する中、労働者の賃金は横ばいとなっており、私たちサラリーマンは景気の上昇の恩恵を受けていません。
利益を出しているなら、企業の利益の積み重ねである内部留保に課税をしようという流れができつつあります。
個人的には、内部留保に対する課税は大反対です。
内部留保とはなに?
企業の税引後当期純利益から配当金を差し引いたものを「内部留保」といいます。
簡単に言えば、企業の今までの利益の積み上げです。
会計上では内部留保という項目はなく、貸借対照表では純資産の部「利益準備金」「任意積立金」「繰越利益剰余金」などの科目で計上されています。
一見は、この内部留保に課税することは良さそうに見えますが、実際には効果がないように感じています。
内部留保は使えるお金ではない
まず第一に内部留保は現金ではないということです。
現金を潤沢に持っている企業であれば、現金を貯めこまずに設備投資や従業員の給与に還元をしなければならないと思います。
しかし、内部留保は実際には現金で持っていませんし、今までの利益の積立はすでに設備投資などの別の形になっています。
内部留保が多いということはそれだけ、安定的に長年にかけて利益を出してきたという証拠です。
内部留保は現金ではないため、課税され税金を払うためには設備投資を控えたり、自身の資産を売却して現金を作る必要があります。
内部留保への課税は、決して投資を促進するものではありません。
内部留保が多くてうれしいのは誰?
そもそも内部留保とは誰のものでしょうか?
答えは株主のものです。
株主は株式を購入して、企業の成長によってリターンを得るというものです。
内部留保が多いということは、それだけ企業価値が大きく、株価を下支えしている材料です。
これに課税をするということは、株主にとっては自分の株の価値が下がりますし、企業にとっても会社の規模が小さくなるのはデメリットしかありません。
また、内部留保が多いということは、倒産のリスクが減るという効果もあります。
東芝が現在債務超過で騒がれていますが、債務超過とは純資産がマイナスになるということです。
内部留保は純資産の部の積み上げですので、多ければ債務超過の可能性が減り、従業員としても安定した雇用が生まれます。
内部留保に課税は二重課税にもなっています。
企業の税引き後利益は、法人税や消費税、事業所税、固定資産税、償却資産税、事業税、市民税などの多くの税金が差し引かれた後の利益です。
そこにさらに課税することは、二重課税になり税金の取りすぎなことは間違いありません。
賃上げしたいなら税制や助成金を厚くするべし!
法人税では「所得拡大促進税制」や「雇用関係助成金」などの手は打っています。
賃上げを促進したいのであれば、これらの制度をより使いやすくすべきだと思います。
企業は法人税を支払うくらいなら、従業員に還元したり、設備を増強させたいと思っています。
いかに、減税施策をとり賃上げなどをする企業を応援すべきではと思います。
ではでは~