なぜ皆、危険な滝を探訪するのか2~だんだんの滝(水神堂の滝)~ | 次世代に遺したい自然や史跡

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毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

[滝壺で起きた超常現象]

前回少し触れた、いの町のだんだんの滝(水神堂の滝)だが、回遊ルートが存在した。ネットでも既に公開されているのだが、復路の林道側の下り口は林道工事により、古道との合流部が消滅していた。故にそちらのコースを辿って行く場合、地元民の案内がないと行けないだろう。が、今回、分かり易いよう、そこの写真を公開する。

 

この滝、実際に探訪してみると、やはり滝壺は神秘的で水神の神威も感じられた。そして見出しにも書いているように、その滝前で水神に対して私があることを申し上げてカメラを滝に向けた瞬間、ある「現象」が起こった・・・・。

 

滝の落差は前回触れた滝の本では8mと記されてあったが、かなり手前の林道からも望見でき(上の写真の左寄り下)、何百メートルも離れた所まで轟音が響き渡っていることから、実際はもっと落差があるように感じられる。もっとも「だんだん」(地元では一般に「水神堂の滝」とは呼ばない)と名称にもあるように、三段ほどの滝の最上部に当該滝が懸かっていることもあり、その轟音は滝群や激流が合わさったものでもある。

 

探訪ルートは、往路は三ツ内川を沢登りし、復路は古道を林道まで登り、起点へと帰る。逆ルートはザイルがないと心もとない。

その起点は、中追渓谷の手前、橋床から三ツ内川(「三ツ淵渓谷」と呼称したい)沿いを遡る舗装された林道にある。因みにこの林道は鷹羽ヶ森(918.9m)の北西尾根へと通じている。

 

その林道の三つ目の右ヘアピンカーブが川への下り口(下の地図)だが、車はやや手前に駐車しなければならない。この林道はダンプもよく通るから、邪魔にならないように。

カーブから朽ちた木の階段を下りて行くと、林道前身の古道に出る。この古道の先から朽ちた竹の手摺の作業歩道(堰堤工事用)が前方左に下りているので、これを下る。更にほどなくして、水神堂参拝道と思われる古道(複数、崩落箇所があるので辿れない)も横断する。

 

作業歩道の終点には砂防堰堤がいくつも築かれているが、最奥の堰堤下の堰堤上を歩いて対岸に渡る。先週、下見した時はその堰堤上に水流はなかったが、先日は10cm弱ほどの水深があった。沢登り用のウェディングシューズを履いていたため、靴の中は水浸し。

後は岸を適当にヤブ漕ぎしていくが、大したブッシュではない。

 

前回触れた支流にX字状の滑滝(上の写真)がある所まで来ると、川床の石を飛んで対岸に渡ったが、途中で足を滑らせて再び靴が水浸し。前回、水神堂参拝道ではないかと記した平坦地は何かの削平地だった。造林小屋跡だろうか。

 

滑滝の落差はだんだんの滝の倍ほどある。この先の斜面を少し登ってみたが、崖で越えられそうにない。再び右岸(南岸)に戻り、こちらも岸の斜面をトラバースしてみたが、やはり奥で崖になっている。本流は「だんだん」最下部の滝状の急流で川床は切り立った岩場。ここを突破するルートはただ一つ。右岸寄りの岩を這い上がるしかない。岩に生えた雑草の根元を掴みながら何とか這い上がったが、復路もここを下りるとなると、ザイルがないと怖い。

 

その上には落差5mほどの滝が懸かっていたが、水量が多く、地響きを立てるほど。滝壺も深い。

ルートの川床は中州の岩尾根のようになっており、そのまま直登する。

前方にだんだんの滝が迫った所でルート上に巨石が横たわっているが、ここは左側を巻く。すると遂にだんだんの滝が全容を現わす。

 

轟音は更に激しくなり、滝壺は淵のように広く、深く、神秘的。ザックを下ろすと滝に向かって手を合わせ、ここまで無事辿り着けた(途中、岩に膝を強打する等していた)ことを水神様に感謝を申し上げ、そして「水神様のことをより多くの人々に知らしめるため、写真を撮らせて下さい。」と告げ、カメラを構えた。するといきなり飛行機音がし始めた。滝の轟音で飛行機音等聞こえるはずがないのに可笑しなことだと思っていると、水の飛沫が降りかかるようになった。

 

最初は滝風によるものと思っていたが、飛行機音はいつまで経っても鳴り止まない。ふと空を見上げると雨が降っている。これは滝の飛沫ではなかったのだ。しかし今日、高知の天気予報は昼からは晴れのはず。実際、空も晴れていた。

不思議に思っていると、飛行機音だと思っていた音はよく耳を研ぎ澄ますと、滝の中から聞こえている。もしやこれは水神が写真を撮るなと言っているのではと思い、「今まで何人もが滝の写真をネットや本で公開しているではありませんか!?」と言ってしまった。

 

十数分位経っただろうか。やがて小雨と轟音は次第に治まっていった。しかしもし水神が撮影を拒んでいたとしたら、帰路、私は事故に見舞われるのではないだろうか。

滝壺手前の左岸の崖にはロープが垂らされていたので(8枚目写真)、これを登ると斜めに上がる踏み跡があり、水神堂の祠跡と思しき所を通過すると参拝道らしき道に出た。

 

これを上ると高知日々新聞が昭和8年に建立した「霊山・三ツ淵山」碑前に出る。三ツ内川は「三ツ淵」が転化したもの。前回も指摘したように、この碑は土佐十景選出によるものではない。土佐十景は以前も述べたように、大正15年、土陽新聞が読者投票により選出したもので、選定地の各碑には「土佐十景」と刻字されている。

三ツ淵山碑の裏がだんだんの滝の天辺になる。この碑の奥に祠があり、ネットではこれを水神堂であるかのように記しているものもあるが、これは轟神社。

 

ジグザグの山道は三ツ内川の支流に沿って上がっているが、この支流の三ヶ所以上に滑滝が懸かっている。道の途中にある谷の分岐を右折した先には、大山積神社の祠が鎮座している。

「夫婦滝」と名付けたい二条の滑滝の上流には堰堤があり、この下部を林道前身の旧道が通っている。旧道を上流に向かって進むと再び三ツ内川に下りられる箇所があり、滝はないがきれいな渓流が流れている。

川に下りる所の斜面上方には金属製の水路があり、この東側を登って行くと林道に出られる。

 

滝に直接下りて行きたい方のために、前述の夫婦滝上流の堰堤上方にある林道からの下り口を図示した(下の地図)。そこは丁度ガードレールが途切れている箇所(上の写真)で、林道の両側に広場があるのが目印。

 

ところで以前、釈善の滝麓の住民が、前に町内吾北地区のにこ淵でバーベキューをしていた者らが事故に遭ったのは、淵の神の祟りだと語っていた。自治体サイトでも注意書きしているが、にこ淵等、神が住まうとされる滝壺では入水や飲食をしてはならない。ネットではにこ淵でカヌーをしている不届き者もいるが、これはもってのほか。神への狼藉は許されない。

 

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