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大好きな女優の宮沢りえが主演なのでが観ましたが、ここ数年に観た邦画の中でもいちばん素晴らしい作品でした。

放浪者の夫役のオダギリジョーも良い味を出しています。

宮沢りえの演じる双葉は、夫の一浩と夫婦で銭湯を営んでいましたが、ある日夫が失踪してしまい、銭湯を休んでパン屋でバイトをしながら娘を育てています。

ある日、職場で倒れて病人に運ばれた双葉は、余命数ヶ月の末期ガンであることを伝えられました。

落ち込んでいる暇などないと悟った彼女は、いじめに悩んで不登校に陥った娘をはじめとした周りの人たちのために動き出します。

私がこの映画で素晴らしいと思ったのは、双葉が実の娘だけでなく、夫の愛人の連れ子である鮎子をも引き取って、懸命に育てようとしたことです。

自分に残された時間を使って鮎子をなんとかして実母に会わせようとしたり、その旅の途中で出会ったヒッチハイクの青年の拓海に失いかけていた人生の目的を見つける手伝いをしたりと、人のために骨身を惜しまない姿に心を動かされました。

「いじめ」や「余命宣告」などよくありがちなテーマの映画だと思われる人もいるかもしれませんが、この映画はそれを超えた「人間愛」があります。

まさにそれはタイトルの「湯を沸かすほどの熱い愛」なのであり、何かささやかでも目的があれば、人はそれに向かって生きていくことができるのであり、無償の愛に基づいた行ないは、周りの人を変えていくこともできるということをこの映画は教えてくれました。