koenokatachi


タイトルで、わざわざ「映画」と断る作品に限って、テレビコンテンツ出自の上げ底の「証明」だったりするものですが、この作品に限っては、銀幕で見る価値がありますって、自信の「証明」と受け取りました。


「週刊少年漫画誌」に掲載されていた、女性作家の全7巻の同名コミックを、気鋭の女性アニメ監督と、女性脚本家によって映像化された本作は、見た目からすると、昨今流行りの「淡い学園恋愛」モノが、安易に想像されてしまいます。

そう云う「予兆」も、後半ほのかに、「醸す」ところも在ったりはしますが、閉鎖された「学校生活」で、逃げ場のない状況で、自分の浅はかな行為で、傷つけてしまった相手への「償い」を通じて、彼と周囲との関係に向かい合い、自ら「変ろう」とするまでを描いています。


見た目にも、耳にも、心地の良い流行りのアニメとは対極の、現実の厳しさ、残酷さに満ちています。

特に、本作は、煩わしい「対人関係」が、これでもかって要所で出てきます。女生徒間特有の「表層的」な関係描写など、女性の作り手ならではの現実感が、現れています。

回復するまでに、それまで紆余曲折が在った、「気分」の盛り上がりも、心に刺さった「トゲ」を刺激する、ささいなやり取りで、全対人関係が、崩れたりする、「気持ち」の上昇と下降の起伏も激しく、主人公の心情をおもんばかると、ツライところばかりなのですが、それだけに、見ている側にも伝わるものが、「確か」なのです。


「明けない夜はない」の例えの通り、彼の「贖罪」の終わりを告げる描写が、また、漫画では出来ない、実に映像らしい表現で、彼の気持ちに寄り添って見届けて来た我々の目前も、霞んで見えました。