【注意】任意整理と関係ないクレジットカードも任意整理をすると使えなくなってしまうって本当ですか?

毎月の借金の返済が厳しくなり債務整理を考えているけれども、債務整理をしてはクレジットカードを新規で作ることができなくなって困るという方も多いでしょう。今回は債務整理の任意整理をした場合、クレジットカードにどのような影響があるのかを解説します。

きちんと理解をすることで、クレジットカードを失うという不安は解決するでしょう。借金が返済できないと悩んでいて、何もしなければ借金の額は膨らんでいきます。早め早めの対応がとても大切です。

債務整理とクレジットカード

そもそもの話ですが、任意整理を含めた債務整理を実行してしまうとクレジットカードを利用することは不可能になります。

不可能になるのであれば、債務整理をしないで頑張って返済をすると考える方もいるかもしれません。クレジットカードの利用が不可能になるのは一時的なことであり、永久にクレジットカードの利用ができなくなるというわけではありません。

それに、債務整理をすることなく頑張って返済を続けたとしても、3ヶ月以上滞納をしてしまったら、任意整理をしたときと同等のペナルティを受けることになります。その上で、任意整理よりも上位の債務整理である、民事再生(個人再生)や自己破産の利用をすることになった場合、クレジットカードを作れない期間がさらに長くなるでしょう。

自己破産を選択したら債務は非免責債権を除きすべて免除されることになりますが、20万円以上ある自身の財産を処分しなければならないはめになります。

つまり、クレジットカードのために債務整理を選択することなく、無理な返済計画を実行するのであれば事態はいたずらに悪化してしまうわけです。そのため、現状の借金の返済計画に無理が生じて居る場合、弁護士などへ相談をして債務整理を実行するべきなのです。

その際に、クレジットカードが使えなくなるなどのデメリットを受けるかもしれませんが、このデメリットは一時的なものであり、永久に続くものではないのですから、借金問題は早急な対策が重要となるのです。

任意整理をしてもクレジットカードが利用できなくなる理由

任意整理のメリットに、特定の債権者と交渉することができるというものがあります。

A社、B社、C社から借金をしている場合、A社とB社の2社と交渉して債務整理をおこない、残りのC社とは債務整理をおこなわないということも、任意整理でできます。

任意整理は裁判所を間に挟まない私的な和解交渉になりますので、債権者を公平に扱う法的要件はありません。特定の債権者にのみ返済をする偏頗弁済というのは、民事再生(個人再生)も自己破産も法律によって禁止されています。しかし、私的な和解交渉の任意整理では偏頗弁済をしても問題はありません。

ということは、複数枚のクレジットカードを持っている場合、まったく利用していないクレジットカードを任意整理の対象から外し、メインで利用をしているクレジットカード会社と任意整理をしても問題にはなりません。

つまり、複数枚のクレジットカードを持っている場合、まったく利用しておらず任意整理の対象から外したクレジットカードは利用し続けることは可能です。

しかしながら、任意整理から外したクレジットカードを使い続けることはできません。いずれは、任意整理の対象から外したクレジットカードも利用することができなくなってしまうので注意が必要です。

クレジットカード以外の借金を任意整理したとしても同様です。カード会社は、クレジットカードの発行後もときおり「途上与信」というものをおこないます。そのせいで、いずれはクレジットカードの使用ができなくなります。

途上与信とは?

クレジットカードは発行審査を通過して取得したら終わりではありません。発行後も利用状況を常にチェックをします。

クレジットカード会社が定期的に個人のカード利用状況を確認するため、個人信用情報機関(CIC・JICC)へ問い合わせて利用者に問題、たとえば滞納などをしていないかなどを常に確認をしています。これが途上与信です。

途上与信は一時的にカードの更新時に実施されていますので、途上与信=中間審査と考えてもらえばいいでしょう。

ちなみに、途上与信にも人間のものによる手動審査とシステムによる自動審査があります。今ではほぼ100%システムによる自動審査の途上与信です。

また、途上与信をクレジットカード会社がおこなった事実は個人信用情報に掲載されます。個人信用情報は個人で開示請求をすることができますが、開示をすると途上与信がおこなわれたという履歴が残っていますので、途上与信の有無の判断ができます。

一般的に途上与信はカードの更新時におこなわれますが、銀行系カードの場合は頻繁に途上与信が実施されるようです。会社によっては2~3週間おきに途上与信をおこなうケースもあるようです。

そして、任意整理をしていわゆるブラックリストに載った場合、途上与信をした際に、その事実が判明しますので、クレジットカードの利用を停止させられてしまいます。

つまり、任意整理をした後のクレジットカードの更新のときまではクレジットカードを利用し続けることができるものの、その際に途上与信というものがおこなわれ、任意整理をした後にクレジットカードの更新があると、そのクレジットカードの利用はできなくなると考えるといいでしょう。

任意整理以外の債務整理である民事再生(個人再生)や自己破産を利用しても同様です。どの債務整理を選択したとしても、信用情報機関に記録が残りますので、途上与信の際に債務整理をしたことがばれて、クレジットカードの利用はできなくなります。

任意整理をした場合、新規のクレジットカードを作ることはできなくなるのか?

任意整理をはじめとした債務整理をした場合、信用情報機関に金融事故として記録が残るのです。

クレジットカード会社で新規でクレジットカードを作ろうとする場合、クレジットカード会社は信用情報機関から、その人物にクレジットカードを与えて大丈夫なのか調べるために個人信用情報の開示要求をします。

任意整理をはじめとした債務整理をおこないますと、借金の減額や利息のカットを期待することができますが、借金を契約通りに返済することができなかったという情報、つまり、クレジットカード会社に金融事故を起こしたことがばれますので審査に通らなくなります。

この状態がブラックリストに載るといわれる状態になります。つまり、任意整理を含む債務整理の手続きをした後が、原則としてクレジットカードを作ることはできなくなります。

新規でクレジットカードを作ることができなくなることは、新規で借金を作ることができなくなりますから、借金を続ける生活から抜け出す一手になることは間違いないでしょう。

強制的に借金に頼る生活ができなくなるので、経済の立て直しには有効であるといえます。

一生クレジットカードを作ることができなくなるのか?

現在持っているクレジットカードも、更新時に途上与信にて利用することができなくなります。そして、新規でクレジットカードを作ることもできなくなります。

クレジットカードがなくても生活をすることはできますが、クレジットカードがあった方が便利に生活することができるのは間違いないでしょう。

では、任意整理をした場合、一生クレジットカードを作ることができないのかといえば、そのようなことはありません。

  • CIC:5年
  • JICC:5年
  • KSC:5年

この期間はブラックリストに登録をされます。

ただし、よくある誤解として、ブラックリストに登録されるのは「任意整理の和解交渉でリスケジュールの和解をした日から5年」という点です。これは間違いです。

ブラックリストに登録されるのは、任意整理の和解が成立した日からではなく、借金を完済してから5年間です。

つまり、リスケジュールの期間は一般的に3年~5年であり、ブラックリストに登録され、クレジットカードを作ることができない期間というのは、8年~10年間というのが本当のところです。

金融事故が消えるのは、任意整理が完了した日から5年なので、お金を借りて返済をしていない状況では何年たっても自己情報は残ったままとなります。

ちなみに、5年間逃げ続けることで借金は消滅時効を迎えます。この消滅時効を利用すれば借金を踏み倒すことが可能ですが、二度と金融機関からローンや借入をすることはできなくなりますのでおすすめはできません。

自分の信用情報を調べる方法について

クレジットカードを作ることができるかどうかの基準ですが、個人信用情報機関にどのようなステータスとなっているのかを知っておく必要があります。

調べる個人信用情報機関は前述したとおり、CIC、JICC、そしてKSCの3つがあります。

それぞれの信用情報機関に開示請求をおこなうことで、自分の信用情報を調べることができますが、開示請求の方法は個人信用情報機関により異なってきます。

CICは開示窓口と郵送、ネットでの開示請求に対応しています。JICCは開示窓口と郵送での開示請求に対応をしています。そしてKSCは郵送のみの開示請求となります。開示にかかる手数料ですが500円~1000円程度です。

開示請求をすることができるのは、本人だけです。本人以外が開示の申請をおこなう場合、法定代理人や本人の委任状を所持している必要があります。

過去に任意整理の対象とした会社のクレジットカードを再度作ることはできるのか?

任意整理をして、5年経過したとしても任意整理をおこない利息のカットやリスケジュールをしたクレジットカード会社のクレジットカードを再び作るのは現実的には限りなく不可能に近いです。
また、クレジットカードのみならず、クレジットカード会社のグループ系列内では情報を共有しており、その情報にて「永久社内ブラック」に認定されます。そのため、三菱東京UFJ銀行系のクレジットカードを任意整理した場合、三菱東京UFJグループのクレジットカードを作ることは難しくなります。また、三菱東京UFJ銀行からローンをするのも難しくなるでしょう。

100%クレジットカードを作ることができなくなるというわけではありません。任意整理をしたクレジットカード会社から、任意整理後にクレジットカードを持つことができたという話もありますが、稀なケースであり例外中の例外と考えるべきです。

家族カードの利用について

任意整理をした人であっても、債務整理をしていない家族が作った家族カードを利用させてもらうということは可能です。

たとえば、夫婦で夫が債務整理の手続きをおこない、妻は債務整理をおこなっていない場合、妻がローンやクレジットの審査に落ちるということは、原則ありません。

任意整理の手続きをすることによって記録される金融事故情報というのは、個人についてのものです。そのため、夫が任意整理をして信用を失っていたとしても、家族である妻の信用には影響がありません。

そのため、妻は自分の名義でローンを組むこともできますし、クレジットカードを利用することも可能です。

そして、債務整理をした夫も妻名義の家族カードの使用が可能です。なぜならば、クレジットカードの家族カードで重要になるのは、「妻の信用力」だからです。妻の信用力に基づき発行されたクレジットカードの家族カードなので、夫の信用力は必要ありません。

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任意整理をはじめとした債務整理をしたのか、ブラックリストに載っているとか、夫の返済能力というのは家族カードにおいては問題となりません。妻に信用があれば、妻は自分名義のカードを作成し、夫に家族カードを渡してもなんら問題ないのです。

クレジットカードの任意整理の注意点

クレジットカードの任意整理をする場合、手続き開始前にカードの支払いをストップする必要があります。

しかし、カードの支払い方法を銀行口座からの引き落としにしている場合、手続き開始通知を、クレジットカード会社に送ったとしてもしばらくの間は引き落としがストップになりません。これは銀行の対応が間に合わないからです。そのため、口座残高をゼロ円にしておき、引き落としがされないようにする必要があります。

引き落としを止めるもうひとつの方法があります。たとえば、銀行の引き落とし日と給料振込日が同じ日である場合などで利用できる方法です。この場合、残高をゼロ円にする方法では、支払をストップさせることができない場合もあります。このような場合では、引き落としのある銀行で、自動振り込み停止の依頼を出す手続きをすることで、引き落としがされないようにすることが可能になります。

また、任意整理を開始した後は、クレジットカードの利用をすることはできなくなりますが、もしも携帯電話料金や保険料、公共料金などの毎月の支払を自動的に決済されるクレジットカード払いになっている場合、クレジットカード払いから別の支払方法に変更する必要があります。

これは、クレジットカード会社ではなく、直接携帯電話会社や保険会社などに変更の申込をおこなう必要があります。

また、会員費のような少額の会費の支払などは忘れてしまいがちです。カードの利用明細を確認すればわかることなので、事前に確認をしておきましょう。

クレジットカードのショッピングローンで商品を購入している場合

クレジットカードのショッピングローンで商品を購入している場合でも、任意整理をすることは可能です。しかし、ショッピングローンについて任意整理をした場合、購入した商品は没収されてしまう可能性があるので注意をしてください。

商品の没収の有無についてはクレジットカード会社の判断となってしまうのです。換価価値の低い商品については、没収されないケースもあります。

たとえば、自動車のように換価価値の高い商品は必ず没収されてしまいますが、それ以外の日用品のような商品が没収される可能性というのはあまりないというのが現状です。

商品を没収されたくない場合には、商品のローン会社を任意整理手続きから除外すればいいのです。しかしながら、ショッピングローンを利用している会社でキャッシングも利用しているような場合には、ショッピングだけを手続きから除外することは不可能です。

会社谷ですべてのローンを任意整理することになってしまうので、注意が必要です。

まとめ

任意整理のメリットのひとつが、特定の債権者と交渉をおこない、返済期間のリスケジュールや利息のカット、そして、遅延損害金の免除があります。

そのため、使用しているクレジットカードを任意整理することもできます。特定のクレジットカードを任意整理の対象から外すことも可能です。

任意整理をしたクレジットカードは即使用することができなくなりますが、任意整理の対象から除外したクレジットカードは更新日などで途上与信がおこなわれるまでは使用し続けることができます。

クレジットカードが使えなくなる原因としては、任意整理をしたという金融事故記録が信用情報機関に個人信用情報として残ります。このせいで金融事故を起こした要注意人物としてクレジットカードの新規作成ができなくなります。

ただし、任意整理の場合5年で金融事故記録は抹消されます。そのため、一生クレジットカードが作れないというわけではありません。ただ、完済をした日から5年なので通算で8年~10年間はクレジットカードを新規で作成することができなくなります。

クレジットカードを任意整理する際の注意点としては、引き落とし口座をゼロ円にしておくことと、自動車などの換価価値の高い商品をクレジットカードのローンで購入した場合、没収されてしまう危険性がある点です。

クレジットカードが使えなくなりますが、家族カードは利用できますので、実際問題困るケースは少ないと考えます。

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