March 30, 2017

何がフレームの進化を促すか

この先、自転車はどう進化していくのでしょうか。


前回は、チューブを何本か省略した自転車について取り上げました。最終的に行きついた形のようにも思えるダイヤモンドフレームですが、必ずしもそうとは限らないことがわかります。近年の素材技術の進化を持ってすれば、従来の常識を覆すようなフレームが出てきても不思議ではありません。

ロードレースで使用する自転車は、国際自転車競技連合の規定で、ダイヤモンドフレームに限られています。そのため、市販の自転車もダイヤモンドフレームが当たり前のようになっていますが、その規定にしても、将来的に大きく変更される可能性がないわけではありません。

Photo by Jeffssmith1,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.例えば、リカンベントという自転車があります。足を前に投げ出して仰向けのような姿勢で乗るのが特徴です。見慣れないため、通常の自転車と比べると風変わりでトリッキーな自転車のように感じる人もあると思いますが、そうではありません。古くからある自転車の種類の一つです。

乗車姿勢的に、空気抵抗が小さくなります。また、背もたれで身体が支持されることにより、足に力が入りやすいという利点があります。このため一般的に、通常のロードバイクよりスピードが出ます。事実、ロードバイクより速かったので、ロードレースでは使用禁止になったという歴史があります。

もちろん欠点もありますが、将来、リカンベントがもっと一般的になる可能性も無いとは言えません。それこそ国際自転車競技連合の規定が変更され、ロードレースで全選手がリカンベントで走行するなんて場面が出現しないとは言い切れないわけです。

リカンベントはスピードを出しすいという特徴があります。自転車による世界最高速に挑戦するようなシーンでは、必ずリカンベントをベースにしてフェアリングで覆ったものが使われます。フェアリングで覆っても、通常のロードパイクをベースをしたものでは勝負にならないからです。

一方で、上り坂に弱いとか、低速では不安定とか、立ち漕ぎが出来ないといった短所もあります。それならば、両方のいいとこ取りは出来ないかと考える人が出てくるのも自然な成り行きでしょう。両立は難しいですが、必要に応じて双方にスイッチすることを考えた人がいます。

Variable Frame BikeVariable Frame Bike

Variable Frame BikeVariable Frame Bike

不思議な形のフレームですが、これは必要に応じて、走行しながら乗車姿勢を変えることが出来る自転車です。通常のロードバイクのようなポジションから、足を前方に投げ出すようにして、ペダルを前に持って行き、リカンベントのようなスタイルに出来ます。フレーム自体がトランスフォームします。

リカンベント型に変形した際には、背もたれ部分が上がって来るところなど、なかなか考えられています。走行しながらでも変形させることが出来、必要に応じて素早く切り替えられるところが優れています。見た目は少し違いますが、試作モデルも製作されています。

Variable Frame BikeVariable Frame Bike



この“VARIABLE FRAME BIKE”、可変フレーム自転車という発想は、なかなかな面白いと思います。いわば、ロードバイクとリカンベントのハイブリッドです。ロードレースに使われるようになるかどうかは別として、一般の利用でも、姿勢を変えられるのは便利だったり、ラクだったりするのではないでしょうか。

BamboostBamboost

フレームは、用途に応じた利便性という面で変化していく可能性もあります。こちら、“Bamboost”は、竹が使われた自転車です。ただし、フレームはカーボンファイバー製で、表面に竹を編んだ素材が貼られているだけです。竹は単なる飾りに過ぎません。

実はこの自転車、フレームにトップチューブがありません。フレームにレザー製のバッグが組み込まれており、そのバッグを外すと、トップチューブのないフレームが現れます。これは自転車通勤用に便利そうだと感じる人も多いのではないでしょうか

BamboostBamboost

通勤で自転車を使う際、前カゴにビジネスバッグ等を入れている人も多いと思いますが、それだと空気抵抗が大きかったり、安定しない場合も多いと思います。トップチューブ下の空間をバッグ用に使うのはリーズナブルです。このように、用途に応じたフレームという進化も考えられそうです。

Flying bikeFlying bike

こちらは、ずいぶん未来的なデザインです。フレームも斬新ですが、後輪にはスポークがありません。なんと、ハブとリムが磁気で反発して浮いているのです。これが技術的にすぐ実現可能なのかどうか、私には判断しかねますが、発想は斬新です。

磁気の力をサスペンションに利用することで、地面からの突き上げを吸収するので、乗り心地は向上します。駆動輪は前輪になりますが、こちらもスポークはなく、ハプレスになっています。リムに沿ったギヤを回して駆動させる仕組みです。

Flying bikeFlying bike

コンセプトモデルですから、このままの形にはならないとしても、未来を感じさせるデザインではあります。今までの自転車の形や仕組み、基本的な構造にとらわれない発想によって、思いもよらないような斬新なスタイルに進化していく可能性も否定はできません。

自転車に子供を乗せ、送迎などに使っている親も多いと思います。子供を乗せるための自転車は、専用のカーゴバイクから子供用のシートを取り付けるものまで、いろいろなタイプがあります。日本では、チャイルドシートが取り付けられたママチャリがほとんどでしょう。

Bicycling With Baby

子どもが成長したら取り外せる点でリーズナブルですが、子供の乗車位置が高く、全体の重心も高くなってしまうという欠点があります。停車してスタンドを立てている状態で目を離した際に、自転車ごと転倒して子供が大けがをする事故が絶えません。そのためヘルメットを着用させることまで義務付けられました。

フレームにおいて、子供用シートを取り付ける場所、可能な場所はほぼ限られるでしょう。ところが、自称発明家で、ユニークなアイディアを絵にする漫画家として知られる、Steven M. Johnson さんは、子どもを乗せる自転車について、ユニークな発想を披露しています。

Bicycling With Baby

なんと、後輪の中に子供用シートを配置しています。タイヤとふくらんだシートステーに守られる形になっています。タイヤの中にシートはありますが、シート自体は回転しません。透明の球状のカプセルに保護されているので安全で、重心も低く、停車中に倒れても子供への衝撃は相対的に小さくてすみます。

いつも風刺ともジョークともとれる「発明」を描くジョンソンさんの漫画ですから、真に受けるつもりはありません。ただ、ハプレスのタイヤと組み合わせ、その中心部のスペースの利用を考えるなら、そこに子供を乗せるというアイディアも、あながち的外れとは言い切れません。

いずれにせよ、もはや金属製のチューブの溶接によってしか、フレームが作れない時代は終わりました。自転車の形が飛躍的に進化するための土壌は整っています。あとは、そこにどんなブレークスルーが起きるかであり、案外それは遠い将来の話ではないかも知れません。




今日は気温も上がり陽気もよくなってきした。そろそろ桜が見頃になりつつある地域も多いのではないでしょうか。


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