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新NISA成長投資枠|米国高配当ETFのおすすめ銘柄を徹底比較

新NISA成長投資枠|米国高配当ETFのおすすめ銘柄を徹底比較

新NISAで購入可能な米国高配当ETF・米国債券ETFの銘柄比較

新NISAの成長投資枠で購入可能な米国高配当ETF及び債券ETFについて、2024年4月時点の配当利回り等を表にまとめました。

コード配当利回り経費率2019年初からの
株価上昇率
5年平均利回り分類
VIG1.84%0.06%79.28%1.95%増配
2014
(東証DGRO
※2.38%0.11%※68.20%※2.47%増配
VYM2.94%0.06%48.87%3.25%高配当
HDV3.45%0.08%26.69%3.77%高配当
SPYD4.66%0.07%14.21%4.67%高配当
2019
(東証PFFD
※6.45%0.255%※▲13.31%※5.60%高配当
EDV4.03%0.07%▲37.11%3.53%米国債券
(超長期)
VTIP2.84%0.06%▲0.17%3.42%米国債券
(超短期)

※米国ETFのデータを使用

2023年後半から2024年初の米国株価上昇の影響で、増配ETF・高配当ETFの株価上昇率は高めになっています。

特に増配ETFの株価上昇率は驚異的ですね。

一方、金利の影響を強く受ける債券ETFは、2022年初からの米国利上げショックが反映されているので価格上昇率がマイナスになっています。

優先証券(株式と債券の中間に位置する有価証券)で構成されるPFFDも、債券と同様に米国利上げショックの影響で価格上昇率がマイナスになっています。

短期インフレ連動債であるVTIPはほぼ横ばいですが、超長期債であるEDVはデュレーション(金利変化に対する価格感応度)が大きいため下落しています。

超長期米国債「EDV」

EDVは超長期米国債ETFであり、20~30年の米国債で運用されています。

経費率は0.07%で、VYM(0.06%)、HDV(0.08%)、SPYD(0.07%)と同水準であり、非常に低く設定されています。

分配は年4回となっています。

一般的に債券、それも米国債のような信用力が高い債券の値動きは、株式等に比べて安定的なのですが、EDVのような長期債になると値動きは大きくなります。

特に金利に対する逆相関が、短中期国債より強く反映されるのがEDVの特徴です。

コロナショック等のような不況で株価が暴落し、米国が景気対策として利下げした際には、金利低下に伴いEDVは急上昇したので、株式と逆相関の値動きでヘッジの役割を果たしました。

逆に、米金利が上昇しはじめた2022年以降は大きく下落しています。

あくまで、逆相関の対象は株価ではなく金利ということです。

しかし、2024年以降は米金利引き下げの観測もあり、もしそうであれば価格が下落している今が絶好の買い場なのかもしれません。

ボラティリティが大きくても、米国債という安心感がいいですよね。

米国短期インフレ連動債「VTIP」

VTIPは米国短期インフレ連動債ETFであり、5年未満の米国債(インフレ連動)で運用されています。

経費率は0.06%と、非常に低く設定されています。

分配は年4回となっています。

インフレ連動債は、物価上昇に連動して元本が増加するので、資産価値を維持することができるインフレに強い資産となります。

2022年の米国金利上昇局面では、株式も債券も大きく下落する中で、相対的に下げ幅は小さく済んでいます。

もちろん、逆にデフレになれば物価下落に連動して元本が減少するので、通常の債券に対して常に優れているというわけではありません。

「短期」かつ「インフレ連動」であるVTIPの最大のメリットは、インフレヘッジの安定性です。

従来は、通常の債券やゴールドに対してインフレ連動債は長期的なリターンの大きさで劣後するとされてきましたが、これからの世界経済は比較的高いインフレ率のまま推移していくという観測もあります。

もしVTIPが今後も4%前後の配当利回りを維持できるのであれば、ポートフォリオ組入銘柄の有力候補になりますね。

東証DGRO(銘柄コード:2014)

米国で人気の増配ETFで優れた運用実績を誇るDGRO。

これまで日本の大手証券会社では取り扱いが無かったのですが、2024年1月18日に東京証券取引所に上昇(銘柄コード:2014)され、新NISA成長投資枠の対象商品にも選定されました。

DGROと同様に人気のある米国増配ETFとしてVIGがあります。

DGROは5年以上継続して配当成長していることを組入銘柄に対する条件にしているのに対し、VIGは10年以上連続増配であることを条件としています。

増配に関する条件が緩やかな分、DGROの方が配当利回りが高めです。

「長期投資するから増配率がVIGを選ぼうと思ったけど、当初の配当利回りが低いので期待する分配金額に達するまで時間がかかる」と悩んでいた方には、素晴らしい選択肢が登場したことになりますね。

東証PFFD(銘柄コード:2019)

2024年1月31日にグローバルX 米国優先証券 ETF(隔月分配型)(銘柄コード:2019)が新規上場されました。

本家PFFDが毎月分配のため新NISAから除外されてしまったのに対し、東証版PFFDは隔月分配のため新NISA対象商品となりました。

PFFDは米国優先証券を対象としたETFです。

優先証券とは、株式と債券の中間に位置する有価証券のことです。

債券の性質も持つため、金利が上がると株価下落、金利が下がると株価上昇となります。

分配金は横ばいで、株価変動に応じて利回りは6%前後で推移してきました。

VYMやHDVのように利回り3%くらいから始まって増配に期待するスタイルではなく、運用当初から安定した高配当が得られることがPFFDの特徴です。

将来に向けた資産形成よりも、今すぐキャッシュフローを確保したい方に向いていますね。

SBI・V・米国高配当株式(分配重視型)

2024年1月30日に米国VYMを投資対象とした投資信託「SBI・V・米国高配当株式(分配重視型)」が新規設定されました。

当サイトの過去記事で、楽天VYMを紹介したことがあります。

【新NISA】米国利上げショックに動じなかった楽天VYM
【新NISA】米国利上げショックに動じなかった楽天VYM

Contents楽天VYMとは楽天VYMの組入銘柄楽天VYMの値動きを検証新NISAでは分配金が出る本家VYMを成長投資枠で購入追記:SBI・VYM(分配重視型)が新規設定 楽天VYMとは 楽天VYM ...

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こちらの記事に、楽天VYMと今回新規設定されるSBI・V・米国高配当株式(分配重視型)はどちらが良いかといった趣旨のコメントをいただくことが増えました。

楽天VYMと一対一の比較よりも、本家VYMも含めた関連ファンドの比較が適切と思いましたので、米国高配当ETFの銘柄比較をテーマとした当記事に、論点整理と私なりの選択を追記させていただきます。

まず、同じ米国VYMを投資対象とした投資信託でも、分配金の取り扱いによって以下の2種類に分類されます。

  • 分配金を出すファンド:①SBI・V・米国高配当株式(分配重視型)、②米国の本家VYM
  • 出さずに自動再投資するファンド:③楽天VYM、④SBI・V・米国高配当株式

①と④は誤記ではありません。名前は似ていますが、④は既存ファンドで、①が今回の新規設定ファンドです。

後者の「自動再投資」は、人気ファンドのS&P500やオルカンと同じく複利効果で大きなキャピタルゲイン(売却金)を得ることを目的としたファンドです。

ただ、ハイテク銘柄が多いS&P500やオルカンに比べて、VYMはディフェンシブ銘柄の組み入れが多いため、例えば2022年の米国利上げショックに強かったとか、そのような違いはあります。

これに対し、前者の「分配金を出す」ファンドは、高配当のインカムゲイン(分配金)を得ることを目的としたファンドです。

したがって、SBI・V・米国高配当株式(分配重視型)の比較対象は米国の本家VYMとなります。

ライバルであり、投資対象という関係ですね。

信託報酬(経費率)は、SBIが0.1238%、本家VYMが0.06%です。

SBIにとって、本家VYMが投資対象なのですから、コスト構造上どうしても本家VYMには勝てません。

しかし、最小購入金額は、SBIが優れています。

これらの観点から、積立投資などで最小購入金額を重視(ドルコスト平均法の効率重視)する場合はSBIを、まとまった金額を一括投資して分配金を得るだけの場合は本家VYMをおすすめします。

新NISAから除外されたJEPI・JEPQ・XYLD・QYLDを特定口座で節税運用する方法

JEPI・JEPQ・QYLD・XYLD・PFFDといった米国超高配当ETFは、毎月分配型のため新NISAから除外されました。

したがって、米国超高配当ETFを運用するなら、特定口座(課税口座)になります。

米国超高配当ETFの分配金に対する課税率は、以下のとおりです。

  • NISA口座:米国税10%のみ
  • 特定口座:米国税10%+日本税20.315%

つまり、日本税20.315%が課税されることが、特定口座で運用するデメリットです。

これだけ見ると、配当利回りは我慢して、新NISA対象商品の中から銘柄選定しようかなと考えてしまいます。

しかし、NISA口座には無い、特定口座でしか使えないメリットがあるのです。

  • 外国税額控除:日本税から米国税を一定量控除
  • 損益通算:株式売却等の赤字と黒字を相殺して課税額を下げる
  • 繰越控除:1年間で損益通算できなかった赤字を、翌年から3年間まで繰り越して控除できる

外国税額控除で日本税を節税すれば、特定口座とNISA口座の税率差は、かなり小さくなります。

さらに、損益通算や繰越控除を使いこなせば、むしろ有利になる可能性もでてきます。

超高配当ETFは、インデックスファンドように株価右肩上がりではないため、損益通算を活用した運用が有効です。

新NISA除外のJEPI・JEPQ・QYLDは特定口座で税額控除
新NISA除外のJEPI・JEPQ・QYLDは特定口座で節税運用

Contents新NISAから除外されたJEPI、JEPQ、QYLD等の米国超高配当ETFを特定口座で運用配当利回り10%前後の米国超高配当ETFXYLDQYLDJEPIJEPQ新NISAから除外され ...

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