あなたが一番好きなゲームソフトは何ですか?
そう聞かれたら、僕は迷わずこう答えるだろう。
「ドラゴンクエストVII エデンの戦士たちです!」
僕が少6のときにドラクエ7が発売された。当時、SMAPがCMやってた。
「ゆうたろうくんはお母さんにドラクエ7を買ってもらうために何ヶ月も前からお願いして買ってもらったのに、アンタは直前で欲しいって言って手に入って、いいわね」
母親が、そんな言葉を吐き捨てたことを僕は今でも覚えている。
僕はドラクエは小3か小4のときのゲームボーイのテリーのワンダーランド新規である。ある日思い立ったように新品で買って、母親に怒られた。
「どうして中古で買わなかったの!」
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僕は当時、ドラクエ7に夢中になった。しかしドラクエ6で鍛錬を積んだ友人たちに比べ、本家ドラクエのイロハを知らなかった僕はずいぶん苦労した。
タイムマスターに時の砂を2回使われてすべてがリセットされたのち全滅し泣き崩れ、もうダメだと思い、ゆうたろうくんに懇願して倒してくれとお願いし、
僕がスイミングスクールに言っている間になぜか僕のいないぼくんちでゆうたろうくんがうちの母に見守られながらタイムマスターを倒す、そんな夜もあった。
あとヘルクラウダーがめちゃめちゃ強かった。
そんな僕にとってドラクエが持つ特有の切なさを初めて味わったのは、キーファがいなくなったときだ。
ドラクエ7は石盤の力を使って過去へ戻り、失われた島々を魔物たちの手から取り戻していくというストーリーである。
ストーリーが進行し、7つ目くらいの島で魔物を倒したあと、宴の夜、テントの中でキーファから主人公としひろへ「大切なお知らせ」があった。
「俺、ここに残るわ」
キーファは数百年前の過去に遡った先の村娘に恋をし、その時代にとどまることを決意する。
キーファは、一国の王子である。それに、めちゃくちゃ強い。野生のカラクリ兵をかろうじて倒せたのはキーファがいたからに他ならない。
当然、僕は激しく動揺した。
「としひろなら、もちろん分かってくれるよな?」
▷はい
いいえ
……何度いいえを選択したことだろう。その度にキーファはまるで何かに取り憑かれたかのように
「としひろなら、もちろん分かってくれるよな?」
を連呼した。僕はしばらく粘ったのち諦めてはいを選択し、次の朝にはキーファと決別しなければならなかった。
そんなこんなで、キーファとの別れは僕にとってとても印象深く今でも鮮明にそのときの感情を思い出すことができる。
———
ドラクエ7にはキーファの他に、主人公のアルス、マリベル、ガボ、メルビン、アイラがいる。
マリベルはとにかく気が強くおてんばだ。これははちロケで例えるなら森青葉で間違いないだろう。ガボは縁の下の力持ち、これは澪風ちゃんだと思う。お茶目なメルビンは颯来ちゃん、クールなアイラは公野さんといっところか。
アルスは物語の主人公であるにもかかわらずどこか控えめだ。これはリーダーだけど一歩下がって周りを引き立たせる華山さんが相当するかもしれない。
ここでふと僕は考える。
「では、播磨さんがキーファだろうか?」
しかしやはり、そうではないことに気付く。播磨さんには突出したバラエティスキルだったり、バランス感覚がある。存在感や安定感はあるが、キーファのそれとはまた別種のように感じた。
やはりあの圧倒的な存在感と強さを誇るキーファという存在は、雨宮かのん以外にあり得ない。
でも、今回の5thシングルリリースイベントを通して、はちロケはキーファロスを克服したように思う。
何をするにもキーファ頼りだった物語の序盤から、ダーマ神殿を経て、今、グラコスのところくらいまで来ているのかもしれない。
いや、もうすでにタイムマスターかもしれないし、ともすればヘルクラウダーということもあり得る。
オルゴ・デミーラを倒す日も近い。
———
完