2024年4月14日日曜日

隣人たちの不気味--1



襲ってくるのに姿が見えない。これはやっぱり嫌な存在であることには違いない。だが、不思議なことに私にはそれらしい恐怖を今もって感じられない。精々膝がしらを切られた程度で大きな被害がないせいもあるし、以後継続している訳でもない。その時でさえ、何が起きているのか全然ピンと来なかったせいもあるだろう。

やはり怖いのは、現実に物理的作用を及ぼせる生きた人間の方だ。しかも表面上はごく普通を装っている。

私が今の住まいに越してきた当時、まだいくらも経たない内にこれはミスったと思った。七軒ずつ背中合わせに建っている区域だが、その内五軒は、ちょっと変だと直ぐに分かった。しかも明らかに異常だと思う世帯が当家と接していた。両隣と裏隣り。ほぼ新品に近い、従って殆ど値引きのしない中古を購入したのだが、売り主に完全にしてやられたようだった。

一応事前に周辺を歩いてみたりもしたのだが、特別異常があるようには見えなかった。しかし、甘かった。早く決めたいとの思いが強くて、あまり値引き交渉もしなかったし、踏み込んだ調査もしなかった。初めて家を購入する人間がどれ程用心深くなれるだろうか。自分を庇う訳ではないが、無理もない部分があったと思っている。

しかしその甘さが、以後何年も私たち一家を苦しめることになった。

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